しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

糸引き唄

2023年03月01日 | 民謡

綿花を近年よく見る。
趣味で家庭菜園で栽培し、白い綿を観賞したり、それを手芸に使ったり、
そして糸車で糸を紡いだりしている。

明治頃までの農家は、
畑で綿花を栽培する。収穫する。
糸を紡ぐ。
機織りで布にする。
着物に編む。
紺屋に出す以外は、そのすべてを自作していた。

 

・・・・

「岡山県史 民俗1」 岡山県 昭和58年発行

糸引き車で(糸車)で撚りをかけながら糸に引いた。
右手で車を回し、左手でシノから糸を引きだし撚りをかけて糸にした。
夜なべでアンドンの下で毎夜糸引きをしたものという。
手引きは普通は太くて不揃いだった。
織るとゴツゴツした厚地の手織り木綿になった。
糸引きは根気のいる仕事で夜なべは眠いから娘たちは糸車とシノを持ち
娘宿に集まって糸紡ぎ唄を歌って糸引きをした。

 

 

・・・・

「岡山県史民俗Ⅱ」 岡山県 昭和58年発行

 

製糸唄

機織りは昭和初期までは、どの家でもやっていた。

糸車を使って綿の繊維から糸を引きだして、よりを掛けて糸を作った。

若い娘たちは一カ所に集まっていっしょに糸取りをした。

その方が楽しいし、能率があがり、技能も上達した。

 

勝央町

七つ八から糸取り習うて

今じゃ糸屋の嫁となる

くるりくるりと回れや座繰り

早くたまれよ枠の糸

 

・・・

「高梁川44」 高梁川流域連盟 昭和61年発行

久米郡南部・御津郡北部の俚謡 石田農夫男

 

俚謡(りよう)は素朴な村人の間に、自然発生した生活の歌であり、

労働の歌でり、愛情の歌として、幕末から大正時代にかけて唄いつがれてきた。

 

糸紡ぎ歌

(春秋の農繁期を除いて、毎夜婦人は糸車をブンブンと廻しつづけて糸を紡ぎ、布を織っていた)

好きな殿御が 門に来て立てりゃ

糸も車も 手につかぬ

わしが鳥なりゃ あの家の屋根に

焦れ鳴き声 聞かせたや

・・・・

「広島県の民謡」 中国放送  第一法規出版 昭和46年発行


糸引き歌

綿から木綿糸をつむぐ時の歌である。

昔は山村・農村・漁村では、布は自分の家で織ったものであるから、
その布の材料である糸も、やはり自宅で綿からつむいだものである。
細長く伸ばした綿を左手に持ち、
右で糸車を廻して、
綿を糸に撚りつつツムに巻きとる。
この糸引きの仕事は、すべて女性が受け持った。
姑も嫁も小姑も、糸車をびゅーんびゅーんと廻しながら糸を作った。

豊田郡・賀茂郡・山県郡・安芸郡

これのお背戸にゃ いつ来てみても
車三挺の 音がする

車三挺の 音がせでなろか
嫁に 姑に 小姑よ

 

・・・

 

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