菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

たった一つ残った契約。 『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』

2020年03月23日 00時00分25秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1689回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

 

 

 

斜陽の老画商が、作者不明の肖像画と出会い、それがかけられるオークションで競り落とし、もうひと花と大勝負に挑む中で、顧みてこなかった過去と向き合う羽目になるドラマ。

 

主演は、『ヤコブへの手紙』のヘイッキ・ノウシアイネン。

 

監督は、『ヤコブへの手紙』、『こころに剣士を』のクラウス・ハロ。

 

 

物語。

長年美術商を営んできたオラヴィだったが、近頃は経営も厳しくなってきて、人生の終幕を意識し始めていた。
そんなある日、疎遠だった娘から、学校で問題を起こした孫のオットーの職業体験の引受先になって欲しい、と電話がくる。しかし、オラヴィは無視する。
オラヴィは、オークションの下見で、ある肖像画に目を奪われる。サインもなく、作者不明でインテリアのように出品されていたその絵に惹かれる。
その絵のことを調べる中で、埋もれた名画ではないかと思いを強めていく。確証を得られれば、オークションで競り合える資金を得られると奔走するが、時間も手も足りない。
そこに、今度は娘自身がオラヴィの店を訪れ、再び、オットーのことを頼んできた。

脚本は、アナ・ヘイナマー。

 

 

 

出演。

ヘイッキ・ノウシアイネンが、オラヴィ・ラトルベ。
ピルヨ・ロンカが、レア。
アモス・ブロテルスが、オットー。

パルッティ・セヴェホルムが、パトゥ。
クリストファー・モーラーが、ラッベ。

ヘンリッキ・ハーヴィストが、オークション会社のオーナー。

ステファン・サウクが、アルベルト・J(ジョンソン)。

 

 

スタッフ。

撮影は、トゥオーモ・フートリ。

プロダクションデザイナーは、カイサ・マキネン。
衣装デザインは、サリ・スオミネン。

編集は、ベン・マーサー。

音楽は、マッティ・バイ。
音楽プロダクションは、サムリ・コスミネン。

 

 

 

現代フィンランド、老画商が作者不明の絵のオークションでの競り落としに挑み、過去と向き合うドラマ。
長い連続ドラマを見たかのような味わいがある、重みある時間の流れを感じさせる。
フックとなるオークションの先もきちんと描く、剛腕の語り。
演出の妙で日常の泡がふつふつと立ち上がってくる。
ヘイッキ・ノウシアイネンの佇まいがすでに物語。
老画商と小さな画廊と暮らす部屋の3つで主人公。
美術の的確さに唸る。レトロなそれらは見ているだけで奥行きが生まれる。
作家の絵画的知識が物語を豊かにしている。
欧州映画の良質がここにある。
この甘辛の先の玄妙の絡まり、ああ、これぞ人生味な託作。

 


  

 
 
 
 おまけ。

原題は、『TUNTEMATON MESTARI』。
『知られざる名作』。

国際題は、『ONE LAST DEAL』。
『最後の一契約』。

 

 

製作国は、フィンランド。
上映時間は、95分。

 

 

配給は、アルバトロス・フィルム=クロックワークス。

 

 

オラヴィがパトゥに借りられた2000ユーロは2018年だと約25万円。

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

日本の予告だとオークションの部分を強調されているが、画商だからその後その絵をどう扱うかが重要という本当の最後の契約(遺書)についての物語になっている。
だからこそ、遺書はあの名画の裏に隠されていたのだろう。

 

 

wikiによると。

イリヤー・エフィーモヴィチ・レーピン(Илья́ Ефи́мович Ре́пин, Ilya Yefimovich Repin, 1844年8月5日[1]〈ユリウス暦7月24日〉 ハリコフ近郊 - 1930年9月29日 フィンランド領クォッカラ(フィンランド語版))は、移動派を代表するロシア帝国の画家・彫刻家。
心理的洞察を持ち合わせた写実画によって名高く、いくつかの作品は既存の社会秩序の矛盾や階層間の緊張を露わにしている。社会的名士の肖像画を制作する一方、しばしば貧困や差別にあえぐ社会の最下層を題材として、数多くの作品を残した。その作品やテーマの社会性から、1920年代半ば以降のソビエト連邦においては当時の社会主義リアリズムに適合する模範的画家として評価されていたが、ソ連崩壊後の現在は扱ったテーマの多様性を客観的に見据えたうえでの、業績の再認識が求められている。

晩年、レーピンは、サンクトペテルブルクの真北にあるクォッカラに自宅"ペナトゥイ"を構えた。1917年のロシア革命とフィンランド独立によって同地がフィンランド領に編入されるが、レーピンはそのまま同地に留まった。ソ連政府はたびたびレーピンに帰国を要請したものの、あまりに高齢であることを口実にレーピンは帰国を断わり続けた。レーピンの死後、ソ連・フィンランド戦争によって領土が再編されると、クオッカラはソ連当局によりレニングラード州に編入され、レーピンにちなんでレーピノと改名された。"ペナトゥイ"は1940年にレーピン美術館として公開され、現在は「サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群」の一部として世界遺産に登録されている。

レーピンは、自分と出自の同じ一般大衆に生涯を通じて注目し続け、しばしばウクライナやロシアの地方の庶民を描いたレーピンだが、後年になるとロシア帝国のエリートやインテリゲンチャ、ニコライ2世などの貴族・皇族らも描くようになった。レーピンの有名な肖像画として、アントン・ルビンシテインやモデスト・ムソルグスキー、レフ・トルストイ夫妻を描いたものが挙げられる。

それは商売として描いていたものなので映画に出てくるような状況がありえる。
キリストの肖像画に関しても、彼は学生時代に宗教画を描いて賞を得ており、まさに埋もれた名画という状況があり得るそう。

 

 

オラヴィがオットーに投資させた4000ユーロは2018年だと約50万円で、競り落とした1万ユーロは約130万円。

 

原題の『知られざる名作』は、三つにかけられているのではなかろうか。
レーピンのキリストの名画、オラヴィの目利き、そして、これからのオットー。

 

 

 

 

コメント   この記事についてブログを書く
« Twitterのまとめ 3/22 | トップ | 仮想味方。 『架空OL日記... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(公開映画)」カテゴリの最新記事