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大切な人の為に 『THE WINDS OF GOD ― KAMIKAZE ―』

2006-09-08 23:58:51 | movie
「THE WINDS OF GOD ― KAMIKAZE ―」鑑賞
シネ・リーブル池袋にて最終日最終回滑り込みで見てきました。満席!?
今井雅之作演出主演で有名な舞台の映画化で、今回も監督主演をされている。
こだわりは台詞が全編英語(ごく一部日本語が聞ける!)で作られていること。
 千葉ちゃん映画出演の情報の一報が入ったこの作品、撮影日数は一日だったようですが、期待以上に出演シーンも多く存在感も出ていて満足。(笑)

 生まれ変わりという仕掛けに、特攻隊という題材を取り込んだ、今井雅之の思いがこめられた舞台を映画化したもので、舞台を何度も見ているファンにとっては、感動物なのだろうが、自分は舞台をまともに見ていない。(ちらとテレビで見ているのですが・・・)今回「THE WINDS OF GOD」ワールド初体験で、映画監督・主演俳優で大奮闘の今井雅之氏の熱が伝わって来る作品だった。

 千葉ちゃんは、白の制服に身を包み、貫禄もあり、キリリッと決まっていました!東映時代、特攻隊だった千葉ちゃんが今や、隊長役。感慨深かったです。(笑)そして、千葉ちゃんの話す英語の台詞が違和感なく聞こえてきたのも、意外な嬉しさでした。(笑)

ストーリーは・・・・(※ネタバレ注意!)

 ニューヨーク、コメディアンのマイクとキンタは、ステージが受けずクビになる。センタービル跡地グランド・ゼロで、9.11同時多発テロで亡くなった恋人の写真を手に立つマイクは、ラスベガスでコメディアンとして再起を図るべくキンタを乗せてバイクを走らせトラックに衝突した。
 マイクが目を覚ましたのはベッドの中、鏡に映った姿はアジア人の男、終戦間近の負傷した特攻隊員の一人になっていた。隣のベッドには、やはり姿が変わってしまったキンタが寝ていた。時は1945年8月。事故の瞬間、前世の自分に入れ替わった?!二人。二人の前世は神風特攻隊員だった。一人、又、一人と、様々な思いを胸に飛び立つ特攻隊員数人と打ち解け、見送りつつも、特攻隊を受け入れるとこが出来ないマイク。恋人や家族と時を過ごしたキンタは、終戦の日の朝、神風特攻隊員としてゼロ戦に乗り飛び立つ。キンタを、必至に止めようとゼロ戦を追いかけるマイクも、気が付くと自らゼロ戦の操縦桿を握っていた。目の前で、突撃して行ったキンタの姿を見たマイクも、いつの間にか特攻隊員の形相で、敵艦へと突っ込んで行った。
 現代のアメリカ、ニューヨーク、キンタの墓に花を捧げたマイク。老神父が去った後のベンチに、お腹の大きな若い娘が変わりに座った。話しかけるマイクは、気が付くとコメディアンの夢を語る、若者に戻っていた。

 オープニングとエンディングの空気が穏やかで良かった。そして、ラスト、走る今井さん演じるマイクの心の動きは、胸に迫ってきた。大切な人の為に、その人たちを失いたくないから、若者はその人たちへの思いを胸に、夢を抱いて、自分の命を捧げた。憎しみとか、天皇陛下とかそういうことよりも、自分すぐ側にいる大切な人への思いを胸に・・・・。そんな思いが胸にこみ上げた一瞬だった。

 泣けなかった!隣の方が号泣していたにもかかわらず・・・。今井さんが力の籠持った熱演で叫ぶたびに、気持ちがさめる自分がいた。自分も特攻隊には思い入れがあり、特に見送る役には拘りもあるのだが・・・。
 一つには、英語の台詞。どうしても最後まで特攻隊の話す英語に違和感が拭えなかった。

 二つは、舞台と映画の空間の差。観客の目の前で全身で、異常な状態を熱演し観客を引き込む演劇に対して、映画は監督が全てを総括した一つの世界を、カメラを通して大スクリーンに映し出す。最大の魅力はアップやロングショットだと思う。もっと利用すれば、舞台と違った感動があった気がする。すべてが間近にあって、息遣いも汗も呼吸も間近に体感出来る舞台。映画は、どうしても距離が出来てしまうし、熱演も連続では、効果が薄れてしまう。台詞のないところの映像も映画の見せ場。あまりに明るい教室でのシーンに、悲惨な時代を重ねるのも少々違和感を感じてしまった。

三つ目は、。亡くなっていく隊員の飛行機の突撃に見立てた、当時の映像とその後に出てくるブラックバックに名前が紹介されるパターン。真っ黒なシーンは何度も使うと効果が薄れる印象が・・空が綺麗だっただけに、海がきらきらしていただけに、ちょっと黒の処理はもったいない気もした。
芝居には暗転があるが、映画の『黒』は多用は危険な気がした。

とは言え、多くの人に、神風特攻隊として生きなければならなかった若者の思いが伝わりますように。平和の願いが届きますように祈っています。

コメント
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