MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『ニルスのふしぎな旅』

2010年12月10日 | BOOKS
 1909年のノーベル文学賞受賞者、セルマ・ラーゲルレーヴ(Selma Lagerlöf)の

『ニルスのふしぎな旅(上・下)』(原題「NILS HOLGERSSONS UNDERBARA RESA GENOM SVERIGE」)

 を読みました。このお話を読むのは、小学生のころ以来かもしれません。
 先月の記事「聖モルテンと『ガチョウのモルテン』」を書いていて、「どんな話だったかな」と思い図書館で借りていたのです。(モルテンは、この物語に登場するガチョウです)
 今回読んだのは、2007年に菱木晃子さんの翻訳で「福音館古典童話シリーズ」の39巻と40巻として発売されたものです。
なんと1冊が500ページを超える上下巻。合わせると1000ページ以上という大長編!!


 スウェーデンの教育界が、「子どもたちが楽しく地理を学べるように」という目的のために、作者に依頼してできたお話だということを今回初めて知りました。だから、ニルスはスウェーデン国内をぐるっと一周旅するのですね!!
 「教育のために」「地理学習のために」といって、こんな楽しいお話を作れるんですからすごいものです。

 読んでみると、子どもたちの学習に役立つ地理・歴史・産業だけでなく、古くからの伝説・民話など「子どもに聞かせておきたい昔話」のようなものも織り込まれています。
 100年以上前のお話ですが、「自然保護」「動物愛護」も、この物語の大きなテーマです。
 なによりも、自分勝手でわがままな不良息子が、いくつもの試練を乗り越えて人(動物)の役に立つ青年に成長していくというストーリーが、大人にも子どもにも希望を与えてくれます。親から子への変わらぬ愛情も、親になった今読むと強く心に響きます。

 さあ、日本を舞台にして地理・歴史・産業も勉強でき、なおかつ面白い物語を誰か書いてくださらないかしら。

 題名の「UNDERBARA」は、ドイツ語の「wunderbar(ヴンダバー)」英語の「wonderful」なんでしょうね。
「奇跡的な」「不思議な」「素敵な」という感じでしょうか。

豆知識
作者はノーベル賞で初のスウェーデン人受賞者・初の女性受賞者だったそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする