泣き虫ダイバーのひとりごと

海大好きダイバーが、肺ガンになりました、日々の生活をぽつぼつ書いていきます

2011年9月8日天国の海へ

母の涙

2010-07-15 20:00:43 | 日記
わたし・・・・働いたら・・いい・・・かと・・・・思う・・の・・・

母が働きたいと言い出した

母は、5年前に患ったくも膜下出血の後遺症で、言葉がうまく出てこない
高次機能障害・・・失語症だ
脳の一部が壊死しているので、失語の他に危険回避の機能も壊れている
火が危険だとか段差が危ないとかいうことが分からない

「どうして働きたいの?」

「わたし・・・毎日、なんにもしないで・・・みんなの・・・役に・・立って・・・・・ないかなぁと・・思うの・・・」

母は病気になるまでずっと働いていた
私が小さいうちは家で洋裁の内職
私が中学生になった頃、「中卒じゃ誰も相手にしてくれないからさ!」と言って職業訓練校に通い、商業簿記1級と工業簿記2級を取得して新聞社に就職した
「パートだけど、ちゃんと机もあるんだよ」と誇らしげに話してくれた
定年まで勤め、退社したら今度はお掃除おばさんになって毎朝6時過ぎに仕事にでかけた
ずっと仕事を続けながら家事もちゃんとこなしていた
くも膜下出血で倒れる前日まで、仕事に行っていた

母は10時間に及ぶ手術に耐えた
手術は成功しても、意識が戻らないまま死んでしまう可能性がある
意識が戻ったとしても寝たきりでしょうと言われた

でも母は1ヶ月後に意識が戻り、半年間リハビリを頑張ってゆっくりと歩けるようになった
ひらがなを忘れてしまったけど漢字を読めるようになった
病院を退院してからはみるみるうちに回復して、毎朝一人で散歩に行けるようになった
散歩のあとは毎日デイサービスへ歩いて行き、夕方デイから帰ると台所に立てるようになった
火が危ないということが理解できないから私が見ていないとだめだけど、家族の夕ご飯を作ってくれる


「母さんはみんなの役に立ってるよ。毎日ご飯作ってくれて助かってるんだよ」

「そう・・・・なの・・?」

「そうだよ!」



母は大粒の涙を流した

父の葬儀でも泣かなかったのに・・・


みんなの役に立っていないという母
そんなことを考えてたのかと思うと、切なくなった


母にはどれだけ感謝しても足りない
生きててくれるだけでいいんだよ

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