ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

最高の人生の見つけ方

2008-05-15 | 映画 さ行
ガンで余命半年と言われた二人の男は、病院で出会った。普通だったら出会うことのなかったまったく正反対の二人は、棺おけリストを片手に、冒険を始める。そして・・・。オスカー俳優二人がすばらしい。お勧めの1本!

2008年 アメリカ ヒューマン・ドラマ、コメディ
2008年5月14日 ワーナーマイカル・シネマ新百合ヶ丘
監督 ロブ・ライナー(スタンド・バイ・ミー、恋人たちの予感ほか)
出演 ジャック・ニコルソン(ディパーテッド、恋愛小説家、カッコーの巣の上でほか多数)、モーガン・フリーマン(バットマン・ビギンズ、ミリオン・ダラー・ベイビー、ドライビング・ミス・デイジーほか多数)
(出演作品などは私が観たものに限る)

自動車整備士のカーター(モーガン・フリーマン)は家族に愛され、仕事熱心な男だった。しかし彼はガンと診断され、病室で病と戦うことになる。そんな彼の隣のベッドに入ってきたのは億万長者でその病院のオーナーでもあるエドワード(ジャック・ニコルソン)だった。彼もガンで余命半年と言われたが、訊ねて来るのは秘書だけだった。そんな対照的な二人の出会いはよそよそしく始まる。しかし、次第に心を通わせることになり、死ぬまでにやりたいことリスト(棺おけリスト)を作って、片っ端からやっていくという冒険に出発することになる。スカイダイビング、古いムスタングに乗る、涙が出るほど笑う・・・世界を旅する彼らだったが・・・

オスカー俳優が二人、演技のタチンコ対決になるのかと思いきや、スクリーンの上に見る友情と尊敬は、二人の名優の間にも本当にあったと思われます。それがこの映画に、温かさと深みを与えているように感じられました。考えてみたら個性の違う二人が演技合戦をやらかしたら、お互いを消しあって映画を台無しにしかねないですよね。
カーターは早く家族を持ったため歴史学者になりたかった夢をあきらめ、自動車整備工として誠実に生きてきました。インテリでクイズおたくな彼は、浮気なんか一度もしない家庭第一で温厚な人生を歩んできました。でも、余命半年と言われたときに、遣り残してきた様々なものが脳裏をかすめるのです。
一方、エドワードの方はお金儲けの才能があり、国家元首にも直接会えるほどの顔の広さを誇っていますが、4度の結婚をすべて離婚で終わらせてしまい、娘とも絶縁状態なのです。しかしわがままで癇癪もちのエドワードですが、なぜか憎めない。内向的なカーターと違って生きるエネルギーに満ちた彼は、抜群の実行力があるのです。秘書に段取りをさせて、リストをこなしていけたのは彼の資力と、このエネルギーのおかげでしょう。入院したばかりの頃、酸素のチューブが邪魔でベッドの上でイライラしながらチューブを始末するエドワードの姿は、ジャックも普段こんなじゃないか?って思ってしまうほどの自然な感じで思わず笑いがこみ上げてきてしまいました。そんな「俺様」なエドワードですが、カーターの妻が妊娠して大学を中退した後「若くて貧しくて子供もいる黒人に仕事は選べなかった」と言ったとき、しんみりとしてしまうのです。年齢から言って公民権もまだなかった時代、エドワードにはカーターの苦労をしのぶ優しさがあるのですね。
そして、二人は病室でお互いに自分の抗がん剤治療の苦しさを味わいながら、相手の苦しみにも共感していくのです。私は入院らしい入院をしたことがないのですが、同じ病室で同じ病気と戦うお友達が出来る話は聞きます。こんな友情、時々あるのでしょうか?
それにしても、対照的な二人はお互いを認め合い、本物の身内のようになって行くのです。最愛の妻を置いてまでエドワードとの冒険に飛び出すカーターは、ムスタングのハンドルを握ると人が変わったみたいになります。エドワードに「裏の面を見せたな?」とまで言われる始末ですが、知ったこっちゃありません。この時ばかりはやりたいことをやりたいようにやるやんちゃ振りを発揮しているのです。
エドワードの秘書は画面を引き締めました。どんな彼らの望みでも段取ってくれる忠実な彼は、どんな時でもすぐそばにいて、無表情なスーツ姿。エドワードの皮肉な軽口にも対等に言い返します。お金や権力を恐れず、エドワードの一番の理解者なのですね。
湿っぽくならずにほろりとさせられるこの映画は、私の中では今年のトップテンの中でも上位に位置することになるでしょう。お勧めの一本です。
原題は“the bucket list”です。死ぬまでにやりたいことリスト(棺おけリスト)のことですが、これではやはり、日本人には分かりにくいし率直過ぎるように思います。でも「最高の人生の見つけ方」というところまで意味づけしてしまうのも好きではありません。この中間くらいの邦題はなかったのかしら?唯一不満があるとしたら、この邦題のつけ方くらいかな?


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お邪魔します~ (hito)
2008-05-15 17:33:38
こんにちは♪

とても素敵なストーリーでしたね!
病気のありがちなお涙頂戴ものじゃなくて、笑えてホロリして・・主演二人の魅力が満載でした。
本当に二人の素なんじゃないかと思えたくらい自然でした。

TBさせてもらいました~
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hitoさんへ (ももママ)
2008-05-15 18:22:14
TBありがとうございます。
久々に、ほろっと来て、しかも心が温まる映画でしたね。二人の名優が、「素」なのか?と思わせる自然さに肩の力を抜いて見られたのが良かったのかな?
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ちょっと驚いたのは (zooey)
2008-05-15 22:25:14
この映画よかったのですけど
10年くらい前のドイツ映画と似ているのですよ…
その点、ちょっとガッカリでしたが
それでもこの二人の名優と名監督のトリオ、素晴らしかったですね!
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間違いなく (ふぴこママ)
2008-05-15 23:43:35
今年の上位にランクインですね。
あの二人の演技は、素晴らしかったです。
ほんとに素に思えました。
秘書の存在も効いてましたね。
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抗がん剤 (kossy)
2008-05-16 01:32:37
あの副作用の苦しみ、実際に治療を受けた受けた者しかわからないらしいです。
俺の父親は2度のがん手術を受けながら、まだ生きています。すげぇ・・・
同じ病室の同じ病気の患者が死んじゃうと、「次は自分か」という観念にとらわれて、悲しいやら怖いやらで、これも経験した者じゃないとわからないのかもしれませんね~
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zooeyさんへ (ももママ)
2008-05-16 10:33:38
そうですってね~。
ドイツ映画なんて、めったに見る機会がないためにどんなに良い映画でも知りません。リメイクみたいに感じたとのこと。よほど、似ていたのでしょう。
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ふぴこママさんへ (ももママ)
2008-05-16 10:35:15
今年は前半に20本以上見ることが出来ていますが、これといってお勧めが少なかったのが特徴です。しかし、これは別!絶対にお勧めの1本。上位にランクイン、決定です!
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kossyさんへ (ももママ)
2008-05-16 10:37:35
二人が交代で副作用で苦しむのが、なんか、シリアスな場面なのにおかしかったです。相手に背を向けて苦しみに耐え、相手は心配そうな顔でなすすべもなく横たわっているのが、印象的です。
お父様、お大事に!
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