菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

惜しいメモリーを知ろう、まさにね。 『ゴースト・イン・ザ・シェル』

2017年04月22日 00時00分09秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1072回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『ゴースト・イン・ザ・シェル』

 

 

 

押井守監督による『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』をはじめとするアニメ・シリーズでも世界的に知られる士郎正宗の傑作SF漫画『攻殻機動隊』を、ハリウッドで実写映画化したSFアクション大作。

 

監督は、『スノーホワイト』のルパート・サンダーズ。

 

 

 

物語。
電脳ネットワークが発達し、肉体の一部義体化が当たり前になった近未来。

ミラ・キリアンを悲惨な事故から生還させるために、ロボットや義体化で第一の大企業ハンカ・ロボティックスの科学者であるオーレイは、彼女を初の脳以外全身義体化させる。

3年後、彼女は少佐と名乗り、タフで有能な精鋭メンバーを擁する公安9課の主任として、凶悪なサイバーテロ犯罪に立ち向かっていた。

だが、拒否反応によるバグや喪失した記憶がフラッシュバックのように戻ることなどが彼女を蝕んでいた。

ハンカ・ロボティックス社の関係者が連続で襲われる事件が発生。

捜査を進める中で、クゼという凄腕のハッカーの存在が浮かび上がってくる。

 

 

原作は、士郎正宗 『攻殻機動隊』(あと、アニメ版『攻殻機動隊』シリーズ。特に押井版)

脚本は、ジェイミー・モス、ウィリアム・ウィーラー、アーレン・クルーガー。

 

 

 

 

出演。

スカーレット・ヨハンソンが、ミラ・キリアン少佐。

見た目上はかなり似せています。原作でも青い目ですしね。

さすがに、内面の見せ方が上手い。

 


ビートたけしが、公安9課課長の荒巻大輔。

流石の存在感。ちょっと聞きづらいですけど。

 

ピルー・アスベックが、バトー。

非常にいい空気を出してます。義眼レンズは原作でも外れます。

 

 

ピーター・フェルディナンドが、カッター社長。

ジュリエット・ビノシュが、オウレイ博士。

アナマリア・マリンカが、ダーリン博士。

 

マイケル・カルメン・ピットが、クゼ・ヒデオ。

 


チン・ハンが、トグサ。

ラザラス・ラトゥーリーが、イシカワ。

ダヌーシャ・サマルが、ラドリヤ。

映画オリジナルキャラです。

 

泉原豊が、サイトー。
タワンダ・マニーモが、ボーマ。

 

ピート・テオが、トニー。

 

福島リラが、芸者ロボ。


桃井かおりが、ハイリ。

山本花織が、モトコ。

 

村田真が、ヤクザ・ガンマン。

 

 

 

 

 

 

 

 

スタッフ。

製作は、アヴィ・アラッド、アリ・アラッド、スティーヴン・ポール、マイケル・コスティガン。

製作総指揮は、ジェフリー・シルヴァー、藤村哲哉、野間省伸、石川光久。

撮影は、ジェス・ホール。

正面的な画で多少合成感はありますが、違和感のない仕上がりです。

 

プロダクションデザインは、ヤン・ロールフス。
衣装デザインは、カート・アンド・バート。

アニメ的な要素を残しつつ、実写化していて、いい仕事ですが、逆にオリジナリティが薄く、力強さがない。

 


編集は、ニール・スミス、ビリー・リッチ。

 

音楽は、クリント・マンセル、ローン・バルフェ。

川井憲次の曲へのオマージュもありで、EDで実際の曲も流れます。

 

 

 

 

 

近未来、脳は人間、体は機械の捜査官がある会社を狙うテロリストを追うSFサスペンス。

アメリカ実写版『攻殻機動隊』はアニメ版と原作へのオマージュ満載。言ってしまえば『攻殻機動隊』ビギンズ。
原作など知っていると混乱するが、内容はかなり分かりやすくなっている上、まとまりもよいんだけど、入れている要素が多いので、非常にアンバランスで話は薄い。
政治的な要素もがっつりある原作ゆえ、政治的な論争に巻き込まれたのはある意味で真っ当な流れともいえる。
機械的立ち方や皮膚感などディティールへのこだわりは嬉しい。
タイトルとテーマが逆転してしまった義作。

 

 


 
 

 


 
おまけ。

原題は、『GHOST IN THE SHELL』。

『殻の中の霊』といったところですか。

とくに、この“GHOST”は解釈がちょっと難しいのです。魂の特徴というか、魂の格・・・。原作でもテーマになっている言葉で、人間を特徴づける何かを指しています。

 

原作漫画の最初からついている英語題です。

原作漫画の題名がそもそも『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』で、アニメ版のタイトルは『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』。

 

 

 

 

 


上映時間は、120分。
製作国は、アメリカ。

 

 

 

 

キャッチコピーは、「体は義体 脳だけが自分 世界最強の捜査官。私を作った奴らに私を止めることはできない」

分かりやすいようで、微妙に間違っており、いい出来とはとても言えないです。

今回は、肉体を失うところから描かれる(原作では少佐の元の体は出てこない)上に、義体自体が当たり前になっているので、手術で機会になるのは自分の選択で可能な時代なので、機械の武運はあなたではないはあっているようで間違ってもいる。病気や事故で失い、技肢部分はあなたではないのか、性同一性障害の方が手術で意識と体させた場合には、なんというのかってことです。難しいところですが。

続く「私を作った奴らに私を止めることはできない」はひどい。これある意味では、ネタバレですから。

おいらなら、「体は機械 脳は人 電脳捜査官は自身を捜す 私の命は私のものか?」にします。

だって、“世界最強”と“止めることはできない”は、ダブってるもの。

 

 

 

 

 


あえての吹替版で鑑賞。

アニメ版の声優がほぼキャスティングされたこともあり、情報量に負けないため。

特に少佐は、同じ声で違う外観は義体感が強まって楽しめた。

後から載せられた声が合うし、前世(アニメ)のようなイメージで、ゴーストを感じるというかね。

ただ、ビートたけし北野が自分の声(オリジナルでも日本語)なのに桃井かおりは英語なので、吹き替えられてるdなけど本人じゃなくて、桃井かおりに似た声の声優がモノマネでもない感じでやっていて、ある意味ですごく上手いけど、違和感という奇妙なすごく進化した翻訳ソフトがしゃべってるような錯覚にもなったりして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

タチコマが出ないのは残念。

多脚砲台は出るんだからさぁ。

『スターシップ・トゥルーパーズ』でパワードスーツが出ないのを思い出したわ。

『3』で無理矢理出してたけどね。

 

 

 

スカーレット・ヨハンソンはかなりよかった。

義体を演技で表現していて、しびれた。立ち姿が動かない、無表情の奥に、痛みや苦悩を感じさせる。

特に、娼婦に対してのシーンなどは、痺れます。

と前置きしといて、なおそれでも、少佐役には『エクス・マキナ』、『ハートビート』のソノヤ・ミズノを起用してもよかったのではと思う。(漫画『攻殻機動隊2』の義体を変えた少佐の方に似ているから、そのまま続編ではそっちの外見を活かすのもできたはず)

彼女であれば、義体的な強烈な動き(英国ロイヤル・バレエ・スクール出身でダンサーとしても活躍)ができただろうし、また違った肉体表現で見せられることができたのではないか。

まだ映画では主演作がない(『Ambition』(2017)は主役の一人っぽいが? )けど、だからこそ、作品を背負ってもらうってのもアリだったと思う。

(このイメージに引っ張られているのだけど、

The Chemical Brothers ft. Beck 『Wide Open』 

https://www.youtube.com/watch?v=4bAs79MEgt4)

人種を代表する新たなスターを生み出す可能性を奪ったいう点に突っ込みたくなる気持ちはわからなくもない。

で、まだ知名度が弱い彼女を補うために、バトーにマイケル・ファスベンダーとかサム・ワーシントンとかジョシュ・ブローリンとかウディ・ハレルソンといった有名スター起用で作品を担保し、続編では『イノセンス』で主役にするのもありだったろう。『スノーホワイト』→『スノーホワイト/氷の王国』の流れもあったわけだし。

(バトーは日本人かどうか明確ではないが、偽名で“抜題(バトー)”を名乗ったことがあるので、アジア系であるが

マイケル・ファスベンダーなら『フランク』で被り物で顔出さないキャラもやってるから義眼レンズも問題なかったろう。ただ、モテない設定にしては色気がありすぎるけどね。少佐とヒデオとの三角関係の部分を広げられた可能性さえある。

ウディ・ハレルソンはサングラスのイメージ強いし、『ハンガーゲーム』の戦うヒロインのサポーターのイメージもあるしね。

でも、今作のピルー・アスベックは大変良かったのよ。

 

元の生身の草薙素子は、日本人の山本花織が演じています。ほとんど顔見えないけど。

日本人を殺して、白人の容姿の義体と記憶を与えたホワイトウォッシュ自体が物語のテーマに組み込まれている。

相手のアイデンティティを奪って、機械にするハンカ・ロボティックスの罪をもう少し強調することで、公開後の政治的評価は変わっていた気もする。

原作では、青い目にしていたり、実は白人寄り(ハーフ系の見た目)のキャラにしてあるし。

 

 

 

 

日本というよりは、台湾(台北)、上海の雰囲気の街並み。

街中の宣伝用CGが中国っぽいことなのよね。あと、日本語のフォントがダサい。

(中国で売るために、あえて、そうした可能性がある。そういうビジネス臭って、リスペクトしているようで利すエクトの薄差を感じさせる)

設定では、架空のアジアの都市だそう。

あの宣伝関係の見せ方は、『マイノリティ・リポート』とか『ゼロの未来』の系譜。

『ブレードランナー』から発展させた未来の街のデザインの系譜をまとめた架空観光ガイドブックって見てみたいなぁ。

 

 

 

 

結局、物語は『ブレード・ランナー』と『ロボコップ』からのアレンジとして、中途半端なのも残念。

しかも、テーマが『バットマン・ビギンズ』で打ち出していた「人の本性は行動で決まる」なのもなぁ。

でも、AIが発達して、プログラムでその人らしく動かせる可能性があるわけで、この映画では逆にそれは答えにならない。

だって、『ダークナイト』でそれを先に進め、本性とイメージは違い、その人を示す情報のみを信じるべきではない、というとこまで行ったのに。

近いテーマで攻めたオリジナルと押井版を見ていて、どうして、戻すかねぇ。

とはいえ、ロボコップの女性版を安っぽくしないで、きっちりSFにしたのは評価できる。

 

 

 

犬の姿まで似せているのは、まさにオマージュ。

『アヴァロン』などの名前もそうですね。

『ブレードランナー』などへのオマージュも。

 

ビギンズ的な内容でもあるので、映像で他の『攻殻機動隊』作に似ている分、変な混乱が起こります。

 

 

 

 

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