※以前のブログで 2011-10-04 03:10:36 に投稿した記事です。
巨人・渡辺会長 統一球批判&圧縮バットの使用解禁提唱 ― スポニチ Sponichi Annex 野球
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/09/27/kiji/K20110927001706560.html
巨人・渡辺恒雄球団会長(85)は都内で取材に応じ、チームの現状について「(シーズン)佳境じゃなくて悲境だよ。下手したら4位になる」と嘆いた。
チーム本塁打数が昨季の226本から92本へと激減したことで「空中戦の方が面白い。これで観客が減っている」と、今季から導入された統一球を批判の対象に挙げた。また、1981年シーズンから禁止となっている反発力の高い圧縮バットの使用解禁も提唱。最後は「ホームランバッターがエラーばっかりすると、どうしようもない。名前は言わないけど」と、拙守が目立つラミレスに苦言を呈するかのような発言で締めた。
[ 2011年9月27日 06:00 ]
このニュースには大いに楽しませてもらったが、
セ・リーグ:統一球、シーズン後に検証 理事会で決定 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/enta/sports/news/20111004k0000m050050000c.html
プロ野球セ、パ両リーグの理事会が3日、東京都内で開かれ、セは今季から採用した統一球の検証を、シーズン終了後に行うことを決めた。理事長のヤクルト・新純生球団常務は「本塁打などのデータもそろうことから検証しようということになった。(統一球を)続けるとか、やめるとかいう話ではない」と述べた。
また、実行委員会も同日に開かれ、2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の参加問題について、7日の臨時オーナー会議後に議長の楽天・島田亨オーナーが渡米し、WBC主催者側と協議することを確認した。来年の米大リーグ開幕シリーズ(3月28、29日、東京ドーム)のために来日するアスレチックスとマリナーズを相手に、同25、26日に日米球団によるオープン戦を行うことも承認した。カードは未定。
毎日新聞 2011年10月3日 20時16分(最終更新 10月3日 21時18分)
こうなってくると、また調べてみたくなる。
今回は10月2日終了時点で、2010年の規定打席到達者のうち、2011年も規定打席に到達している選手の打撃成績の変化をみた。いつの年も、若い選手は力をつけ、ベテランは力が衰えるのが常である。成績が落ちたとしても、それが年齢のせいなのか、統一球のせいなのかは断定できない。そこで、統一球の影響をよりはっきりと見るために、2年連続してレギュラーを張っている選手の成績の変化を調べることとした。規定打席到達がその基準である。
ちなみに、分析対象者は、前回6月14日終了時点の42選手から、34選手へと減ってしまった。改めて1年を通してケガ無く活躍することの難しさを感じた。
6月には規定打席に到達していた
カブレラ、スレッジ、トレーシー、ハーパー、ブランコ、ホフパワー、井端、岩本、吉村、銀仁朗、山崎武、小久保、多村、鉄平、田中賢、片岡、北川、里崎、梵、福浦
の名前が消え、
伊志嶺、後藤光、小谷野、川端、大引
が新たに名を連ねた。
2010年も規定打席に到達している分析対象者に限定すれば、カブレラ、スレッジ、ブランコ、山崎武、小久保、多村、鉄平、田中賢、片岡、梵の10名が減って、後藤、小谷野の2名が加わり、計34選手。
このうち、カブレラと鉄平は6月時点の成績変化ワースト5に入っていた。今年40歳になるカブレラはともかく、怪我もなく今年29歳になる鉄平は、統一球への対応ができずに出場機会を失った可能性がある。だからといって鉄平をデータに含めては恣意的になってしまうので、ここではその鉄平を除いてもこのような結果が得られたというようにお読みいただきたい。
| 2010年 | 2011年 | 変化 | 前年比 | p値 |
---|
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打率 | .303 | .281 | -.022 | -9.1% | p=.0007 |
BABIP | .332 | .316 | -.016 | -4.4% | p=.0142 |
本塁打率 | .030 | .018 | -.012 | -39.5% | p<.0001 |
出塁率 | .361 | .339 | -.022 | -5.5% | p=.0015 |
長打率 | .459 | .386 | -.073 | -14.8% | p<.0001 |
OPS | .820 | .726 | -.095 | -10.9% | p<.0001 |
打率は.303から.281へと減少し、2分2厘のマイナスである。統計学的に、このような変化が偶然に生じる確率は、わずか0.07%にすぎない。したがって、この変化は偶然ではなく、何らかの意味を持ったものと考えられる。他の要因が考えられなければ、統一球の影響で打率が下がっていると結論付けられる。同様に、ここにあげた指標はいずれも統計的に有意な差が見られたが、最も影響の大きかったのは本塁打数÷打数で算出される本塁打率で、2010年に比べて2011年は前年比40%減。2010年ならホームランになるはずの打球が、2011年にはフェンスを越えなかったことがデータの上からも裏付けられた。
興味深いのは、BABIPの減少も統計的に有意だという点である。「ホームランを除くグラウンド内に飛んだ打球がヒットになるかどうかは運(と自分の走力と相手の守備力)次第」という仮説があり、BABIPは「本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合」を示す。この値が統一球の使用によって落ちたのだとすれば、強い打球が飛ばなくなってヒットの数が減ったのだと解釈できる。過去のデータからはBABIPには運の要素が大きいと言えるのかもしれないが、少なくとも強い打球を飛ばすことはヒットの確率を高めるのではないか。自分の観戦経験からもそういう印象を持っている。
次の記事では、統一球の影響が大きい打者をさぐってみたい。
最後のほうは6月と全く同じ文章で芸がないが、本塁打率の計算を追加したのに免じてお許しいただきたい。