MOONIE'S TEA ROOM

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『解錠師』

2012年05月03日 | BOOKS
 久しぶりに歩きながら本を読んでしまい、息子に注意されてしまいました。
 そのぐらい夢中になってしまう本です。


『解錠師』(かいじょうし) スティーヴ・ハミルトン著 (早川書房)

 赤い表紙と、黄色のページ・天・地・小口。
 手に取る前からちょっとドキッとするハヤカワポケットミステリーの装丁にふさわしい物語です。


「The Lock Artist」 Steve Hamilton

 この原題もオシャレ。
「ザ・ロック・アーティスト」の「ロック」は「Rock(音楽の)」ではなくて、この本では「Lock 鍵」。
「鍵を開ける芸術家」の物語なわけです。


 ただ、けっして優しい楽しいスト-リーではなく、鍵を開けるという特殊技能についても褒め称えるような本ではありません。
 若い人間が巻き込まれていく濁流のような犯罪の世界。一筋の光明は、青春の光。
現在と近過去、少年時代、子ども時代を行ったり来たりしながらストーリーは進み、最初に戻ってきます。
 おぞましい描写もある中で、最後まで読まずにはいられない作り込まれた展開とスピード感は、なかなか出会えないものです。



 自分にも、多くの人に非難され死を望まれるような犯罪者になる芽がある。
場所、タイミング、そして周りの人間関係で、なんと子どもの人生は変わってしまうものだろう。
 それでも、生きていく希望がある。
 自分と重ねて、そして我が子と重ねて、心揺さぶられた1冊でした。

 自分の中の「毒」に目を背けずに生きていかねばならないなぁと、再確認。

 こういう本に出会えるから、読書はやめられないし、やめてはいけないのだ。
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