一期一会

日々是好日な身辺雑記

個人投資家の反乱

2021年02月23日 | 雑記
モルガン・スタンレーやクレディ・スイスなどの外資空売り機関については、中小型株の下落局面で空売り状況と株価を確認すると、その威力をまざまざと見せつけられる。
空売りの標的にされると、小型株でも一桁違う出来高となり、超高速取引HFTでの売買なので、寄り付き後と引け前の5分間くらいの値動きが特に激しく、株価ボードの時刻が15:00になるまで売りと買いでの株価変動が続く。その時に大型株の値動きを確認しても、いたって穏やかなものだ。
ヘッジファンドが作りだす場中の値動きに即応出来ないし、デイトレードをしているわけでもないので、売買のタイミングは、ある程度相場の流れを予測して、事前に1ヶ月有効の指値設定で対応している。

そんな空売り機関に一矢報いるような痛快な出来事が、アメリカでの人気投資アプリロビンフッドを舞台に起きた個人投資家の反乱だ。世界最大のゲーム専門小売会社ゲームストップ株へのヘッジファンドの空売りに対し、SNS「レディット」でのゲームストップ株買いの呼びかけに個人投資家が呼応し株を買い上げ、株価が急騰しヘッジファンドが数千億円の損失を被った。

この株式市場の出来事については、先週18日下院のオンライン公聴会が開かれ、ヘッジファンド「シタデル」のCEOとロビンフッドのCEOが出席し、議員からの厳しい質問を浴びせられた。
ロビンフッドの株式取引停止の決定は、ゲームストップ株の空売りを仕掛けたヘッジファンドが主導したという事は否定したが、株式取引無料のロビンフッドの収益源は、シタデルのような超高速取引HFTのヘッジファンドへ発注情報を回して得る手数料からなっている。
ヘッジファンドのHTFを使ったサヤ取りの仕組みの説明は省くが、要は後出しジャンケンのようなものだ。

テスラの大幅な株価上昇についても個人投資家の存在が言われ、コロナウィルスによる補償金と絡めての上昇要因も言われているが、どうなのかは分からない。
ただゲームストップは米国会社四季報を見ても、売られて当然の業績の株で、ヘッジファンドの空売りに対抗し、SNSでの買い上げの呼びかけで急騰したというのが特徴的だ。
ABCニュースなどで買い手の個人投資家のインタビューを見ると、投資と言うよりウォール街が生んだ金融資本主義・株主資本主義による格差社会への抗議で、ヘッジファンド攻撃の目的の買いだったのだろう。公聴会はまた開かれるようだ。


(ロビンフッドCEOウラジミール・テネフとシタデルCEOケン・グリフィン)
 
(ゲームストップ社の株価チャート)


空売り機関への恨みがあるような文になってしまったが、空売りは合法的なものなので、それ自体は特にどうという事もないが、外資空売り機関の売り煽りのようなレポートについては冷静ではいられない。特に保有株についての客観性を欠いた恣意的なものについては。

前にこのブログで書いたが、1/5のクレディ•スイスのレポート「2021年に持つべき銘柄•避けるべき銘柄」でSCREENを避けるべき銘柄として、株価7610円の時に目標株価4430円とした。
そして先週18日(木)にはモルガン・スタンレーが投資判断を格下げし目標株価を7700円とした。2日前の16日(火)にはみずほ証券がレーティングを(中立)から(買い)に格上げし、目標株価を12500円とした。この評価の大きな違いは何なんだろう。
因みに同じくクレディ・スイスが避けるべき銘柄として挙げ、目標株価3890円にしたアドバンテストは現在の株価は9670円で、SCREENは9370円だ。

半導体需要の逼迫からの設備投資増の市況や、今期・来期の増収増益の業績を反映していない。モルガン・スタンレー、クレディ・スイスも空売り機関として指折りだ。

空売り機関に対して一泡吹かせてやりたい気がするが、日本の市場では単元株数や取引所の数などからゲームストップ株のような事は起きない。