一期一会

日々是好日な身辺雑記

秋月記/葉室麟

2015年08月30日 | 日記



今年の夏は変な気候である。
猛暑日が続いていたと思ったら、今週は小雨まじりの日が多く日中の気温も25℃と、
短パン・Tシャツでは涼しく感じてしまう。
昨日、今日と日課のジョギングも出来ず本を読んで過ごす。
こんな天気で逆に読むのがはかどる。
スペイン旅行に行くまでは、スペインに関する本だけ読むという具合に偏っていた。
その旅行から帰ってきてからは、好きな作家の未だ読んでいない本を図書館の
検索システムで探し読み始めた。従って新作はなく旧作ばかりだ。
因みに話題の「火花」は図書館の検索システムで見ると予約待ち人数が600人となっていた。

ジョン・ル・カレ「サラマンダーは炎の中に」、ダン・ブラウン「インフェルノ」、
何故か未読だった司馬遼太郎の「項羽と劉邦」等どれも面白かった。
本屋大賞関連では恩田陸「夜のピクニック」、三浦しおん「船を編む」で、
確かに全国書店員が選ぶ本という謳い文句通りの作品だった。
「夜のピクニック」は青春小説というジャンルの本かと思っていたが、
そんな定義の枠を超えた読み応えのある本だった。
他の本屋大賞作品では、沖縄新聞社発言で物議を醸した百田尚樹の「海賊と呼ばれた男」。
「永遠の0」と同じく、この人の根底にある「日本人とは」という考えが色濃く出ている内容だった。

7月、8月と暑さ凌ぎに読んだ13冊の本は、どれも外れはなく面白かったが、
その中でも一番は昨日・今日と読んだ葉室麟の「秋月記」だ。
この人の本は「潮鳴り」を1ヶ月前に読んだが、それ以上に良かった。

葉室麟の時代小説であるこの本は、「蜩の記」「潮鳴り」と共通するのは
九州の小藩を舞台に、藩内抗争をテーマにしている事。
そしてこの藩内抗争を、TV時代劇のお家騒動のように、善玉悪玉の色分けの
勧善懲悪の物語として描いてないところが良い。
主人公小四郎をはじめとする若き藩士が、藩政を牛耳る家老宮崎織部を
権力の座から降ろそうとする事を中心に物語は展開する。
専横的な政治をする家老宮崎織部も別な見方が・・・という描き方は、
山本周五郎「樅の木は残った」の原田甲斐の描き方を思い出させた。
葉室麟の時代小説を読んで惹かれるのは、主人公の武士と取り巻く人の
(凛とした高潔さ)だ。

そんな(昔の日本人は)という事を感じる「秋月記」、絶対オススメの一冊だ。
次の一冊は既に手元に来ている横山秀夫「64」だ。
この本は2013年の本屋大賞が「海賊と呼ばれた男」だった時の2位の作品で
「クライマーズハイ」に次いで読む横山秀夫の本だ。

来週も小雨模様の天気のようなので(雨読の日々)となるか。
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