ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

ナイロビの蜂

2006-05-15 | 映画 た行な行
むしろ平凡な男と言って良いジャスティンが、妻の死をきっかけに変わっていく。アフリカと先進国のシビアな現実の中、愛が確かめられる。

2006年 アメリカ 社会派ドラマ、サスペンス、ラブロマンス
2006年5月13日 ワーナー・マイカル・シネマズ・新百合ヶ丘
監督 フェルナンド・メイレレス
原作 ジョン・ル・カレ
出演 レイフ・ファインズ(ハリーポッターと炎のゴブレット、メイド・イン・マンハッタン、シンドラーのリスト)、レイチェル・ワイズ(コンスタンティン、アバウト・ア・ボーイ)、ダニー・ヒューストン(アビエイター、21グラム)
(出演作品などはあくまで私が観た物だけに限っています)

端正なイギリス紳士であり外務省勤務・ガーデニングが趣味のジャスティンは情熱的な慈善活動家・テッサに出会い、二人は恋に落ちる。ナイロビ勤務になる彼についていくというのが彼女からのプロポーズだった。しかし、彼女は活動の中に何かを嗅ぎつけ、そして殺されてしまう。警察はよくある強盗による殺人事件として処理しようとするが、ジャスティンは妻の意思を継ぎ、調べ始めるが次第に彼が見ようとしなかった彼女の活動が明らかになっていく。一度は彼女の不実を疑った彼だったが、本当に彼女が自分を愛していた事を知るに至り、事なかれ主義だった彼も危険を顧みず事件の中心に迫っていくのだった。

途中でこれ以上先を見たくないと思わされるのは、サスペンスとして高等なため。どきどき!イギリス、アフリカという極端に違う場所が映し出され(イタリアやドイツも少し)、先進国と途上国の違いをありありと感じさせられる。画質がざらざらとして、虫の羽音が聞こえたり、カメラが手持ちらしく揺れるのもリアルさを追求する演出。砂煙が巻き上がるシーンも多く、アフリカを感じた。
単純なサスペンスでもなく、社会派ドラマにも終わらせず、幾重にも折り重なったストーリー仕立てが物語りに深みをつける。逆に、人間のドラマってそんな風にして繰り広げられるのが現実なのだろう。
レイフ・ファインズは、いかにも端正なイギリス紳士が似合う。家柄も良く、控えめな彼としては、電撃的な恋と結婚だったのだろう。一方、テッサはラテン系。実はお金持ちのお嬢さんだったことが後から分かるのだが、情熱的で一途。そして思いやりに満ちた女性なのだ。しかし、勇気がありすぎる行動でパーティーなどではひんしゅくを買っていた。でも、自由奔放に自分の人生を生き、美しさもかなぐり捨てるようにして慈善事業に没頭する姿がとてもチャーミング。レイチェル・ワイズのオスカーもうなずける。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
真実~ (cyaz)
2006-05-19 12:33:32
ももママさん、TBありがとうございましたm( )m



ラストシーンが今だに脳裏に残って「これでよかったのかなぁ?」と問いかけてきます。 実にジャスティンは辛い葛藤の日々だったと思いますが、彼女に対するどこか疑心暗鬼みたいなものを払拭するには、彼女の足跡を辿ることが一番近道であり、彼女に対する愛情と、彼女からの愛情を確信した瞬間でもあったように思います。
端正で上品 (悠雅)
2006-05-19 19:32:18
ももママさん、こんばんは。

TBありがとうございました。



レイフ・ファインズを表現するとき、いつも「端正で上品」、と言っているので、

同じ言葉で表現されていて、何だか嬉しくなりました。

浮世離れしたような冷静な男が、妻の死で能動的に(でも、暴力には走らない)なってゆく…

まさにレイフ・ファインズにピッタリの役でした。

レイチェル・ワイズもとてもよく似合っていましたね。
コメントありがとうです (ももママ)
2006-05-20 21:11:05
cyazさん

ラストが納得できない方が多いようですね。私も、映画的にはこれで絵になるとは思うのですが、もし本人ならどうだろう?何が何でもしぶとく生きていくのが、妻に対する愛と思うかもしれないですね。

妻の足跡をたどりながら、彼女がいかに自分を愛し、守っていてくれたかを痛切に知り、知れば知るほど、彼女の元へ行きたくなったとしたら、それは一種の自殺的な行為なのかなとも思いました。



悠雅さん

本当にレイフ・ファインズにぴったりの役でしたね。最初は優秀だけど覇気のない男だなあとも思いました。しかし、見ていくと情熱的なテッサが自分にない上質なものを彼の中に発見したのも分かります。一見「静」だけの彼の中にも、動くものがあるんですね。だから、テッサと惹かれあったのでしょう!

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