ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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芸の世界は共通~桂吉坊がきく藝

2009-05-09 06:26:11 | 本の少し
桂吉坊がきく藝
桂吉坊
朝日新聞社・1500円
☆☆

26才の吉坊が、日本を代表する10人の師匠に話をうかがう。
「論座」に連載されたのを、まとめて出版。

気難しい、お偉方に、素直に、そして謙虚に、質問を繰り返す。
各師匠方も、芸のことであり、解り易くかみ砕いて答えてくださる。

小沢昭一(俳優)、茂山千作(狂言師)、市川團十郎(歌舞伎俳優)
竹本住太夫(文楽太夫)、立川談志8落語家)、喜味こいし(漫才師)
宝生閑(能楽師)、坂田籐十郎(歌舞伎俳優)、伊東四郎(喜劇役者)
桂米朝(落語家)の名人芸の神髄に迫る。

談志、米朝師匠の落語が一番、なじみ易いが、
芸事だけに、共通点も多い。

住太夫さんは、「浄瑠璃人形は話さないから、太夫が一人で
その状況、状態、登場人物で語り分けをする。」

「何人登場人物が出てきても、声でなく息で変えていきますと。
声色(こわいろ)になってはあきまへん。」

吉坊「落語でも、息とか間で変えろと教えられます。」
「おなかから、体全体で出す」

住太夫「そうそう、深呼吸でんなぁ。大きな声を出すのとは違い
息を出すのです。ゆっくり言うてて、はよ聞かす。
はよ言うてて、ゆっくり聞かす。
そういう芸を会得せなあきまへんな」

住太夫「やっぱり息でんな。古靭太夫師匠が言うたはった、
言葉の語れる太夫になれという教えには、そんな意味がありまんなぁ
けど、それは難しおまっせ。」

落語でも、声色になったら、あかん。と
ある落語家は、はっきりと断言された。

ほんま、すばらしい芸事をそなえた方は、
ものごとの真髄を修得されてますなぁ。

まあ全編、解らなぬことも次々と出てくるが、
豊富で親切な「注」が読書のお手伝いをしてくれまっせ。

まずは、書店にて、ぺらぺらと興味あるところを
立ち読みされることを、お薦めいたしあす。

でも、こうして読むと、一つの基準で問いかけるだけに、
相手が変わっても、馴染みもあり、解り易く、
当たり前ですが、吉坊さんの本になってますな。

よう、夢の印税生活、羨ましい。


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