ドラフト候補発掘の瞬間

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内田と園部、5年後どっちが活躍するか 敗れました。。。

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統一球と打撃成績3

2012-11-15 12:50:28 | 野球データ
※以前のブログで 2011-10-04 03:10:36 に投稿した記事です。

巨人・渡辺会長 統一球批判&圧縮バットの使用解禁提唱 ― スポニチ Sponichi Annex 野球
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/09/27/kiji/K20110927001706560.html
 巨人・渡辺恒雄球団会長(85)は都内で取材に応じ、チームの現状について「(シーズン)佳境じゃなくて悲境だよ。下手したら4位になる」と嘆いた。

 チーム本塁打数が昨季の226本から92本へと激減したことで「空中戦の方が面白い。これで観客が減っている」と、今季から導入された統一球を批判の対象に挙げた。また、1981年シーズンから禁止となっている反発力の高い圧縮バットの使用解禁も提唱。最後は「ホームランバッターがエラーばっかりすると、どうしようもない。名前は言わないけど」と、拙守が目立つラミレスに苦言を呈するかのような発言で締めた。
[ 2011年9月27日 06:00 ]


このニュースには大いに楽しませてもらったが、

セ・リーグ:統一球、シーズン後に検証 理事会で決定 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/enta/sports/news/20111004k0000m050050000c.html
 プロ野球セ、パ両リーグの理事会が3日、東京都内で開かれ、セは今季から採用した統一球の検証を、シーズン終了後に行うことを決めた。理事長のヤクルト・新純生球団常務は「本塁打などのデータもそろうことから検証しようということになった。(統一球を)続けるとか、やめるとかいう話ではない」と述べた。

 また、実行委員会も同日に開かれ、2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の参加問題について、7日の臨時オーナー会議後に議長の楽天・島田亨オーナーが渡米し、WBC主催者側と協議することを確認した。来年の米大リーグ開幕シリーズ(3月28、29日、東京ドーム)のために来日するアスレチックスとマリナーズを相手に、同25、26日に日米球団によるオープン戦を行うことも承認した。カードは未定。

毎日新聞 2011年10月3日 20時16分(最終更新 10月3日 21時18分)


こうなってくると、また調べてみたくなる。

今回は10月2日終了時点で、2010年の規定打席到達者のうち、2011年も規定打席に到達している選手の打撃成績の変化をみた。いつの年も、若い選手は力をつけ、ベテランは力が衰えるのが常である。成績が落ちたとしても、それが年齢のせいなのか、統一球のせいなのかは断定できない。そこで、統一球の影響をよりはっきりと見るために、2年連続してレギュラーを張っている選手の成績の変化を調べることとした。規定打席到達がその基準である。

ちなみに、分析対象者は、前回6月14日終了時点の42選手から、34選手へと減ってしまった。改めて1年を通してケガ無く活躍することの難しさを感じた。

6月には規定打席に到達していた

カブレラ、スレッジ、トレーシー、ハーパー、ブランコ、ホフパワー、井端、岩本、吉村、銀仁朗、山崎武、小久保、多村、鉄平、田中賢、片岡、北川、里崎、梵、福浦

の名前が消え、

伊志嶺、後藤光、小谷野、川端、大引

が新たに名を連ねた。

2010年も規定打席に到達している分析対象者に限定すれば、カブレラ、スレッジ、ブランコ、山崎武、小久保、多村、鉄平、田中賢、片岡、梵の10名が減って、後藤、小谷野の2名が加わり、計34選手。

このうち、カブレラと鉄平は6月時点の成績変化ワースト5に入っていた。今年40歳になるカブレラはともかく、怪我もなく今年29歳になる鉄平は、統一球への対応ができずに出場機会を失った可能性がある。だからといって鉄平をデータに含めては恣意的になってしまうので、ここではその鉄平を除いてもこのような結果が得られたというようにお読みいただきたい。

2010年2011年変化前年比p値
打率.303.281-.022-9.1%p=.0007
BABIP.332.316-.016-4.4%p=.0142
本塁打率.030.018-.012-39.5%p<.0001
出塁率.361.339-.022-5.5%p=.0015
長打率.459.386-.073-14.8%p<.0001
OPS.820.726-.095-10.9%p<.0001

打率は.303から.281へと減少し、2分2厘のマイナスである。統計学的に、このような変化が偶然に生じる確率は、わずか0.07%にすぎない。したがって、この変化は偶然ではなく、何らかの意味を持ったものと考えられる。他の要因が考えられなければ、統一球の影響で打率が下がっていると結論付けられる。同様に、ここにあげた指標はいずれも統計的に有意な差が見られたが、最も影響の大きかったのは本塁打数÷打数で算出される本塁打率で、2010年に比べて2011年は前年比40%減。2010年ならホームランになるはずの打球が、2011年にはフェンスを越えなかったことがデータの上からも裏付けられた。

興味深いのは、BABIPの減少も統計的に有意だという点である。「ホームランを除くグラウンド内に飛んだ打球がヒットになるかどうかは運(と自分の走力と相手の守備力)次第」という仮説があり、BABIPは「本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合」を示す。この値が統一球の使用によって落ちたのだとすれば、強い打球が飛ばなくなってヒットの数が減ったのだと解釈できる。過去のデータからはBABIPには運の要素が大きいと言えるのかもしれないが、少なくとも強い打球を飛ばすことはヒットの確率を高めるのではないか。自分の観戦経験からもそういう印象を持っている。

次の記事では、統一球の影響が大きい打者をさぐってみたい。

最後のほうは6月と全く同じ文章で芸がないが、本塁打率の計算を追加したのに免じてお許しいただきたい。

統一球と打撃成績2

2012-11-15 12:49:34 | 野球データ
※以前のブログで 2011-06-16 00:45:17 に投稿した記事です。

引き続き、2010年の規定打席到達者のうち、2011年6月14日現在も規定打席に到達している打者の成績の変化を見る。

打率変化ベスト打率変化ワースト
1井口資仁+.0461カブレラ-.141
2山崎武司+.0392森野将彦-.126
3内川聖一+.0393鉄平-.115
4長野久義+.0294和田一浩-.102
5宮本慎也+.0295相川亮二-.091
出塁率変化ベスト出塁率変化ワースト
1松田宣浩+.0731カブレラ-.176
2本多雄一+.0612鉄平-.140
3井口資仁+.0483森野将彦-.114
4長野久義+.0444田中浩康-.102
5山崎武司+.0375相川亮二-.095
長打率変化ベスト長打率変化ワースト
1松田宣浩+.1081森野将彦-.242
2内川聖一+.0962和田一浩-.236
3村田修一+.0363カブレラ-.222
4山崎武司+.0354ブラゼル-.191
5小久保裕紀+.0255鉄平-.187
OPS変化ベストOPS変化ワースト
1松田宣浩+.1811カブレラ-.398
2内川聖一+.1122森野将彦-.356
3本多雄一+.0753鉄平-.327
4山崎武司+.0724和田一浩-.315
5井口資仁+.0655相川亮二-.268
BABIP変化ベストBABIP変化ワースト
1小久保裕紀+.0631カブレラ-.146
2宮本慎也+.0502鉄平-.118
3山崎武司+.0503森野将彦-.115
4井口資仁+.0394和田一浩-.090
5本多雄一+.0345相川亮二-.086

打率、出塁率、長打率、OPS、BABIP、いずれも落とした選手は大幅に落としている一方で、上げた選手は微増にとどまっていることが改めて確認できる。また、いずれもほぼ同じ顔ぶれが並ぶが、成績を落とした選手のほうの一致度が高い。カブレラ、森野、鉄平、和田、相川。これらの選手の技術的な共通点がわかれば面白いのだが、どうもひとくくりにはできそうにない。

強いてあげるとすれば、森野と鉄平は右投げ左打ちである。成績を上げている選手に右投げ左打ちの本多がいるが、全体として右投げ左打ちのほうが影響を受けているかもしれない。そこで、2010年と2011年の成績の差を、右投げ左打ちとそれ以外で比較した。

右投右打(24名)左投左打(*4名)右投左打(14名)有意水準
打率-.026-.038-.012p=.4278
出塁率-.029-.034-.005p=.7832
長打率-.070-.085-.015p=.6048
OPS-.099-.119-.020p=.6544
BABIP-.021-.035-.014p=.4037

2010年から2011年にかけて、右投げ右打ちと左投げ左打ちを合わせた28名の打率は、2分6厘下がっている。一方、右投げ左打ちは3分8厘下がっている。ここには1分2厘の差があるが、この差が偶然に生じる確率は43%もあり、統計的に有意であるとは言えない。打率以外の指標も同様で、いずれも右投げ左打ちのほうが成績の落ち幅が大きい傾向にあるものの、はっきりとした差ではなかった。したがって、右投げ左打ちが統一球の影響を強く受けているとは断言できない。右投げ左打ちが成績を落としているのは確かだが、右投げ右打ちも左投げ左打ちも成績を落としているのである。

ただし、サンプル数が少ないせいで統計的な有意差が検出されなかった可能性がある。後日、規定打席到達の基準を緩め、もう少し対象選手を増やして分析してみたい。

統一球と打撃成績1

2012-11-15 12:48:42 | 野球データ
※以前のブログで 2011-06-15 20:13:50 に投稿した記事です。

統一球になってボールが飛ばなくなったと言われている。広島の50イニング連続無得点、日本ハムの52イニング連続無失点、ダルビッシュの46イニング連続無失点など記録が次々と生まれ、投高打低の印象が強いシーズンとなっている。実際に打撃成績に大きな変化はあるのだろうか。ホームランの数はシーズン途中なのでおいておくとして、パーセンテージで表される打撃指標について、昨年からの変化を調べてみた。2010年の規定打席到達者のうち、2011年6月14日現在も規定打席に到達している選手、42名を対象とした。

2010年2011年変化有意水準
打率.301.271-.030-9.1%p=.0002
出塁率.363.332-.031-7.6%p=.0005
長打率.463.389-.075-15.2%p<.0001
OPS.827.721-.106-11.9%p<.0001
BABIP.331.305-.026-7.2%p=.0017

打率は、.301から.271へと減少し、3分ものマイナスとなっている。統計学的に、このような変化が偶然に生じる確率は、わずか0.02%にすぎない。したがって、この変化は偶然ではなく、何らかの意味を持ったものと考えられる。他の要因が考えられなければ、統一球の影響で打率が下がっていると結論付けられる。最も影響の大きいのは長打率で、2010年に比べて2011年は15%減。塁打数÷打数で算出される指標で、ホームランのウエイトが高いため、この結果には納得がいく。2010年ならホームランになるはずの打球が、2011年にはフェンスを越えなかったことが想像できる。出塁率には四死球も含まれるので打率ほどの直接的な変化はなく、OPS(出塁率+長打率)の差は当然ながら出塁率と長打率の平均的なものとなっている。

興味深いのは、BABIPの減少も統計的に有意だという点である。「ホームランを除くグラウンド内に飛んだ打球がヒットになるかどうかは運(と自分の走力と相手の守備力)次第」という仮説があり、BABIPは「本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合」を示す。この値が統一球の使用によって落ちたのだとすれば、強い打球が飛ばなくなってヒットの数が減ったのだと解釈できる。過去のデータからBABIPには運の要素が大きいと言えるのかもしれないが、少なくとも強い打球を飛ばすことはヒットの確率を高めるのではないか。自分の観戦経験からもそういう印象を持っている。

次の記事では、統一球の影響が大きい打者をさぐってみたい。