きょう職場のロッカー室へ入るなりIさんが言いました。
「ねえ、ウエストが細くなったんじゃない?」
「ここに入ってから痩せましたからじゃないですか」
「そうだよね。股割りはできる?」
「えっ~? 股割りですか? できないですよ」
「あっ、股づれだった。できる?」
「股づれもできません」
「あっ、そう」
そう言うとIさんはロッカー室を出ていきました。
わたしは、おかしくて、おかしくて、誰かに話したくて、
Aさんとふたりになるとすぐにそのことを話しました。
Aさんは大笑いしながら、
「こんなに笑わせてくれる人ってほかにいないよね」
「ホント、おかしくって、おかしくって、言いたくてしょうがなかった」
「でも、話がすぐに変わるから、真剣に聞いてちゃダメ」
「えっ~、わたしはいつも真剣に聞いてた」
「ダメ、ダメ、スルーしなきゃ」
そうなんです。
Iさんの話は内容がどんどん変わります。
次から次へと内容が変わるので、会話が続きません。
きょうもそのパターンかと思っていたら、
股割りじゃなくて股づれ、
な~んだ、痩せた話と繋がってるじゃないの。
Iさんは、口を開けば同僚や社員さんの悪口、
気に入らないことがあると、すぐに所属長に言いつけます。
だから他のパートさんは、ほとんどが無視。
でも、全然めげずに、誰にでも話しかけます。
とくに知的障害の人たちには、
いつも、いつも、話しかけています。
彼らが、困ったり、ミスしたりしているときは、
冗談を言ったり、励ましたり、元気づけたりしています。
Iさんは、やさしい所もあるんです。
悪口を言っているときは、
スターウォーズの悪役のジャバ・ザ・ハットに見えるけど、
冗談を言ってるときは、
キュートなベティちゃんに見えます。
わたし、ベティちゃん好きですよ。
だから、ずっとベティちゃんでいてほしいな~。