もじもじ猫日記

好きなこといっぱいと、ありふれない日常

「独立少年合唱団」

2005-04-09 22:24:55 | 映画・旧作
2000年12月21日

70年代が舞台。
父親を亡くし孤独になった少年、道夫は、
山の中の全寮制中学校“独立学院"に転校する。
その学校には、
いろいろな理由を背負った少年達が暮らしていた。
その中でも吃音のためいじめに合う道夫は、
美しいソプラノを持つ少年・康夫と出会うことにより、合唱を始める。
歌うときはどもらないのだ。

学院の合唱団の顧問教師・清野は、
山の中で静かに暮らしているが、かつては学生運動をしていて、
それに挫折していた。
そのことが後に康夫を巻き込み、
変声期を迎えたことと重なり、彼は歌えなくなってしまう。

康夫の声になるという道夫。
清野は現実を見るように二人に言うが、
康夫ひとりが破滅に向かっていく。


少年から青年に向かう不安定な美しさを描くために、
隔離された世界で合唱という設定なのだろうが、
それがみごとにはまっている。
少年達は、ほんの少しのきっかけで死へ転がりそうなほど孤独だ。

道夫と康夫の関係は、
本人達の思いとは違う部分で、美しく危うい。
首に巻かれる赤いスカーフの艶やかさ。
道夫役の伊藤淳史は「鉄塔武蔵野線」で注目していたが、
康夫役の藤間宇宙は中性的ではまり役。
清野役の香川照之にはこの作品で注目するようになったほど、好演。
(その後伊藤淳史は順調に活躍してるが、
藤間宇宙はなんだか普通の男の子になってしまった。残念)

ストーリーだけ書くと少女マンガのようだが、
美しい映像と合唱と、現実を一人で体現している清野の存在で、
すばらしい作品になっている。
コメント (1)
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