Masayukiの独り言・・・

老いの手習い日記です。

「BEAT IT!!」をみる

2018-11-03 22:11:22 | Weblog
 「ラウンドヒル計画」という言葉を知ったのは「BEAT IT!! 新今川物語2018」を見てからである。「ラウンドヒル計画」とは、静岡市民文化会館が主催し、完全オリジナルの舞台作品を静岡の人々の力で継続的に創作し、同時に日常的に舞台でワークショップを行い、静岡独自の文化を創造発信していくプロジェクトであると聞いた。この計画がスタートしたのは2013年からで、その後毎年市民参加の舞台作品を発表している。今回初めて「BEAT IT!!・・・」を見たが戦国の守護大名今川義元も創造的現代風に表すならこのようになるのかと改めて知った。

 今川義元生誕500年の年を迎え、それに因んで「BEAT IT!!・・・」は義元を歴史的見地から描いた作品かと思っていたが全然違っていた。今川義元との関係はあるが、完全な創作で時代を現在に移し今川氏の末裔と織田家の末裔がどのように生きたかを空想の世界、夢の世界で描いた作品であった。会場はほぼ満員の状態であったが、概ね30代以前の若い人達で占められ、私のような老人は探しても見当たらないほどであった。この物語は、空想の世界で、今川を破った織田がそのまま現代に繋がり、織田ジパングなる帝国を首都静岡に築き、世界を三大国の一つとして君臨する。その織田ジパング帝国は日本の頂点で繁栄を謳歌している。その織田帝国にあって、滅ぼされた今川の末裔は、差別されながらもそれでも逞しく生きている。今川の末裔の少女が主人公で、彼女が織田帝国の中で織田家と絡みながら織田帝国の国主と闘いながらも、意思を通し国主を改心させていくストーリーである。ここに至る場面で、戦いや暗殺などの場面もあるが最後は互いに解け合うまでになっていく。

 戦国時代の今川氏、織田氏が生きた時代を想定していたので、幕が上がった時は驚いた。舞台ではビートのきいた強烈な音楽と若い学生のような人々がミュージカル風に踊る場面からは、内容も分からず一幕で帰ろうと思ったほどだ。それほど分からない内容であった。役者が話す言葉はいやに大きく音樂と共鳴し割れ聞き取れなかった。その上物語がどのようになっていくのかも分からず、ここにいることに場違感を感じた。しかし2幕に入ると慣れてきたのか段々わかるようになった。しかし、現代風にアレンジした物語は、私には最後まで納得するものではなかった。

 今静岡では、駿府城内の発掘調査など時代を顧みることが進んでいる。そこには、徳川家康や豊臣秀吉が覇を競た痕跡があり静岡が時代の中枢として存在した地であった。しかし、彼らが競った静岡(駿府)はその少し前まで今川家の領地で繁栄を極めていた。その今川氏は足利幕府の主要姻戚家で、この駿府の地に守護大名として赴任し繁栄した。しかし、今の静岡には今川氏の痕跡は非常に少ない。そんな思いの中での観劇であり何とも複雑な気分であった。