●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●インフレーション検証衛星「LiteBIRD」、「重点大型研究計画」に選定

2014-04-04 22:04:24 | 人工衛星
 インフレーション宇宙を検証するCMB偏光観測小型科学衛星「LiteBIRD」が日本学術会議が策定した「第22期学術の大型研究計画に関するマスタープラン」の「重点大型研究計画」27件の一つに選ばれた。

 インフレーションは、ビックバンの前に宇宙が急激に膨張する現象で、日本の佐藤勝彦やアメリカのアラングースなどが、その存在を予言している。先頃、カリフォルニア工科大学など11機関が参加する観測チームが,南極にある望遠鏡を使って、インフレーションが終わって、冷えた宇宙に見られる重力波の痕跡を発見して、話題となった。

 LiteBIRDはインフレーション期(宇宙誕生後約10–38秒の世界)に生成された原始重力波の探索を行う衛星であり、CMB偏光の全天精密観測を行うことにより、代表的インフレーションモデルを検証することを目的としている。

 原始重力波による時空のゆがみはCMB偏光分布にBモードと呼ばれる特殊なパターンを生成し、その観測は、二度のノーベル物理学賞に輝いた従来の「CMB温度測定と揺らぎ測定」を超えて、宇宙創生に関する新たな知見を人類にもたらすと期待されている。
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●宇宙探査●JAXAなど、「いぶき」による月別メタン収支の推定結果発表

2014-04-02 18:12:27 | 人工衛星
 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」は、環境省、国立環境研究所(NIES)および宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した、世界初かつ唯一の温室効果ガス観測専用の衛星。二酸化炭素とメタンの濃度を宇宙から観測することを主目的としており、平成21年1月23日の打上げ以降、現在も順調に観測を続けている。

 今回、メタン濃度の「いぶき」による観測データと、地上観測点における観測データとを用いて、平成21年6月から平成23年5月までの2年間について、全球の月別・地域別の正味のメタン収支(消失と放出の総量)を推定した。

 衛星観測によるメタン濃度データを活用して全球のメタン収支を定量的に推定するとともに、東南アジア域や、南米及びアフリカの南亜熱帯地域のメタンの放出がよりはっきりするなど、「いぶき」観測濃度データの有用性が明らかになった。

 今回、得られたメタン収支量の結果は、国内外の専門分野の研究者による確認の後、本年夏までに一般ユーザに公開する予定となっている。
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●宇宙探査<ブックレビュー>●「べテルギウスの超新星爆発」(野本陽代著/幻冬舎新書)

2014-04-01 15:03:16 | ●宇宙探査<ブックレビュー>●


書名:ペテルギウスの超新星爆発―加速膨張する宇宙の発見―

筆者:野本陽代

発行:幻冬舎

目次:第1章 ベテルギウスに爆発の兆候?!
          晩年を迎えたベテルギウス
          ベテルギウスに爆発の兆候?! など
    第2章 星の誕生と進化
          地球中心から太陽中心へ
          太って赤くなるのは老化現象 など
    第3章 たそがれを迎えた星たち
          彗星の番人の誤算
          客星現る など
    第4章 宇宙の扉を開く
          ミクロの世界、マクロの世界
          宇宙の過去を見る方法 など
    第5章 宇宙はどこまでわかったか
          夜空はなぜ暗いのか
          昨日のなかった日 など
    第6章 加速膨張する宇宙の発見
          謎のエネルギーの存在
          恐竜の絶滅と超新星探し など


 この書籍の筆者の野本陽代氏は、慶応義塾大学法学部卒業して翻訳業を営むサイエンスライターなのではあるが、これまで出版してきた天文学の著作を読むと専門の天文学者顔負けの博識ぶりにはただただ敬服させられる。このことは、2004年から2011年まで文部科学省宇宙開発委会委員を歴任していたことからも裏付けられる。

 そんな野本陽代氏の最新の著作がこの「べテルギウスの超新星爆発―加速膨張する宇宙の発見―」(幻冬舎新書)である。ペテルギウスとは、我々にお馴染みのオリオン座にある1等星のことであるが、このペテルギウスが近く爆発するかもしれないというニュースが世界中を駆け巡った。この星は地球から約630光年と比較的近い距離にあるので、爆発すれば満月と同じくらいの明るさになると言われている。

 明るいだけなら問題はないのであるが、爆発と同時に強力な放射線が発射され、地球がその放射線を浴びれば人類を含む地球上の生物に致命的ダメージを与えるのではないかとも言われてきた。幸い、この放射線から地球の位置がずれていたので事なきことが分った。ことほど左様に宇宙は日々激しく活動しているわけである。この本はそんな宇宙の成り立ちから、これからの宇宙がどう変化を遂げていくのかを超新星という現象を例にとり、誰でもが理解できるよう平易に解説してある。

 現在の宇宙は膨張していることを証明したことに対し、2011年のノーベル賞が授与されたが、この受賞者がまだ学生の駆け出し時代から筆者は交流を持っていたという。この宇宙膨張のいきさつを紹介する第6章などは、何か推理小説でも読んでいるような感覚に襲われる。宇宙がどう生まれ、これまで人類がそれをいかに探求し、さらにこれからの展開はどうなるのかに興味がある人には欠かせない書といえる。
(勝 未来)
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