余桃之罪、もしくは電光朝露

関西フィル、日本センチュリー、京都市交響楽団、大阪フィルの定期会員です。アイドルやら声優やら。妄想8割、信憑性皆無。

大阪フィルハーモニー交響楽団 <<スペシャルライブ>>下野竜也X平野公崇

2009年12月18日 | 大阪フィルハーモニー交響楽団
09.12.18(金)14:00 ザ・シンフォニーホール
大阪フィルハーモニー交響楽団<<スペシャルライブ>>下野竜也X平野公崇
指揮・お話/下野竜也
サクソフォン/平野公崇
監修・司会/丸谷明夫(大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部顧問)
曲目:
J・ワーグナー/行進曲「双頭の鷲の旗の下に」op.159
アーノルド/管弦楽組曲「第6の幸福をもたらす宿」
グラズノフ/サクソフォン協奏曲変ホ長調op.109
ラフマニノフ/ヴォカリーズ(アンコール)
A・リード(中原達彦編曲)/エル・カミーノ・レアル~管弦楽版~
シベリウス/アンダンテ・フェスティーヴォ
ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲 
ホルスト/吹奏楽のための第1組曲より第3曲「行進曲」~管弦楽版~
(G・ジェイコブス編)

来年1月の下野/大フィルのいずみホール公演に行けそうも無くなった。
そもそも聴こうと思ってたのがアーノルドとR・シュトラウスなんだから、このスペシャルライブでも良かろう、ということで忘年会を1日ずらさせてこちらへ駆けつける。
プログラムを見ても分かるとおり、大フィルさんが企画する吹奏楽少年少女のための演奏会。制服姿の少年少女が多くて、前日17日にここが古の難波となったとは思えない雰囲気。先年の第1回は完売だったというが今年は新型インフルエンザの影響もあってか9割ほどの入り。

双頭。
ぬう。音が柔らかくてテンポが温い。このボールト指揮の盤のような激しさと気高さが欲しいのだが。
司会の丸谷先生登場。テレビで知ってる人も多かろう。ハタから見てるとただの吹奏楽好きのおっさんだけれども、全国大会の常連校の指導者であり、吹奏楽を通じて魅力ある人間教育を成し遂げてもいるという今やレジェンド的な方。「下野さん、マーチはよろしいなあ」という流れから今宵来ている客層について「分けるいうあれではないですが」と前置きしつつ、大フィルファンが多いのか吹奏楽ファンが多いのか、はたまたその両方の人がいるのか。拍手で応答してもらったが吹奏楽ファンのほうが多い気がする。「吹奏楽ファンの方はアクションが大きいですから・・・」おぢさんは吹奏楽は子供の頃に食い飽きたので今はCDでしか聞かない。まあ市音に知り合いがいるのでチケットは貰うこともなくはない・・・。クラシックファンは吹奏楽は聴かないし、吹奏楽ファンはクラシックを聴かないという。この丸谷先生の質問もそこのところを意識してかしら。
アーノルド。
映画音楽の大家として知られている作曲家だが、これも映画音楽。瀬尾宗利による吹奏楽版が日本のコンクールで人気らしい。今回はその原曲を演奏。瀬尾さんの手がけた編曲を見るとアーノルドがチラホラある。それだけアーノルドが吹奏楽映えする音を持った作曲家ということですかね(6つある舞曲集なんてのはもう)。
映画の邦題は「六番目の幸福」という。ヒコックス盤(再発されておぢさんが持っているものとはジャケが変わったが)とハンドリー盤が出ている。大フィルは木管が一部怪しくなったがスケール感は損なわれること無く楽しめた。アーノルドの録音はかなり沢山持ってるけど、どれをとっても手堅いというか良い仕事をするというか。職人ですな。
「映画音楽っちゅう感じですな」「ですね、情景が浮かびますよね」「ま、(その映画)観た事無いんですけど」
続いてグラズノフ。
平野さんは自作も含めた現代作品に強みのある方。このグラズノフも須川さんが柔らかくエロいのに対して、どちらかというと硬めの音と短めのフレージングでかなりワイルドに吹いた。おぢさんの席が1階中央左サイドだったのでサブトーンが聴こえまくりだったのもそういう印象を強めているかも知れぬ。
アンコールはソプラノサックスに持ち替えてヴォカリーズ。溶ける。

休憩挟んでエル・カミーノ・レアル。
吹奏楽のカミサマであるアルフレッド・リードの作品は鮮烈なリズムの変化と官能的な抒情の交錯が聞けて愉しい。ただこの手の小品はのめりこんで聴きまくるうちに早々と飽きがくるので、たまーに楽しむ程度でいい。交響曲と称したもののいくつかには深いものがあると思うので、アルフレッド・リード作品集 プラスとかで聴いてみてもいいんじゃないか。今回は自身も吹奏楽作品を手がける中原達彦さんがオーケストラに編曲したものが演奏される。ウキウキはするよね、季節柄に合わなかったけど。
オケに混ざっていた先ほどのソリストの平野さんがステージ前まで呼ばれてインタビュー。きわどい発言もあったが見た目のイカツい感じとはうらはらな、優しいお兄さんだった。
続いてシベリウス。
作曲者による感動的な録音が残されている(紆余曲折はあったが)ためにシベリウスファンにとっては殊に大事な作品。先年同様、吹奏楽ファンに弦楽の響きを味わってもらいたいということで選曲された。さっきのアーノルドもこの後のダフクロもそうだけど、編曲家が弦楽の響きを想定しつつも吹奏楽化した部分があるはずなので弦楽器の響きに親しんでおくことが演奏する上でも大事ですわな。大事かな?
ダフニスとクロエ。
吹奏楽でも定番の作品。日本の若い子たちも沢山演奏してます。概ね若さのままに吹き散らかしてファンタジーもへったくれもないスポーティな演奏ばかりですが。そういうこともあってでしょうが、下野さんは原曲の持つ天才的なオーケストレーションと内容を味わってほしいと力説。ダフニスとクロエが出会って抱擁する場面を説明すべく独りハグを敢行するも燕尾(と体型)が邪魔して出来ず。この日一番の笑いを取る。丸谷先生から「文化に対する風当たりがきつうなってきましたが、何より沢山の演奏会に足を運んであげてください、それが我々にできることです」とのお言葉あり。大フィルの演奏も定期でこのレベルを出せといいたくなるノリで良かった。管楽器はいつもどおりの部分もありましたが。

大きな拍手の中、下野さん「燕尾がきついので」ということでアンコールは丸谷先生に指揮してもらうことに。その伏線だったかー。
ホルスト。
クラシックの世界にはイギリス音楽マニアという人種(笑)がいます。この人種は吹奏楽を避けて通れない。この作品にしてからが吹奏楽の世界ではベートーヴェンの交響曲に比肩するという名曲なんだもの。で、悲しいかなおぢさんはその人種なの。だからね、このオーケストラ版のブレイスウェイト指揮のCDも当然持ってる。いい曲だよね。これとRVWのイギリス民謡組曲は無敵だ。

愉しかった。
鈴の音やペーパーノイズのほとんど無い会場だった・・・。若者のほうがマナーが圧倒的に良いとなったら、年の功とか年輪とか人生経験とか屁みたいなもんじゃないか。

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