宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

将来はロケットの再使用へ

2013年10月04日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
9月29日、スペースX社がファルコン9ロケットの打ち上げに成功しました。

今回打ち上げられたのは、カナダ宇宙庁の衛星“カシオペア”など、7機の人工衛星を搭載したファルコン9 バージョン1.1ロケットです。

このバージョン1.1は、その名前とは裏腹に、
これまでのファルコン9から大きく進化を遂げた革新的なロケットなんですねー

バージョン1.1は、従来のファルコン9に比べて打ち上げ能力や信頼性が向上し、製造方法を見直すことでコストダウンも図られた、実質の新型機になっています。

各段に使用されるロケットエンジンは、これまでのマーリン1Cから、より強力なマーリン1Dへと換装されています。

マーリン1Dは推力の調整機能を持っていて、飛行時の負荷を低減させたり、ロケットを地上に着陸させるといった芸当が可能になっているんですねー

また、第1段エンジンの配置も、これまでの縦横それぞれ3基ずつ「田」の字のように並べる方式から、
オクタウェブと呼ばれる、8基を円形状に並べ、その中心に9基目を配置する方式に見直されています。

他にも第1段と第2段に搭載されている電子機器も新しくなり、なかでも第1段に搭載されたコンピュータは、回収のために地上に帰還できるよう、自律した飛行が可能になっています。

現在、スペースX社はファルコン9-Rと呼ばれる再使用ロケットの開発を進めているので、
第1段を回収するための技術は、今後必要となってくるんですねー
今回の打ち上げでも、第1段の回収が試みられ、エンジンの再点火には成功したのですが、その後スピン状態に陥りエンジンが停止し、太平洋への軟着陸は果たせませんでした。
スペースX社は、来年2月に予定されている打ち上げで、再び回収実験を行う予定です。

また、衛星分離後に第2段エンジンの再点火も試みられています。
これは静止衛星の打ち上げのために必要となるものなんですが、こちらは点火自体に失敗…

バージョン1.1を使った静止衛星の打ち上げは、今年の10月末に予定されています。
ロケットはすでに射場に到着しているのですが、今回の問題が解決されないと打ち上げは延期になるかもしれないんですねー

ファルコン9 バージョン1.1の打ち上げ費用は約56億円で、再使用が可能になるファルコン9-Rが実用化されれば、さらに安価になるそうです。

これに、打ち上げを重ねて信頼性が確立できれば… アリアン5やプロトン、H-IIA(やその後継機)といった世界の同規模のロケットにとっては、太刀打ちすることすら難しい強力なライバルになってしまうんですねー


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