欧州アリアンスペース(本社:フランス)は、12月21日10時47分(日本時間)に、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターから新型ロケット「ヴェガC」の打ち上げを実施したが、ヴェガCの第2段で異常が発生し、打ち上げは失敗した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と九州工業大学は「産学官による輸送/超小型衛星ミッション拡充プログラム(拡充P)」の枠組みのもと、超小型衛星ミッション「高精度姿勢制御6U衛星による宇宙可視光背景放射観測で探る天体形成史」を始動する。
同ミッションでは、6Uサイズの超小型衛星に小口径の望遠鏡を搭載し、宇宙初期から現在までに放射された光の総計である宇宙背景放射を観測することで、天体形成史の解明を目指す。
また、超小型衛星向けの統合型姿勢制御(AOCS)ユニットを搭載した高精度姿勢制御バスを汎用化し、利用拡大を目指す。
九州工業大学はプロジェクトマネージメント、ミッション機器開発、高精度姿勢制御バス開発、衛星環境試験、衛星運用、観測データ解析、AOCSユニット開発・実証(セーレンと協働)、望遠鏡光学系開発(コシナと協働)等を担当する。
同衛星は、九州工業大学とJAXAに加え、東京都市大学、関西学院大学、アストロバイオロジーセンター、東京工業大学、金沢大学、福井大学が共同で開発を進めていく。
セーレンは、高精度AOCSユニットの国産化による性能向上及びサービス拡大を、コシナは、超小型衛星向け地球観測望遠鏡の製造販売事業拡大を目指す。
JAXAは、観測ミッション検討、ミッション機器開発、衛星システム設計等への協力、技術フロントローディングにより開発したAOCS技術の提供、及び民間小型ロケット打上げサービス事業者の選定を担当する。
アストロスケールホールディングスの100%子会社アストロスケールと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、この度、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みのもと、「衛星への燃料補給サービス」に関するコンセプト共創活動を開始した。
同活動は、宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)の実現に向けて、約1年間にわたり、「衛星への燃料補給サービス」の事業コンセプトを共創するもので、軌道上での燃料補給を前提に開発された衛星だけでなく、そのような設計が施されていない衛星にも軌道上での燃料補給ができるミッションコンセプトを検討する。
アストロスケールは、デブリ(宇宙ゴミ)除去技術実証衛星「ELSA-d(エルサディー、End-of-Life Services by Astroscale – demonstration)」ミッションでの実証成果を補給対象衛星へのRPO(ランデブ・近傍運用)に応用するほか、開発を進めている宇宙船外汎用作業ロボットアーム・ハンド技術を燃料補給作業へ適用し、「衛星への燃料補給サービス」の事業性や海外拠点との国際連携を見据えた検討を実施する。
JAXAは軌道上での燃料補給システムや補給技術を評価するための地上試験装置の技術的実現性を検討し、将来研究に活用すると共に、それらを通じた技術的知見や技術アドバイスを提供する。
地球周回軌道は衛星やデブリの増加により混雑化が加速しており、このままでは長期的に軌道を利活用していくことは困難になると考えられている。
この問題を解決し、スペースサステナビリティを実現するためには、使い捨てを前提とした衛星やロケット開発から脱却し、削減(reduce)、再利用(reuse)、修理(repair)、燃料補給(refuel)、除去(remove)といった循環型経済を宇宙空間で実現することが重要であり、そのソリューションが軌道上サービス。
軌道上サービスの一つである燃料補給サービスは、衛星運用者にとっては、衛星の寿命を延長することで衛星機数や打上げ回数を低減するうえに、費用低減効果があり、新たな収益に繋がると予測されている。
また、燃料の制約を取り払うことで、衛星1機ごとのミッションの範囲や柔軟性を拡大することも可能になる。
Pale Blueと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みのもと、超小型電気推進機事業を創造する「事業コンセプト共創活動」を始動する。
JAXAの保有する「はやぶさ・はやぶさ2」の開発・運用で培った知見、JAXAが進める電気推進機向けの低圧タンクに関する研究開発成果、また、Pale Blueの保有する電気推進機の開発・運用で培った知見及び事業ノウハウに基づき、共創活動を展開する。
Pale Blueは、JAXAが「はやぶさ・はやぶさ2」の開発・運用で獲得したマイクロ波カソード技術を活用し、衛星コンステレーション等で市場拡大が期待される300W級電気推進機を、新たな製品として開発し、事業化を目指す。
JAXAは、「はやぶさ・はやぶさ2」で培った世界最先端の電気推進技術情報の提供、支援を行うとともに、特許出願中のMOF(Metal-Organic Frameworks/金属有機構造体)の技術を用いて、新たな低圧タンク開発を進める。
同低圧タンクの開発は、次世代の多孔性材料として期待される金属有機構造体MOFに特化した京都大学発スタートアップ企業であるAtomis社と連携して行う。
そして、Pale Blueは、JAXAの低圧タンクの成果を活用し、事業展開中の30W級電気推進機の更なる能力の改善を目指す。
同事業コンセプト共創活動を通して、JAXAは新たな研究開発に挑戦し、その成果活用の最大化を推進し、Pale Blueは超小型電気推進機の改善や、新たな事業創出を目指す。
また、JAXAは、改善された同電気推進機を活用した、将来の超小型衛星ミッションの検討を進めていく。
アイスペースは、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1において、ミッションコントロールセンター(管制室)からランダーの安定した運用を行っており、このたびランダー(月着陸船)に搭載したカメラによる地球の撮影、画像の取得に成功した。
カメラはランダーの天面に設置しており、今後もミッション運用中に計画に沿って撮影を行う。
顧客の荷物(ペイロード)を月へ輸送する月面輸送サービスと並んで、月面データサービスはiアイスペースの重要な収益の柱となることが期待されている。
アイスペースは、中期的に多様な月のデータ(画像データ、環境データ、テレメトリ、資源情報など)を収集し加工した上で顧客に提供し、月面開発に役立ててもらうことを計画している、アイスペース所有のカメラで撮影したデータが管制室で取得できたことは、将来の月面データサービス確立に向けた記念すべき第一歩と言える。
また技術的観点からも大きなマイルストーンと捉えており、同画像データの撮影に当たっては、宇宙環境に耐える光学カメラの自社開発に加え、カメラを目標物に向ける姿勢制御や画像データを地球に送信する通信など、多くのランダー自身の技術要素も関わっている。
また、ペイロードのひとつである、カナダ宇宙庁によるLEAPの一つに採択されたCanadensys社のカメラが撮影した画像の取得にも成功した。同社のカメラはランダーの外部側面に搭載されており、今後もミッション運用中に計画に沿って撮影を行う。
ランダーは2022年12月14日16時(日本時間)時点で地球から約44万kmの地点を航行しており、既に月軌道を一度通り過ぎた。ミッション1で輸送する顧客ペイロードについては現在一つずつ確認作業を行っており、一部については確認作業が完了している。全て完了次第、Success3の完了として改めて発表する。
日本航空(JAL)は、「大分県 × Sierra Space × 兼松」による宇宙往還機「Dream Chaser」の活用検討に向けたパートナーシップに新たに参画した。
同パートナーシップでは、大分空港を米国Sierra Space社の宇宙往還機「Dream Chaser」のアジア拠点として活用することを目指し、安全性・環境面の予備検証や経済波及効果など、具体的な検討を現在開始している。
JALは、これまでの航空輸送事業を通じて培われた知見やアセットを活用しながら、宇宙ステーションと地球をつなぐSierra Space社の宇宙往還機「Dream Chaser」の国内での事業開発、また既にJAL国内線が就航している大分空港における運用支援など、4者協力し、同パートナーシップによる検討をさらに具体化させていく計画。
デジタルブラスト(DigitalBlast、本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:堀口真吾)は、日本国内初の民間主導での宇宙ステーションとなる「民間宇宙ステーション(CSS)構想」を立ち上げ、2030年までに最初のモジュールを打ち上げる計画を発表した。
これまで、日本は「きぼう」日本実験棟(JEM)における開発・運用実績を保有しているが、この技術・知見を生かし、地球低軌道(LEO)経済圏と惑星間経済圏の創出と融合を目指す。
同社は、その主導となり、協力企業とともに2030年までに1つ目のモジュールの打上げを目指す。宇宙実験サービスや通信インフラなどの企業・研究機関・官公庁向けのサービスに加え、スポーツや映像・動画配信など宇宙空間を活用したエンタメとして一般消費者向けのサービスも展開する予定。
構築する宇宙ステーションのモジュールは、通信やドッキング機構、クルー居住施設等の機能を持つ居住・コアモジュール(Habitat & Core Module)に加え、サイエンスモジュール(Science Module)、エンタメモジュール(Entertainment Module)の3つの構成で計画を進める。
同社は、同取り組みにおいて民間主導のLEO経済圏や、アルテミス計画に主導される月・火星の経済圏の創出に加え、宇宙ステーションを拠点とする惑星間の探査機の往復を可能にし、In-Situ Resource Utilization(ISRU:現地調達における資源活用)に基づいた、地球近傍小惑星(NEAs:Near-Earth Asteroids)の探査から資源活用する惑星間経済圏を創出するシナリオを描いている。
NASA(アメリカ航空宇宙局)が人類を月に送る「アルテミス計画」の第1弾として打ち上げた宇宙船「オリオン」が、月周回を終えて、日本時間の12月12日午前2時40分、メキシコ沖の太平洋に着水した。
今回の試験飛行は無人だが、第2弾で宇宙飛行士を乗せて月の上空まで往復し、第3弾(2025年)で宇宙飛行士による月面着陸を目指している。
アイスペースは、12月11日、独自開発した月面探査機「HAKUTO-R」を、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から米スペースXのファルコン9ロケットで打ち上げた。
月面への到着は、2023年4月末で、成功すれば日本初かつ世界初の民間による月面着陸になる可能性がある。
米企業も今後、月着陸船の打ち上げを予定しており、現状では、どちらが先になるかはわからない状況という。
アイスペースは、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1の打ち上げ予定日時を、打ち上げを実施するSpaceX社と協議した結果、以下の通り実施する。
打ち上げ場所:米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙基地
打ち上げ日時:2022年12月11日(日)午後4時38分(日本時間)
なお、上記の日時は、打ち上げに関する承認、天候の状況に応じて変更される可能性がある。
月着陸予定は、2023年4月末頃を予定。
打ち上げ当日には、SpaceX社による打ち上げの様子のYoutube配信に加え、ミッションコントロールセンター等の様子をアイスペース(ispace)のアカウントから配信予定。詳しくはHPやSNSにて改めて案内される。
ispace 公式HP: https://ispace-inc.com/jpn/
● YouTubeアカウント
○ ispace (英語配信予定): https://www.youtube.com/@ispace9464
○ HAKUTO-R チャンネル(日本語配信予定) : https://www.youtube.com/@HAKUTOR
● Twitterアカウント
○ ispace Twitter(英語):@ispace_inc
○ HAKUTO-R Twitter(日本語): @ispace_HAKUTO_R