浴風会病院〈東京都〉精神科診療部長・須貝佑一先生のコメントが注目をあびている。かなり古い記事のようですが、要旨を紹介したい。
日本で初めてのアルツハイマー型痴ほう症治療薬が発売される。「アリセプト(成分名・塩酸ドネペジル)」と呼ばれ、根治薬ではないが、症状の進行を遅らせる画期的な新薬として注目されている。しかし、日ごろからアルツハイマー型痴ほうを診療している医者の立場からみると、公表された治験データは一般の人たちの期待からかけ離れている印象を持つ。このままでは本当の効能・効果をよそに期待感だけが独り歩きする恐れさえある。 アリセプトの原理は、アセチルコリンが酵素によって分解されるのを妨害して、結果的にアセチルコリンの作用を強めることにある。今、アルツハイマー型痴ほうの治療薬として各社が開発を進めている大部分がこの種のものだ。
治験データの主なものはすべて専門誌に紹介されている。メンタルテストの方法では、アルツハイマー病評価尺度は0点(正常)から七十点までランクされているが、その変化も平均して一点よくなるかどうかという程度の成績である。一点とは、封筒便せんが入れられなかったのが指示で入れられるようになった、あるいは親指をさして親指と言えるようになったという、七十ある問題の一カ所改善しただけなのだ。 事実、日本で行われた臨床試験では、介護家族が軽度改善したと評価した例は偽薬で三○%、実薬で三六%とあまり差がなかった。さらに、薬を飲んでいても変わらないか、悪化とみた家族は偽薬グループで七◯%、実薬を飲んでいたグループでも六五%前後に上り、家族にはほとんど効いたという印象がない。
開発担当者らが症状の進行を遅らせるとする根拠は、偽薬グループがごく軽度の知能低下の進行があるのに対し、実薬グループではごくわずかの知能の上昇がみられたことである。しかし、この薬によって原理的に病気の進行を止めることはできない。公表データの中には、実薬でも偽薬と同じように病気は着実に進行していたことが示されている。それゆえ、製薬会社は発売にあたって効能・効果に「軽度及び中等度のアルツハイマー型痴ほうにおける症状の進行抑制」とうたいながら、使用上の注意に「アルツハイマー型痴ほうの病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない」と、ただし書きをつけている。この表現の違いを読みとれるのは痴ほう症の専門家しかいないだろう。アリセプトを皮切りに次々とアルツハイマー型痴ほうの治療薬が出番を待っている。この程度の薬が高齢者の痴ほう症に広く使われるようになれは、効能・効果が不確実だと批判を受けた脳循環改善剤や脳代謝賦活剤の二の舞いになりかねない。過剰な期待は医者にも一般の方にも禁物である。
以上が専門医が臨床的にみてきた実感と医学的な解析によるものです。本ブログでも前から書いていたことですが、アリセプトを服用しようとしまいと、アルツハイマ-型認知症は粛々と坦々と進行してしまい、抑うつ、精神錯乱の状況に至ってしまうという。製薬会社は安易にこの手の医薬品を開発して利益を追求することに、医者として批判している内容であるといえます。アリセプトの治療効果について臨床医として的確に判断していると思う。結論的に、この医者は患者の病状を科学的に、客観的に診断できる能力をもっていると思われます。日本には、このような専門医は少ないので患者はモルモット扱いになっているのでしょう。
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