もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)

年間100本の劇場鑑賞、音声ガイドもやってました。そんな話題をきままに書きます。ネタバレもありますのでご注意を。

シグナル ~月曜日のルカ~  人を癒すのは、人か映画か、はたまた映写機か?

2012-06-25 00:00:01 | その他(邦画)
実は、2日前の土曜「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」を、みてきました。
期待にたがわぬ作品でした。こじつけですが前ブログの「私が、生きる肌」が、
肌の生成であれば、こちらは「肌を突き刺す(切腹)」話でもあるので、流れとしては
いいのですが、どうもすーっとかけない。分厚いパンフレットを読んでから書きたいので、
つづけて同じくテアトル梅田でみた、この作品について書きます。

シグナル ~月曜日のルカ~

ルカというと、聖書にもでてくる名前ですが、私が連想するのは、80年代後半に
ヒットした、スザンヌ・ヴェガの歌。
『ぼくの名前はルカ ぼくは2階にすんでるんだ 君の部屋の上の部屋』
『もし きみが夜遅くに何か物音をきいても・・・・・何かってぼくに聞かないで』
静かに淡々と、それでいて切実感のある不思議な雰囲気の曲で、当時はほとんど聞いた
ことがなかった幼児虐待がテーマでした。

さて、映画がこの歌を意識していたかはわかりませんが、主人公は、田舎の名画座の
映画館2階に住み3年間でてこないという映写技師長のルカ。(演じるのは三根梓
映画初出演初主演、ハタチ。モデル出身で早大政経。)そこに夏休みのバイトとして
やってきたのが、恵介。(3年前の園子温監督「愛のむきだし」で、満島ひかりと共に
ブレイク数々の新人男優賞を獲得した、西島隆弘)なんと地元の相場の倍という
自給1500円で、ルカから映写機の使い方を習いながら1日中一緒に入れるという
おいしい仕事だ。ただし、映画館の支配人(井上順、そうです元スパイダースです。)
から3つの約束をさせられる。
1.ルカとの恋愛禁止
2.月曜日のルカは憂鬱なのでそっとしておく
3.ルカの過去をきいてはいけない
なんとも、いかにも映画的で、破られそうな予感。
宣伝のコピーからそのまま紹介しますと『切なくも胸うつ感動の青春恋愛ミステリー』
中年の私がみるガラじゃないという気もしますが、中年男も客席にチラホラ。

ほかの出演者としては、ルカの過去を知る男として、NHK朝の連ドラ「おひさま」に
ヒロインの夫役ででていた、高良健吾。ルカのおじいさんで、前代の映写技師役には
宇津井健。プロフィールから計算すると82歳。監督が40代ですからきっと、「赤い」
シリーズで、よきお父さんをみていたからこそのキャスティングのようにも思えます。
旬の若手と、往年のビッグネームの組合せ。夫々持ち味をだしておりました。

気になったのは、ルカのつぎのせりふ。厳密な意味で正確ではありませんが、
『デジタルだったら、ボタンひとつで、できちゃうよ。』
これは、いわゆるフィルムをまわす映写機を扱っているルカのことを恵介が『凄い』と、
言ったのに対しての言葉。ルカは、おじいさんから技術を伝承しており恵介に
教えますが、恵介は数々の失敗をしてしまいます。だから『凄い』という言葉には
説得力があります。ルカは謙遜するかのように前述のセリフを吐くのですが、
きっとルカは、デジタルシネマの世界を、かならずしも自分がやりたい世界とは
思ってないことも言外に読取れます。実際には簡単に『いつもボタンひとつで・・』という
訳にはいかないだろうけど、祖父からの伝承を受けられたのはデジタルではなかった
からだろうし、この3年間、映画館から一歩もでずに、ほぼ映写室だけで過せたのは、
昔ながらの映写機のおかげもあったことでしょう。『ボタンひとつ』だけで3年間
閉じ篭もっていたら、発狂するか、寝たきりになるのではないでしょうか?

監督は、谷口正晃。2010年版『時をかける少女』の監督。『時かけ』は原田知世版も
アニメ版も大好きだったので、当時大いなる期待を持って行ったのでした。ところが、
70年代にタイムリープするのに薬のカプセルを飲むというのも興ざめだったし、
ストーリーに映画製作を絡めるというのも気に食わず、当時の私の「仲里依紗出演
映画は当り」という記録も途絶え、さんざんな思いでかえってきました。でも、本作は
別の意味でタイムリープだったのかなあと、「時をかけた」のかなあと。今の時代は、
アナログからデジタルになって、それは難しいことを簡単にしてくれる部分がありながら、
一方で何を伝承していけばよいのかわからなくなってしまった時代とも言えるでしょう。
主人公ルカの傷ついた原因はともかく、人からの伝承よりもネットからの情報がメイン
となり、孤立しやすくストレスの多い現代の若者が、70年代的アナログ世界
(その象徴が、フィルム映写機)に癒されて、現代でふたたび蘇生してゆくという
ルカ版『時をかける少女』という気もしました。


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