一期一会

日々是好日な身辺雑記

オンライン決算説明会

2021年02月16日 | 雑記
昨日は株式保有銘柄チェンジの2021年9月期のQ1(10月〜12月)の決算発表が引け後にあり、そのオンライン決算説明会が19:00からZOOMを使ってあったので、早めに夕食を済ませ10分前に指定のURLに接続して始まるのを待った。
チェンジについては1/17のブログ「会社四季報・・」で書いているが、1/12に買ったもので、2年前から成長株候補としてウォッチしていたが、他の候補Shift、北の達人、システナ、GNI、じげんなどで回転売買していた。Shift以外は2回転売買をしたが、Shiftは(押し目待ちに押し目なし)の格言通り、買うチャンスが巡って来なかった。

チェンジは2年越しでウォッチしていたのを、右肩下がりのチャートを見て買った株価は、先週には3845円と20%近く上昇した。

15:00に発表になった決算はQ1の実績が売上77億9900万(79%増)、営業利益46億1800万(73%増)、純利益30億1500万(149%増)となり、通期予想は売上162億8100万(58.4%増)、
営業利益55億7100万(32.6%増)、純利益36億2300万(76.8%)という数字だった。
この数字で直ぐに目につくのがその成長率と、ITサービスという業種からの利益率の高さだ。そして営業利益のQ1実績と通期予想を比べると進捗率が91%という数字がこの会社の収益構造を表している。(ふるさとチョイス)というふるさと納税のシステムが大きな収益源となっているのだ。
オンライン決算説明会では福留大士社長から実績、通期予想、中期経営計画などの説明が40分ほどあり、その後Q&Aと続いた。










数字は決算短信を見れば分かるのだが、成長期の会社はトップの力量が重要で、それは文字に起こしたものではなく、直接語りかけるところを聴くのが1番だ。
福留社長についても投資前にそのキャリアと人となりを調べており、44歳という年齢とアンダーセンコンサルティング勤務から27歳でチェンジ創業、2012年衆院選に日本維新の会から出馬し落選というキャリアに興味をもった。
若くして起業しただけに色々な質問が出るQ&Aでの説明も、言い淀む事もなく明快で話も論理的で、2年前に株主総会で聴いたエムスリーの谷村社長のようだった。

企業ポリシーを社会課題の解決と定義し、事業拡大の場を地方にシフトするとし、地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)や、地方銀行が保有するお金のデーターから地域商社として変化するとの読みと、そのDX化を事業領域とすると述べた。
色々な要素から銀行業務は大きく変わるだろうし、地方銀行の再編も管政権が提言しているし、コロナウィルス禍で行政のDX化の遅れを指摘され、デジタル庁創設もされるので、時勢に合った事業計画だ。
中央官庁は大手システムインテグレーターに押さえられているので、地方自治体への注力も理に適っている。この分野でコニカミノルタとの協業も進めている。

新しく伸ばしいく事業分野として、デジタル人材育成事業を挙げ、この分野でKDDIとの合弁会社設立も先月契約締結している。
もう一つのセグメントの投資ではこの日決算発表があった(株)ライトアップがストップ高となり、7000万円の含み益となっていると答えていた。ベンチャーへの投資というビジネスモデルはカカクコム等に投資するデジタルガレージのようだ。

今年10月からスタートする3ヶ年中期経営計画では売上、利益も3倍増とし、従業員数も371名から4倍の1500名にするという野心的な計画で、ITサービス会社として人材が1番重要だと明言した。この成長戦略については具体的に大型M&Aを視野に入れているという明快な回答だった。

中期経営計画の成長戦略の中で印象的だったのが、(ビジネスモデルの連続的進化)という説明で、コンサル型→SaaS型→プラットフォーム型への進化という事だ。
コンサルで現在の売上・収益を3倍にするのは難しいが、SaaSからプラットフォーマーとして進化出来ればこの中期経営計画も実現出来るだろう。
目標とする会社はとの質問には、特にないが数字的にはエムスリーと答えたのも印象的だった。ITサービスという同じ分野で(じげん)という会社を株主として見てきたが、プラットフォーマーになるのはかなり難しい。ITサービス会社として大きく飛躍するにはそこが重要で、そういう点でメルカリの進化にも興味を持って見ている。









19:40分頃から始まったQ&Aは休憩もなく続けられ、2時間を過ぎたあたりで同じような質問が出始めたところで退出した。この間福留社長が1人で対応し、Q&Aは4時間に及んだらしい。他の保有銘柄でもIRについては各社まちまちで、大阪八尾に本社がある電子部品メーカーは決算短信をWeb上に載せるだけとか、アナリスト向けだけの決算説明会だけとか、ホームページのIRの出来も色々だ。

そんな中で福留社長の個人投資家に長時間丁寧に対応する姿は印象的だ。
昨年10月末の東洋経済で、フェアディスクロージャーとして機関投資家に対しても、個人投資家に対しても会社の状況や、今後どういう施策を考えているかを、しっかり開示すると述べている。
また従業員、株主、顧客、社会というステークホルダーのバランスの重要性を説き、上場企業の経営者が、あらゆるステークホルダーの中でいちばん理解が乏しいのは個人投資家ではないかと疑問を呈している。それはおかしいと思っていて、オンライン説明会でも自分の体力の続く限り、個人投資家からの質問に対する回答などのコミュニケーションは、最大限やりたいと述べている。昨日のオンライン説明会はそんな前言を実践したものだった。
その会社経営の志の高さと誠実さで、長期保有株主として応援したくなる経営者だ。

株主還元策として配当の実施と自社株買いについての質問には、配当は成長が止まった段階で考えるとし、成長段階では1円でもその成長政策に使うとの明快な即答だった。
自社株買いについても、それをして消却するような自社株買いはしないとこれも明快だった。日本維新の会というキャリアとその語り口から大阪吉村知事を連想した。
自社株買いでの株価つり上げについては、ウォール街のアメリカ型の金融資本主義・株主資本主義の最たるもので、そんなお金があるのであれば成長の為の投資か、従業員の昇給に廻した方が良いだろう。
自社株買いは一時の株価上昇だけで、何も産まない。株価は業績の反映であるべきだ。

株式分割については東証のガイドラインである株価が5000円を超えた段階で行うとし、株式購入額を50万円位にするようにしていくと言う。個人株主の裾野を広げる意味で良策で、株式分割は無償増資という株主還元だ。チェンジは1→2の株式分割を昨年2回行っている。

そんな決算発表とオンライン説明会を受けて、昨日の夜間取引(PTS)では145円高をつけ、今日の寄付きでは380円高の4150円まで行ったが、その後は利益確定売りに押されたのか、終値は85円安の3685円となった。まぁ信用買残の多さからするとこの値動きも仕方ない。あとは空売り機関の買い戻しの踏み上げ相場になるのを待とう。
その代わりにスクリーンHDがみずほ証券のレーティングが中立から買いに引き上げられ、目標株価を12500円とした事で、今日は600円高の9360円となり新52週間高値となった。

昨日は日経平均が3万円を超えたが、中小型株中心の運用で日経平均採用銘柄はスクリーンHDだけなので3万円超えの実感はなく、金余り相場でのファストリ、日本電産、ニトリなど一部の大型株主導の上昇の危うさも感じる。黒田日銀はいつまでETF買いを続けるのだろうか。


利益確定したら暫く現金保有比率を高め、次の調整局面を待とう。証券関係者の鐘や太鼓で踊ると、後悔する事になる。
但しチェンジは株式分割期待の(Buy and Hold)で行こうと思っているので、最低限2021年9月期の株主総会のある11月までは保有し、大きな下げ局面があれば買い増ししようと思う。