ぽれぽれ百綴り

犬好きおばさんのんびり雑記。

ふつうのイタリア人

2012-03-08 21:03:06 | Singapore/学生生活
今日は英国パンダ先生のテストでした。
 
過去2回と同じく、グラマー、ライティング、リスニングと三つ巴で3時間。
あれから少しずつ努力しているリスニング、
すぐに結果がでるとか甘いことは考えていませんが、せめて個別指導を受けることはありませんように。
 
なお、パンダ氏のパーソナリティについては、このあたりをご参照ください。→アメリカにも行けない毎日祝、初上陸!!
 
パンダ氏は言うことも手加減ナシなら、出す宿題の量も手加減ナシ。
容赦なくたんまりと出してくださいます。
先日なんか、日曜午後に8つもファイルを添付したメールを送りつけてきたんですよ。
プリントアウトしたら40枚近くになりました!
アンビリバボーです。
 
半分は今までの解答やらですが、半分はこれからやるべきプリント。
 
「やるかどうかはまかせるけど、テストも近いし、僕はやったほうがいいと思うよ~。
 
Happy studying (haha *evil laugh*)」と。
 
 
ええ、確かにあなたはエヴィルですよ
 
というかデビルです。
 
そのくせ、フェイスブックでゲーム仲間に誘い込もうとするし…
(私たちと仲良くしたいのではなく、仲間を増やすとタダでポイントがもらえるとか、そういうのではないかと。)
 
アンタの宿題のせいで、こっちはそれどころじゃない、ってんですよ。
 
 
 
ですが、ごくまれにカンタンな宿題に救われることもあります。
 
その代表例がコレ。
 
 
    
 
今日はこの宿題の解答をめぐる、英国パンダ先生の授業風景についてご紹介します。
 
この宿題は、
3人の女性のキッチンについての記述を読んで各質問に答える、というもの。
 
左から、
中流階級の平凡なイタリア人主婦、
相当お金持ちなカリフォルニア在住の生活アドバイザー、
貧しい階級のインドのバンガローという地方に住む主婦。
 
記述というのが、
家族構成、お家の間取り、冷蔵庫や食品棚にあるもの、キッチンや暮らしに対する本人の思い、などなど。
 
で、質問というのが、本人や夫の職業、どんなキッチンか、どんなものを食べているのか、本人の満足度は?
といったところ。
すべての質問に対する答えが、箇条書きの記述から拾うだけ、という、
この上なく単純で、まったく考えなくてよいカンタンなもの。
 
 
最初はイタリア人主婦、サンティナさんについてでした。
 
職業は?…主婦。
夫の職業は?…機械工。
どんなキッチンなの?…12平方メートルと大きくないけれど、使い勝手がよい。
 
記述から拾うだけだから、順調に答え合わせが進みます。
 
どんなものを食べているの?
 
これもカンタン、冷蔵庫や棚にあるものを順にあげたらいいだけ。
 
私の隣に座る東京外大の才媛、Hちゃんがあてられました。
天然に見えて実は賢い彼女にはこんなの、まったく物足りない質問かと。
 
     
 
 
「野菜、水、ワイン、タマゴ、チーズ、ハム…トマト缶、豆類、はちみつ、お手製ジャム」
 
リストを読み上げるように、もれなく答えました。
 
なのに!
英国パンダ氏が見下すような視線で、ブーと。
そのにくにくしい言い方といったら。
 
何がもれているっていうの?
彼女、全部言ったと思うけど?
彼女自身もきょとん。
 
「庭には何がいるんだ?」
 
ああ、そうでした。
サンティナさん、庭でにわとりとウサギを飼っているんですよ。
 
「あっ、スイマセン。チキンがもれていました。チキンも食べていますね」と、Hちゃん。
 
 
するとパンダ氏はイライラと言いました。
 
「チキンと?と?…ラビット、だろ?」
 
 
「えっ?ラビット…もですか?」
 
ショックを受けた様子のHちゃんは、思わず復唱。
 
 
「そうだ、ラビットも入れるんだ
 
 
目を見開いて、フリーズしてしまったHちゃん。
 
彼女に追い討ちをかけるパンダ氏。
 
 
彼女はふつうのイタリア人だ
 
庭でラビットを飼ってるんだったら、
 
それは食べるために決まってるだろ!
 
 
 
ノォォオオオォォォ~!!
 

 

両手で頭を抱えたHちゃんの
 
アヒルのように突き出したくちびるから発せられた悲鳴が、教室にこだまします。

 

 
楽しそうにパンダ氏が続けます。

 

 
「どうして?何が"ノォォオオオォォォ~!!"なんだ?
 
 
ラビット、あれはおいしいぞ
 
 
殺すのだってカンタンだ

 

 
うっとりと舌なめずりをしながら
 
親指と人差し指を突き出して、クィッとウサギの首をひねる真似をして
 
舌をタンッと鳴らすパンダ氏

 

 
ノォォオオオォォォ~!!
 
 
 
泣きそうなHちゃんの前で、クイッ、タンッ、を再びやるパンダ氏。
 
完全に面白がってます
 
 
「シンガポールにおいしいラビットを出すレストランがないのは残念だ
 
とか言いながら、
 
笑顔で、クイッ、タンッ、をしつこく繰り返すパンダ氏
 
 
 
そこへ割って入った声が。
 
「ティーチャー!!」
 
ミャンマー人のヤン君です。
 
 
 
「なんだ?」
 
パンダ氏、Hちゃんで遊んでいるのを邪魔されて、とたんに不機嫌に。
 
眉間にしわが。
 
 
 
 
空気の読めないヤン君はおかまいなしに発言。
 
 
 
 
「ティーチャー!
 
 
 
 
ネコは入れなくていいんですか?

 

 

 

その瞬間、パンダ氏がフリーズ

 

大きな目をさらに大きく見開いて、呼吸も完全停止

 

 
(ちなみにこの時、ヤン君を除く全員がフリーズしていました。)

 

 
でもそこは、若く見えてもアジアで英語を教えて早10年、
 
目を閉じて深呼吸すると、静かに答えました。

 

 
彼女はふつうのイタリア人だネコは入れなくていいだろう」

 

 

 

ヤン君が食い下がります。

 

「ふつうのイタリア人はネコを食べないのですか?」

 

 
また目を見開いたパンダ氏、今度は間髪いれずに即答しました。

 

 
「ああ。ふつうのイタリア人はネコを食べない。
 
 
君は知らないかもしれないが、
 
 
世界中の、ほとんどのふつうの人はネコを食べないんだ

 

 
ノォォオオオォォォ~!!
 
 
 
やっとフリーズが溶けたHちゃんの、何テンポも遅れた叫び声。
 
確かに私もこれはショックでした。
私自身もウサギは食べたことはあるけれど、ネコを食べる国があるとは知らなんだ。

 

 
納得がいかない様子のヤン君は、
 
斜め前に座る中国人美女のダイアンにぼそぼそと確認しています。

 

「そうなのか?」

 

仲間にされそうになって、ダイアンは迷惑そうに、

 

 
「だって、犬じゃないんでしょ?食べないわよ」。
 
 
 
 
 
「うん、犬じゃないんだし、食べないなあ」と、韓国人男性も美女を援護。
 
 
 
ノォォオオオォォォ~!!
 
 
再び、Hちゃんの悲鳴がこだま。
 
彼女には犬食も衝撃だったようで。
 
 
 
「お互いの文化に対する理解がどれだけ深まっても、
 
食文化には絶対踏み込めない領域がある、
 
と、つまり今日の結論はこういうことだな」
 
 
すっかり冷静を取り戻したパンダ氏が、上手にまとめてこの日の授業は終わりました。
 
 
 
 
海外で英語を習うと、
日本では考えられないような意見が飛び出して、なかなか刺激的です。
 
 
 
最後に付け加えておきますと、
サンティナさんが飼っていたのは、にわとりとウサギだけ。
 
ネコの記述はどこにもありません
 
ヤン君、やっぱり不思議君。
 
 
   
  写真はバレンタインデー当日にクラスで配られたお菓子たち。
  左写真のクッキーはシンガポーリアンの先生が差し入れ、チョコレートはマイちゃんとHちゃんから。
  右写真は日本人のA君が持ってきてくれたロイズの生チョコ。
  ロイズ、シンガポールに何店舗もあり、人気です。
  日本のチョコレートのおいしさに、クラスメートみんなが感激で、日本人としては鼻が高い。
  ごちそうさまでした。


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4 コメント

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じじじ実話ですか????? (ほー)
2012-03-09 07:29:19
というくらい衝撃的でした。
思わずググっちゃいました。
でも見られませんでした。

食文化なのだから。
牛はよくて豚はよくて犬猫はだめ、というのも
理性では欺瞞的な気がしますが、
ああ、やっぱり駄目です。

赤毛のアンとか、大草原の小さな家シリーズとか、
女の子の好きなお話にだって、
飼っている鳥や家畜を絞めて調理するところだって出てくる。
人間はこうやって生きているのだ、
目をそむけてはいけないんだ、とおもうんだけど。
こういうの聞くと、momoさんベジタリアン正解、とか思っちゃいますね。
自分の偽善者ぶりに嫌になっちゃいますけど。

こちらにはスーパーに、カンガルー肉や、ラビットは、game meat として普通に売ってます。
でも、鯨の話はご法度だと思います。

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英会話の先生が... (Chun)
2012-03-09 20:36:02
ご自宅でレッスン中、まるまる太った鳩がお庭に来た時、「あら、おいしそう」とおっしゃいました。二番目の高級住宅地の隣町の豪邸に住んでおられます(笑)
夫の同僚の奥さまは、道路に車にはねられたて(笑)のキジをみつけて、自宅に持ち帰って食べたそうです(笑)
(おふたりとも大学卒・教養ある方で、BBCアクセントです(笑))
そういえば、リスパイという料理もあります(おいしいです)。

先生のお宅に行く途中に、「ベビーラビットあります」という看板がありますが、食用なのかペット用なのか...

ねこを食べる国があるんですねえ。
犬は大丈夫だけど、猫は化けてでそうだし食べるところは少なそうですけどねぇ(苦笑)
長女の韓国人の友達が「うちのおじいちゃんが犬を買うのは、食べる時だけだ」って言ってたそうです...
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ほーさんへ (momo@ぽれもも)
2012-03-11 06:05:21
ミャンマーではふつうにネコを食べるのか?
批判的意見にとらわれたくないので聞けないままです。
そんなつもりはないので。
おっしゃるように、どの動物まで許されるかは、
違う食文化の人間が決めることでもないし、
個人的な意見としては、
命を奪うという点で全部同じだと思うから。
だけど肉食の文化を否定するつもりはありません。
『いのちの食べかた』というDVDがあって、
「あれはお肉を食べる人にはぜひ見てもらいたい」
と、クラスメートのUさんがおっしゃってました。
彼女自身は元マクロビアン、今は肉食ですが、
命ある動物がお肉になるまでの過程は
命をいただくものとして知っておくべきだと。
私は見たことがないのですが、
本やテレビの特集で知識はあるので、
彼女の意見に賛成です。
肉食に限らず、食べることは
命に感謝することであってほしいです。

ヤン君、いつもおたんこなすな発言をしては
パンダ氏に銃殺ジェスチャーの標的にされているわけですが、
この発言はそれができないほど
パンダ氏にも衝撃だったようです。
返信する
Chunさんへ (momo@ぽれもも)
2012-03-11 06:34:48
イギリス人の言動、おもしろいです!
私もエジプト人の友人に
「日本の公園にはハトがわんさかで、よだれが出たよ。
誰も捕まえようとしないなんて、さすが豊かな国は違う」と言われたことが。
かの国ではハト料理は大変なごちそうなのです。
また、田舎育ちの私はキジもたんぱく源だったので、
キジお持ち帰りの奥さまに親近感が。
子ども時代を過ごした自宅の裏はわが家の雑木林。
私有地だし、あたりは禁猟エリアなのに
シーズンになると時々猟師さんがやってきて。
撃ち落とされたキジがわが家の庭に落ちてきたり、
初代の犬が優秀(?)で、猟犬たちに追われながらも
獲物をかすめとってきたりしたものです。
祖父や父はそれらを上手に解体して、
わが家のおかずになっていたというわけです。

「ベビーラビット」は…食用なのでしょうねえ。

「リスパイ」のお話で納得したことが。
パンダ氏によると、女性をリスやウサギに例えるのは失礼だと。
日本人からすると、
どっちもかわいいからほめ言葉になると思ったので意外。
彼ら、どっちも食べちゃうわけですもんね。

韓国の犬食。
ソウル旅行中、ふつうに犬鍋レストランを見つけてしまい、
一般的なんだ、とショックだった記憶が。
やっぱり結構一般的なんですね。
シロさん(←わが家のどうしようもない愛犬)、
よかったね、日本に生まれて。

ネコ食、一般的なのか、おいしいからなのか、貧しさからなのか、
かの国に対する知識がないだけに気になります。
彼が質問を発したその瞬間、
クラスに衝撃が走ったのが忘れられません。
確かに衝撃ですが、日本もネコ皮を三味線に利用するわけだし、
お肉も皮も全部利用するというなら、
発想としてはより健全なような気もします。
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