しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

サンデー毎日~「引き揚げ」に日本人の実存の弱さを見る

2018年06月05日 | 昭和20年(終戦まで)
北方領土問題は、日露の二ヶ国の問題だが、更に詰めると日本だけの、国内問題と思う。
理由の一つに、日本を支持する国家は聞いたことがない。

サンデー毎日に五木寛之の「ボケない名言」は、引き揚げを書いている。

以下、サンデー毎日2018年6・10号より転記する。

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「引き揚げ」に日本人の実存の弱さを見る  五木寛之
ステートよりもカントリー

「戦争の一つや二つに敗けたくらいでは引き揚げたりしないのが大陸の諸民族である」という内村剛介の言葉に、拳銃で胸を撃たれたようなショックを受けた事があった。シベリアから送還された内村の言葉だけに、なおさらである。
戦争に敗けたら誰でもが母国に帰る。それが当然だと思っていたのだ。
しかし、それは明治以来日本人の出稼ぎ根性の反映ではないのか。
アジア大陸の諸民族は、ステート(国家)の敗北におつきあいはしない、と彼は言う。彼らは自己の生活圏にロイヤリティを示す、と。

太平洋戦争の終結にともなって、日本人は旗を巻いて大陸や南方から”本土”へ引き揚げてきた。だがロシア革命に際してもシベリアの中国人は引き揚げはしなかった。

「彼らは現地にとどまり尼港事件の惨を見るのだが、それでもシベリアに居ついている。朝鮮人もそうだ。ステートよりもカントリーを採るところが彼らには強く残っている」と彼は書く。
グローバル化とは「落地生根(らくちせいこん」の志ではないのか。
いつの日か故郷へ帰らん、とうたう心情によりかかかっているだけでは、国際化はおぼつかない
あらためてそう思う。


コメント
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