深草日記

私の一日の詩と真実、そんな気取ったものでもないけれど、心に残ったことなど生きる日々の記録

立花大亀老師 の墨蹟

2005年09月28日 23時23分51秒 | Weblog
 小さな旅で、9月21日の夜は奥湯河原の海柘榴(つばきと読む)という京風懐石で有名な宿に泊まったことは、先にページをとって草稿中なので簡単にするが、今まで出会ったこともないほどの京風懐石のお膳を平らげると、もうその夜は温泉に入るぐらいしかすることがない。4人1部屋だったから、静かに本を読むことも出来ず、夜2回、朝1回大浴場にいって、露天風呂で庭木の間から見える夜空をみた。最初に露天風呂に入った時は、6時前だったから、夜空といっても深い濃い水色で、群青色ではなかった。「美しい」と思った。こんな空は今までに見たことがなかった。大浴場に行くには、1階の部屋からかなり曲がりくねった廊下を歩く。そしてエレベーターで2階に行ってさらに歩く。廊下に沿った板床には花や人形など置いてある。壁にはところどころに扁額が飾られていて、すべての扁額と掛軸は、立花大亀(たちばなだいき)老師のお筆になるものだった。宴会場の床の間のは、大きな字で迫力に満ちた「瑞雲」であった。廊下の扁額は「喫茶去」、お部屋の床には「日々是好日」でやはり大亀老師のお筆であった。
 大亀老師はこの8月25日に亡くなられたばかりである。それも105歳で。大徳寺派顧問をされた方で、自坊は如意庵。花園大学学長を四年。著書も「人として生きる」「利休の侘び茶」など多数。そんな老師を偲んでありったけの墨蹟を飾ったのだろう。しかしそんな旅館側の配慮に気付いた人が幾人いただろうか。私はその声を一度も聞かなかった。もったいない話である。旅館側でも一言もそのことには触れなかった。長寿の方の調和のとれた味わいのある字、生きる迫力に満ちた字、私も大亀老師の掛軸を2本持っているが、とてもいい字で、大きな広い心が感じられて心地よい。今日は友人の写真を送るので、老師のことの切抜きをバソコンで打って同封した。

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