ラップをやめたのは、自分が進歩したからじゃないかな。飽きちゃったのね。それといまの大きな音楽の流れのなかで<肉声>に対する僕のプライオリティが下がっちゃったのかもしれない。もともと僕は、歌を歌うことに対しての欲望が低い人間だし、楽器から入った人間だから。(中略)
たぶん、どんな音楽でも、ある表現のジャンルが方法論的な新しさを求めるんじゃなくて、質の向上ってことに全体のエネルギーがむいた瞬間にその表現は終わると思うんだ。自分がヒップホップから遠のいた一番の理由はそこだと思う。(中略)
なんか「俺は一生ヒップホップに命を捧げるよ」っていいきっちゃった手前、無理してやっている人がいるとしたら、その音楽に対してよくないことだ。重要なのは、そこから感じた精神だと思うんだよ。その精神がなんなのかっていうことは形じゃない。ヒップホップから得たものは、自分が作った音楽で自分がここまで勇気を出せるのかっていう実効性だと思う。(中略)
かっこいいことをやるには、自分がそれに見合った行動をするっていうことでしか表現できないっていうことが、ヒップホップの持っている構造のレベルの高さでもあるんだ。
(近田春夫/『Jラップ以前~ヒップホップ・カルチャーはこうして生まれた』後藤明夫・編 TOKYO FM出版)
たぶん、どんな音楽でも、ある表現のジャンルが方法論的な新しさを求めるんじゃなくて、質の向上ってことに全体のエネルギーがむいた瞬間にその表現は終わると思うんだ。自分がヒップホップから遠のいた一番の理由はそこだと思う。(中略)
なんか「俺は一生ヒップホップに命を捧げるよ」っていいきっちゃった手前、無理してやっている人がいるとしたら、その音楽に対してよくないことだ。重要なのは、そこから感じた精神だと思うんだよ。その精神がなんなのかっていうことは形じゃない。ヒップホップから得たものは、自分が作った音楽で自分がここまで勇気を出せるのかっていう実効性だと思う。(中略)
かっこいいことをやるには、自分がそれに見合った行動をするっていうことでしか表現できないっていうことが、ヒップホップの持っている構造のレベルの高さでもあるんだ。
(近田春夫/『Jラップ以前~ヒップホップ・カルチャーはこうして生まれた』後藤明夫・編 TOKYO FM出版)