Masayukiの独り言・・・

老いの手習い日記です。

雨に咲く百日紅

2016-09-08 21:52:46 | Weblog

 庭に一本の百日紅がある。樹高は4mほどで幹は直径8cmほどの木である。百日紅の苗木を購入したのは、父が死んだ後なので20年ぐらい前になる。しかし剪定で樹高を抑えてあるので見た目は若木のように見える。この花が咲きだして、約2ヶ月ほど経つが今も紅色の花をつけている。枝ごとにブドウの房のようにたくさんの小さな花をつけているが、その中にはΦ5mmぐらいの青や黒の実が生っている。花の最盛期は過ぎたものの今でも紅色の花は最盛期を思わせるようにきれいに咲いている。

 この花は普段、目に留まるような、華やかな花ではないが、今日は台風12号の影響なのか強い雨が降り続く中で、窓際に座って見ているとたわわに下がった紅色の花弁は緑の葉の中でしっとりと美しさを醸し出している。この2か月間の間、このように感じたことはなかったが、今日はいやに輝いて見えた。この時期花が咲くのは百日紅だけで、後は緑の葉と柿やキンカンの実はあるが、葉の中に埋もれて見えない。そうしたことがこんな気持ちにさせたのかもしれない。

 この苗を買ったのは、駿府公園内で行われた植木見本市であったが、そのとき植木屋から「これは開運の木ですよ」と云われた。云われるまでこの木が縁起の良い木とは知らなかったが、父の死後でもあり我が家に運が向いてくることを願って買ったような気がする。その苗を方位学上よいと云われる辰巳の方向に植えた。それから約20年近く経つたが、この間良いことがあったのか考えてみた。一昨年母や末弟が亡くなったがそれ以外家族は無事に生きているし、特段困ったこともなかった。人間の欲望にはきりがないが、それでも無事生きていることは運があったと感謝する気持ちになる。

 夏の花と云えばほかに向日葵がある、この花は太陽に向かって咲く花で青空が似合う。しかし百日紅は、アジサイと同じように雨の日が似合う花であると思った。そして百日紅は、夏の間、100日間近くも花を咲かせてくれる。 因みにこの花の原産地は中国であり、その種類も多いと聞いた。そしてこの花にはこんな由来もあった。 ≪昔、旅をしていた王子が竜神を退治し、生贄にされていた娘さんを助けた。2人は恋におち、100日後再会する約束を交わしたが、娘さんは約束の日を目前に他界してしまった。その後娘さんのお墓から紅色の花が咲く木が一本生えてきた。この話を聞いて村人たちは、この木を「百日紅」と名付けた≫ 今日は妻も旅行に行って私一人である。のんびりした気持ちで雨に濡れた百日紅を見ていた。