くたくたルンゲクッタ

過ぎていく時間と思い出忘備録

アキギリ

2015-09-29 | 日記
失敗する事、間違いを侵す事、裏切られる事、後悔する事などは人間なら誰しも数え切れないほどある。自分の性格も無計画無鉄砲でありながら後悔しやすく、人一倍くよくよする方だから、落ち込んだ後如何に立ち直るかがいつも大きな問題となる。自分ではよかれと思ってしたことが裏目に出て大問題となりその後、うつ病になった先生がいた。ある土曜日の午後、心不全で一人の老人が入院した。若手のその医師は患者が苦しそうなのを見て、胸水を抜いて楽にしてあげようと考えた。たまたま先輩医師が不在だったから自分ひとりで胸水穿刺を行った。手技的には何の問題もなく終了し患者の呼吸状態は良好になったかに思われた。だが、その後急変してショック状態になってしまった。周りの医師は見て見ぬふりで助けにはならなかった。先輩医師が遅れてやってきた時は患者は亡くなっていた。幸い訴訟には至らなかったものの遺族からは強く責められた。その若い医師は患者の家族、同僚や先輩に対して、そして人間すべてに対する不信感から逃れられなくなってしまった。


この前会合で信州へ行った時に林縁を歩くと紫色の野生のサルビアがあちらこちらに咲いていた。そのサルビアはおそらくアキギリ(シソ科 アキギリ属)だろう。


濃い紫色の唇形花を段々に付けている。全体に毛がある。


少し色の薄い個体もある。


近くにはもっと色が薄くて黄色の花もある。こうなるとキバナアキギリと区別がつきにくい。キバナアキギリ(Salvia nipponica)とアキギリ(Salvia glabrescens)の決定的な違いは何だろうか?


葉は対生し、長柄があり三角状ほこ形。

サラシナショウマとメスグロヒョウモン

2015-09-22 | 日記
シルバーウイークとかで連休。久しぶりでいい天気。植木屋が来て狭い庭のシラカシの枝を切って丸坊主にしてしまった。ハナモモも強烈に剪定していったので来年は花があまり見られないだろう。午前中は講演で使うスライドを考えながら論文(Hall et al., 2015, Cell Metabolism 22, 427–436)を読んだ。脂肪制限食と炭水化物制限食のどちらが体重、体脂肪が減るかという疑問に答える論文で、結論は炭水化物制限食の方が体重は減るが、脂肪制限食の方が体脂肪は減るという内容だった。やはり脂肪も炭水化物も両方とも減らした方がよさそうだなあ。

サラシナショウマ キンポウゲ科サラシナショウマ属

林の中でサラシナショウマの花が咲いていたので車を止めてみる。


人の背丈ほどの高さに長い総状花序を掲げて白い花をつけている。葉は大きな3回3出複葉で鋸歯がある。




ブラシのような花序。いつみても美しい。

メスグロヒョウモン タテハチョウ科

サラシナショウマの花に一頭のチョウがとまっていた。色からいってイチモンジチョウの仲間かな?と思って写真を撮った。しかし後で調べてみるとヒョウモンチョウの仲間のメスグロヒョウモンの雌のようだ。雄と雌で色が全く異なっているらしい。後ろの赤い果実はマユミ。




ツマグロヒョウモンも雌の方が黒っぽいけれども、このメスグロヒョウモンの雌はもっと黒い。

真っ赤に燃えるヒガンバナ

2015-09-22 | 日記
名探偵ポワロ“雲をつかむ死”を見ていたら、パリが舞台で冒頭ではモンマルトルの丘のサクレ・クール寺院周辺が出てきた。パリには10数年前に学会で一度だけ行ったことがあり、その時訪れた時のことを懐かしく思い出した。サクレ・クール寺院の周辺の路上ではたくさんの画家?たちが旅行客の似顔絵を描いている通りがある。一人の絵描きは40歳くらいの男で左手に煙草を手に右手に太い鉛筆を持って客を待っていた。あるカップルが似顔絵を依頼したので、どうやって描くのか興味があって後ろから見てみることにした。彼は女性の顔の中央部分から描き始め目、鼻、口そして輪郭を5分ほどで見事に描き上げた。その顔は生き生きとして実物そっくりだった。その後髪と体を描いて、次に男を彼女の横に描いて20分ほどで完成した。2、3回消しゴムで手直ししたけれどほとんどノーミスで仕上げた。鉛筆1本であれほどの絵が描けることに感動し今でも忘れられない。上野駅の周辺でやっている似顔絵とは天と地の差だった。

家の横には大きな病院があり、また斜め前には小さな墓地と寺がある。そのせいでお盆やお彼岸の季節には墓参りの人たちが朝早くから出入りする。周辺の空き地は至る所ヒガンバナが燃えるように咲き赤に染まる。


家の前のヒガンバナ。ヒガンバナはヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草。年々増えている気がする。


斜面の空き地のヒガンバナ。




遠くにナガサキアゲハが飛んできて蜜を吸っていた。よく見るとその翅はもうボロボロで先週までの雨を乗り越えた苦労を物語っているかのようだ。頑張れ。




アゲハもヒガンバナが好き。次々蜜を求めてやってくる。

山の宝石 ~ トチバニンジンの果実

2015-09-20 | 日記
山道を歩いていると足元に赤い果実が見えた。葉は掌状複葉で特徴的だからおそらくトチバニンジンだろう。





トチバニンジン(栃葉人参、学名:Panax japonicus)はウコギ科 トチバニンジン属の多年草。高さは50-80cm。葉は5小葉かならなる掌状複葉で、茎に3-5枚輪生する。花期は6-8月で、球状の散形花序に黄緑色の小さな花をつけるらしい。


果実は直径6mm程度、先端に2個の花柱が残っている。普通は果実は球形全体が赤いが、この写真のように先端部に黒い斑点が入るものを、特にソウシシヨウトチバニンジン(想思子様栃葉人参)と呼ぶらしい。


それにしても美しい果実。

谷津田の野草

2015-09-19 | 日記
明け方に二度寝した時夢を見た。それもとても鮮明な夢だった。これを明晰夢というのだろうか。海岸近くに林があって、そこから岩場を切り開いて作った道が海に向かっていた。大きな岩がごろごろしている。4匹の小さな蝉が目の前の木の幹のとまって、そのうちの一匹が腹を震わせて鳴き始めた。ツクツクボウシだ。その他の蝉は鳴かないから雌なのだろう。その木の脇を若い17歳位の女が足早に駆けていくとその後に残された父親らしき男は心配そうに見遣って家に入って行った。もう子供ではないのだから干渉するのはよそうと心でつぶやく。。これは昨日見たドラマにも似ているし、どこかでもしかしたら経験したかもしれない別の次元の出来事のような不思議な感覚が残った。


ボタンヅル キンポウゲ科 センニンソウ属

林縁に白い花がいっぱい咲いていた。ボタンヅルのようだ。




葉は1回3出複葉、鋸歯がある。似ているセンニンソウには鋸歯がないので区別できる。




とても美しい。


トキリマメ マメ科 タンキリマメ属

ツル性の植物で真っ赤な果実を付けている。明らかにマメ科で多分トキリマメだろう。


小葉の下半分に最大径の場所がある。よく似たタンキリマメの小葉は上半分に最大部分があるらしい。




これは花。


ベニバナボロギク キク科 ベニバナボロギク属

谷津田の農道の脇に何やら赤い花を下向きに付けたキク科植物が群生していた。ベニバナボロギクのようだ。




果実も見える。


花序は先が垂れ、下向きに頭花をつける。頭花は全て細い筒状花。


葉は羽状に裂ける。


ダンドボロギク キク科 タケダグサ属

ベニバナボロギクと似ているけれど上向きに白い花をつけているものが近くに見られた。ダンドボロギクかなあ。


茎の上部に円錐花序をだし、小さな頭花を上向きにつける。頭花はすべて細い筒状花。


茎は無毛、直立する。





葉は線状披針形で不揃いの鋸歯があり、ときに羽状に裂ける。

今年の猛暑

2015-09-10 | 日記
今日は台風のあとの大雨。7月の後半から晴れの日が続いていたのに、8月後半からはずっと天気がぐずついているので今年は夏があっという間に過ぎて行った気がする。季節の過ぎていくのが何と早いのだろう。札幌の叔母さんがトウモロコシを送ってくれたのは2週間ほど前だった。今はもう梨の季節になってスーパーでは若光、幸水は終わり豊水が出回っている。梨の次に栗が出始めるともう秋だなあ。

今年は7月から8月にかけて連日猛暑が続いた。その暑さを忘れないうちに記録しておこう。


ウド ウコギ科

ウドの花が咲いていた。こんなにきれいだと思わなかった。


球状の散形花序が多数円錐状についた大型の花序。


葉は大形の2回奇数羽状複葉。


シモツケソウ バラ科

キョウガノコと花はそっくり。シモツケソウは草でシモツケは木。


クサフジ マメ科

青いクサフジの花が咲いていた。


クサフジはナヨクサフジ、ツルフジバカマなどととても似ている。クサフジやナヨクサフジは小葉の数が17-24枚と多くて、ツルフジバカマは小葉の数が10-16枚とやや少ない。ナヨクサフジはクサフジよりも花の筒部が長い。


チダケサシ ユキノシタ科

草むらにピンクのチダケサシの花が咲いていた。茎の先に細長い円錐花序を出し、淡い紅色を帯びた白い小花を密につける。葉は2回から4回の奇数羽状複葉。


近づいてよく花をみるととても美しい。


ハンゴンソウ キク科

葉は羽状に3つから7つに深く裂け互生。 ハンゴンソウだろう。


茎先に散房花序を出し、たくさんの黄色い花をつけている。キオンの花もハンゴンソウとそっくりだが葉が裂けない。


オオハンゴンソウ キク科

人の背丈ほどに成長したキク科の群生があった。オオハンゴンソウのようだ。




オオハンゴンソウは学名Rudbeckia laciniataでルドベキアの仲間。ハンゴンソウとは別の仲間。「外来生物法」で特定外来生物に指定され、栽培や移動ができないらしい。


メタカラコウ キク科

オオハンゴンソウの横で咲いていたキク科植物。メタカラコウかなあ。


花茎の高さは60cmから1m程度になる。根出葉はフキに似て長い葉柄があり葉の縁は鋸歯状。茎につく葉の葉柄は茎を抱く。似たものにオタカラコウがある。メタカラコウは葉の基部がほこ形に張り出しオタカラコウはまるい。頭花の舌状花の少ない(1-3個)メタカラコウに対して、オタカラコウの舌状花が8個程度と多い。


イヌゴマ シソ科

草むらで咲いていたシソ科植物。イヌゴマのようだ。


花は上唇は裂けず先が丸く、下唇は3裂して紅紫色の斑紋がある。


クルマバナ シソ科

これはクルマバナだろうか。


花は上唇は小さく、浅い切れ込みが入り、下唇は大きく3裂する。

タケニグサ

2015-09-02 | 日記
ある人が亡くなって、彼を偲ぶ人たちが「自分の人生の中で一番大切だった時期に一緒に働いた、その思い出の文集を作りましょう」と呼びかける案内をみた。自分の人生の一番大切だった時とはいつだろう?どの一つの過去を取り除いても今の自分は存在しないけれど、夢を持ちバイタリティに溢れていた時期が自分にとってもっとも輝いていた時かもしれない。それはもう変えることはできない過去だから、それらを思い出す時、嬉しく懐かしさの中に切ない悲しみが入り混じる。多くの夢は破れ、目的も果たせず徒労に終わった数々の思い出の中に、灰の中でくすぶっていた情熱の火が記憶の底からふっと燃え上がることがある。その行き先に求める答えは存在しないのに、それを知らない若い自分は期待と情熱を抱き意気軒昂として突き進んでいった。その徒労に終わったエネルギーを今は恋しくいじらしく感じる。


タケニグサ ケシ科

林縁の日当たりのよい斜面には草丈2m以上もある植物が群生していた。ケシ科の多年草タケニグサだった。


茎の先に大きな円錐花序をつけ、下の方には切れ込みのある大きな葉をつけている。雑草にしておくのは惜しいほど均整がとれていて堂々としている。


近くで花を見てみよう。


花は花弁がなく萼は2枚あり、多数の雄しべが放射状に飛び出ていて美しい。


果実は長さ2cmほどで扁平。


葉を一枚裏返してみると白い粉を吹いているような感じ。