気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

beautiful world 26

2023-01-22 05:08:00 | ストーリー
beautiful world  26


【初めての彼女 (3)】






僕は晴れて希望の大学に入り
大学生になってからは勉学と柔道を両立しながら

週末は彼女とデートをした

デートは主に彼女が主導権を握っていて僕がついて行くような感じだった

週一しか会わないことに不満はなさそうで
彼女自身もバイトやスケジュールが詰まっているようだった

もっとも
僕も柔道とバイトしかしていないことを彼女は知っていた

周辺の友人達は合コンとか旅行とか大学生活を謳歌していて

僕も撮影旅行したいなと思い始めた


その頃
ようやく舞ちゃんを“舞”と呼べるようになった

女の子を呼び捨てにするのは初めてで
慣れるまでに時間がかかった

舞はとにかく食べ物には拘りが強く
安全で栄養面をとても気にしていて

僕には筋肉がつきやすく栄養価の高い料理を作ってくれた

美意識が異様に高かったし
スポーツジムにも通っているようだ

うちに遊びに来てもストレッチをしながらテレビを見ている

『あれ?言ってなかった?私雑誌のモデルもやってるの。』

と…

バイトってモデルだったのか!
知らなかった!


舞はいつもそうだ

『なんでいつも事後報告…?(汗)』

『言う必要ある?』


事細かく全て教えてくれとは言わないが
一応彼氏なんだし

普通そういうの教えてくれるもんじゃないの?

女の子ってそういうものなの?


とにかく初めて女の子と付き合う僕は驚きが多かった

というか舞が特殊だったことは
付き合っていく内に徐々に気付いていった


僕は華やかな雰囲気の舞と比べてもごく一般的な(身体はデカいがそれ以外はむしろ地味なくらいの)普通の男

僕の何が良くてこうして一緒にいるのか
時々わからなくなる


『僕のどこが好きなんだ?』

『んー?(笑)』
ニヤニヤ顔で僕を眺めていたら僕の膝の上にまたがってきた

『私しか知らないところ(笑)』


“知らないところ”??

『それはどういう、』

『まず顔が好きでしょー?』
頬を撫でた

『低くて優しい声とかー、』
喉を指先で撫でる

『この逞しい身体も…』
指先は腕や胸筋をなぞる

色っぽい表情で迫られて
僕のは硬く大きくなるのは必至で

『こっちも…』
舞は腰を少し揺らしながら刺激してきた

『逞しいよね…ふふっ♡(笑)』


…うっ、、


『キスも…』
わざと焦らすように僕の唇を指先で撫でてきた

僕は舞のルームウェアの中に手を滑り入れ背中を撫でると唇を重ねてきた




舞はセックスも大胆だった

色んな体位を求めてきたし
恥じることなく要望も伝えてくるから満足させる術を学んだ

『陽太とのセックス、好きよ(笑)』

それは僕も好きだが
それだけで僕らは付き合ってるって言えるのか…?

次第に
心が虚しく感じるようになっていった

すると舞の心を確かめたくて
ますます身体を求めてしまう

舞は束縛は嫌うのに
僕から強引に求めると悦ぶ

それで会うと必ずセックスをするようになっていった

本当にこんな関係で良いのだろうか…?



『舞、写真撮りに行こうよ(笑)』

最近全然カメラを握っていなかった

いつも風景写真ばかりだったけれど

初めて人物を撮りたいと思った

その“初めて”は
やっぱり舞が良い


モデルをやっていて
撮られ慣れている舞は自然に美しいポージングをした

『さすがだな、慣れてるな(笑)』

『そりゃね、ふふっ(笑)』


ファインダー越しに見る舞に

やっぱり整った顔の女なんだなとあらためて認識した


『私、陽太が大好きだよ(笑)』


ーー舞?


『私の気持ち、ずっと気にしてたでしょ?(笑)』


どうして…
わかってたのか…?

『陽太のこと全部好きよ。ご飯の食べ方が綺麗な所も、私を認めてくれる所も、とにかく全部。陽太の優しく誠実な所もね(笑)はじめにそう言ったじゃない(笑)陽太の誠実な優しさ。それが今も変わらないから好きなの!(笑)』



そうだ…

最初から舞はそう言っていたのに
何故 僕は忘れてしまっていたんだろう…


『陽太はどうなの?私のこと、ほんとに好き?』


ーー “好きだ”


『あ…』


“好き”という言葉が自然と浮かんだ

訳もなくふいに涙がこみあげてきて
僕は慌てて気付かれぬようさり気なくカメラを構えてシャッターを切った


その時

何故涙が込み上げてきたのか
自分でもよくわからなかった


『ねぇねぇ、どうなのよ〜(笑)』

ファインダー越しに映る舞の笑顔がキラキラと輝いている


ーー綺麗だ…


本当に
そう思った…


僕はやっぱり舞が好きだったんだ…



ずっと舞の心を求め

やっと手に入れたと思ったら
既に手の中に持っていたことに気づいた

そんな感覚だった…


わかってたはずなのに
実感していなかった


『舞ってほんとはめちゃくちゃ綺麗なんだな(笑)』

『え?今さら〜?(笑)』

『自信過剰って言われるだろ!(笑)』

『自信過剰なんかじゃないわよ!事実そうでしょ?(笑)』


見た目の美しさじゃなくて
自由に生きる女性の魂の輝きを

僕は見た

そんな気がするーー




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