もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

疾走 重松清

2006-01-24 22:03:29 | BOOK
単行本刊行時に読んだので、何年か前になるが
今回映画化されたので。
映画は観る予定。

重松清の本は15,6冊読んでいる。
ニューファミリーの行く末や、
家庭持ちの中年男性のリアルな心情や、
現代の子供の世界の複雑さ、
を覗いているような、そんな気分にさせてくれる作家だと思う。
リアルな分、読後感の重いものも多いのだけれど、
「疾走」は群を抜いている。
ただの小説としても、救いがないストーリーなのだけれど、
この不幸にまみれるように人生を転がってゆく主人公の、
たった14歳のシュウジが辿った軌跡と近い人生を送った人物が現実にいるということ。
実在の少年は、
一緒に生きてくれる人を探すのではなく、
一緒に死んでくれる人を求めてか、
池袋の路上で無差別殺人を引き起こした。
そのことをどうして知ったのか忘れたけれど、
単行本で読んだ当時にはすでに知っていた。
なので一層、その救いの無さに気分が重くなった。
親に捨てられるだけでその絶望は深く果てが無いのに、
彼は社会からも捨てられ、
弱者としてつけこまれ痛めつけられるのだ。

人間を絶望に追い落とす闇の深さには限りがないのだな、
と思い知らされる。
だから犯罪を犯しても仕方ない、
という感想ではないが、
小説のラストのシュウジも、
池袋の男も、
救うことが出来ない無力感に襲われた。

この小説のままの映画ではR-15あたりになったと思われるものを
PG-12に仕上げたということは、
どのように映画化しているのかが興味深い。
ラストには救いがあるのだろうか?

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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はじめまして! (wataru)
2006-01-24 23:49:07
「疾走」僕も読みました。確かに救いようのないお話ですね。

もう一度読み返してみたいけど、それには心構えが必要かも・・・

映画が公開されたら観に行こうと思ってたのですが、どうやら僕の住んでいる地域の映画館では公開しないようです。残念。

感想などまたブログに載せてくださいね。
いらっしゃいませ~ (もじもじ猫)
2006-01-25 22:56:45
wataru様

そうなんです、読み返す勇気が必要ですよね、「疾走」は。

映画はマイルドになっているのでは(なにせ主演がジャニーズ)と思っていますが。

観ましたら感想はUPいたしますので、またいらして下さい。

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