しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

五木の子守唄

2023年01月15日 | 民謡

五木の子守唄

 

すっかり過去のことで、それが小学校だったか、中学校だったか、それとも高校の時だったか思い出せない。

音楽の授業で、みんなで「五木の子守唄」を歌った。

おだやかな、ゆっくりとした曲だったが、

先生が黒板に歌詞を書いて、その意味を説明した。

 

曲の良さは別にして

こんな悲しいことが歌われているのかと、すこし衝撃を受けたのをよく覚えている。

 


「日本の子守唄」  西舘好子 游学社 2018年発行

熊本県
子守奉公の辛い現実
【五木の子守唄】

子守唄といえば「五木の子守唄」が筆頭にあがります。
九州熊本県球磨郡五木村は江戸時代から、
子守奉公に同県南部の人吉や近郊の都市に娘を輩出することで有名でした。
貧しさからの口減らしで、
今では、児童虐待に問われそうな状況の中で、彼女たちはいわば盆までのお勤めと騙されて奉公に行くのですから辛いのは当然です。
背中に子を負ぶい、そればかりか、買い物、洗濯などの家事手伝いもさせられるのです。
無賃金(親には事前にわずかな金銭が渡されています)で、着物、下駄は盆と暮れに支給されました。
休日なし、食事は腸汁という過酷な環境での奉公は初潮がくるまで続くのです。
遊びたい盛り、まだ親に甘えていたい年齢で働かされる少女たちは、その発散のために、唄を作り歌うことで気を紛らせていたのでしょう。

貧しさも底をついたという生活からやむをえない手段として、娘を「子守奉公」に出した親たちも
「食べられれば、それだけでいい、生きてくれ」という切迫した中での選択が、
その親の気持ちを幼い子どもたちは肌で感じたのでしょう。

 


おどま盆ぎり盆ぎり
盆からさきゃおらんど
盆が早よくりゃ 早よ戻る

おどま勧進勧進
あんひとたちゃよか衆
よか衆よか帯 よか着物(きもん)

おどんが打死だちゅうて
誰が泣てくりゅきゃ
裏ん松山 蝉が鳴く

おどんが打死ちゅうたば
道端いけろ
通る人ごち 花あぎゅう

花はなんの花
つんつん椿
水は天から 貰い水

 

・・・・

画像・熊本県人吉市・人吉城跡 2013.8.10

 

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