きょうTちゃんがテーブルのわたしの隣に座りました。
「あれ?後ろに座ったら?この間Yさんに言われたでしょ。
元の席じゃなくて、新しい席に座るようにって」
「ん・・・」
「毎日お互いに気を使って座るより、Tちゃんの新しい席を探しなさいって」
「ん・・・」
Tちゃんはテーブルの後ろからイスを出して、
わたしのすぐ後ろに座りました。
そこへOさんがやってきて、
「Tちゃん、何でそんな所に座ってるのさ。中途半端でそこ歩けないよ」
「ん・・・」
数日前、Tちゃんがテーブル席に座ろうとして、
他の人たちに座っていいか訊いていました。
それを見ていたYさんが、もう元の席に座るのは諦めて、
新しい席を探して、そこで新しい環境を作ったら・・・と、
丁寧に、やさしく、みんなにも聞こえるように言いました。
Tちゃんのことも考えたアドバイスに思えました。
でも、その後、Tちゃんは事務室には現れなくなりました。
きのう、道具置き場でTちゃんに会いました。
「どうしたの?テーブルの後ろの席に座ればいいのに」
Yさんに言われたことを気にしてしまったのでしょうか。
Tちゃんの目から涙がぽろぽろこぼれました。
「辛いです」
「そうだよね。でも、今はじっと我慢のときだよ」
「あそこにいるのも辛い」
「戻ってきたらすぐに元のようになれると思ってたんだよね」
「そうです」
「でも、みんなはすごく怒ってたからそれは無理なのよ」
涙が止まらないTちゃんがかわいそうでなりませんでした。
でも、この辛さを乗り越えるのはTちゃん自身です。
どうにかがんばって乗り切ってほしいと思いました。
それなのにきょうは、
Yさんがしてくれたアドバイスは素通りして、
何もなかったようにテーブル席に座ったTちゃん。
素通りしたというよりも、
Yさんがどこに座ってもいいと言ったと思ったらしいのです。
だれもそういう風には受け取っていないのに・・・。
わたしもTちゃんに今の職場に戻ってくるときには、
ひとりひとりに丁寧にあいさつした方がいいと何回か言いましたが、
それもしていないようでした。
話している相手の言うことを理解できないのなら、
人間関係を積み上げていくことはできません。
でも、生きている限り人間関係は続きますから、
Tちゃんが前途多難なことは間違いありません。
それでも、今度のことをプラスに変えて、
がんばって進んでほしいと願っています。