もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)
年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。
 



もっきぃです。GWもあと2日になりました。残念だなあと思いつつ、GWに
みたなかでのNo2映画の紹介です。

【序:事前知識と想像していたこと】
アカデミー賞主演女優賞に最年少(撮影当時6歳)でノミネート。(TVで見た)
水没していく街に、大嵐がやってきて、全部もっていってしまい(お父さんも、
ここで亡くなったと誤解)、ひとりで生きて行く少女の感動物語。場所は、
ツバルのように海面上昇により存亡の危機にある、南太平洋のどこかの小島。
演じているのは現地の素人の子供。これが予告編とポスターを見ての印象。

※随所に、大小ネタバレがちりばめられています。未見の方、ご注意を。

【事前の想像の崩壊(1)】
映画がはじまり、まずはメインタイトル [Beasts of the Southern Wild]。
直訳すると「南の荒地の野獣達」でしょうか。よくあることですが、邦題と
全く違います。なにげに、子犬のような可愛げな名前(以下、パピーと呼びます)と
「少女」を入れて集客を狙うとは日本的。ところで野獣?
予告編で、少女と対峙してた巨大なイノシシみたいな奴!?

実際に映画でそのシーン(ほぼ終わりに近いところ)を見て、私は「ゲド戦記」の
竜と主人公が向きあうシーンを思い出していました。ゲド戦記では、
「世界の均衡が壊れて」竜が出てきたという設定でしたし、本作でも、
氷が解けて氷河期前の獣(オーロックス)が、でてきたというパピーワールド
でしたから。パピーによりますと、この獣、人間が洞窟に住んでいた頃、
両親の目前で赤ちゃんを食べたりするし、いざとなれば身内で共食いもするという
濃褐色で牙のある恐ろしい野獣。となると南は、南極の氷か?

もうひとつメインタイトルが兼ねているのは、おそらくパピー本人。
親父に鍛えられながら反発する姿をみて、こいつは「野獣」だと思いました。
住んでいる場所も、後述しますが「南」なので。

【事前の想像の崩壊(2)】
開始十分もたたないうちに、パピーが住んでいる場所の説明があり、地図に
点線で、堤防が描かれており、その南側。小島というよりも、三角州。堤防より
南側は、氷床が解けると水没するとパピーの親父が言ったという地域。
さらに驚いたのは、その堤防越しに見える景色は、高い煙突がそびえる、
かなり大きなな工業地帯。太平洋の孤島では、ありませんでした。
それもそのはず、あとから知ったのですが、ここはアメリカ、ルイジアナ。
即ち、2005年約2500人の死者・行方不明者がでたハリケーンが通ったところ。
3/11大震災と少し重なるところを感じます。

【パピーワールド】
邦題と予告を元にした、誤解を振り払ったところで、まず、注目したいのは
この映画ではパピーが主人公であるとともに、ナレーションのような感じで、
自分の考えるパピーワールド(世界観)について、語っていることです。もし、
会話のなかで6歳の子供がこのようにしゃべりだしたら、かなりの違和感を
もったと思うのですが、モノローグのような感じで自然に受け取れました。
例えば、こんなことを言っています。
『宇宙全体は、全てのカケラが組合わさって保たれている。
 ひとカケラでも壊れてしまったら、
 たとえそれが一番小さなひとカケラでも宇宙全体が壊れてしまう。』
『私は、大きな大きな宇宙のひとカケラ。でも、そのひとカケラがあって
 宇宙は成り立っる。私が死んだら、未来の科学者は見つけるだろう、
 かつて、ハッシュハッピーが父親と、バスタブに住んでいたことを。』
また、学校(数人の子供が床に座って話を聞いています)の先生は
『この世で一番大事なことは、どうやって自分よりもの弱い者を
 助けるかだ』というようなことを教えていました。この考えは、
『ひとカケラでも壊れてしまったら・・』の世界観んいにつながります。

うーん、もっとも。いまの世の中全く逆で、ひとカケラどころか
自分以外は壊してでも、のし上がろうみたいなところありますから。
そういうわけで、ファンタジーとしてこのお話、ここちよく受け取りましたし、
このような世界観が出てくる場所として、バスタブの少女は、ふさわしく
感じたので、よかったなあと思います。

付け加えれば、悪い人がでてこないというのも、心地良さのひとつ。避難所へ
強制連行されたときや、病院での言い争いなどもありましたが、それらの人を
悪くは描いておらず、バスタブの人はただ、今住んでいるところに住み続けたい
ということで、他社に対する批判的なトーンがないのもよかったです。彼らは、
自分が住んでいるところを、復興せよとか、何かしてくれという要求はしておらず
強いて言えば何もしてくれるなという主張であり、どうなったとしても自業自得と
承知済みであればそれもよしかと思いました。もちろんそれで子供が死んだり
してしまってはなにもならないわけですが、そこは「親」が、考えるでしょう。 

【主演女優 クヮヴェンジャネ・ウォレス】
この映画、結構両極端に評価が分かれているようで、特にブログで感想を書いて
いる人の間では、酷評している人がかなり多いとの印象を持ちました。その中で
パピー役の女の子の演技についても、賛否両論。確かに、アイアム・サムのときの
ダコダ・ファニングのように、同年代と比べてとびきり可愛いとか、天才的という
感じはない。でも、普段、太平洋の小島でも、映画のような野生の環境のなかでも
暮らしていない6歳の少女が、違和感なく映画のなかで存在し、「逞しさ」を
感じさせたというそれだけで、よくやったと言えるのではないでしょうか?

冒頭で、黒豚がでてくるシーンがあって、結構獰猛な感じがして、福島の強制退去
地域で、野生化した豚が民家に入り込んでいるニュース映像を思い出したのですが
映画の中でのパピーは、普段からそれに近い環境に住んでいるのだと思っていました。
ところが、あとからインタビューをみますと、
「豚に触らなきゃいけないシーンも嫌だった。だってテレビの中の豚はピンクなのに、
今回、触った豚は黒くて毛も生えてたんだもの」。
とのこと。やっぱりこれは、ほめておきましょう。
次回作は、ブラビと共演、その次は、アニーに出演だとか。そのなかでまた
「逞しさ」をみせてほしいものです。

PS.ハッシュパピーは、アメリカ南部のお菓子の名前でもあるようで、以下のサイト
で、丁寧に説明がしてありました。参考まで。

http://blogs.yahoo.co.jp/maripearson1610/24545224.html

PS.もうひとつの特徴?は、低予算。ハリウッド映画と比較すると
$1.8M(約1.8億円)の予算は、邦画でも高くない。


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