宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

地球の生物による宇宙汚染、その対策は?

2014年05月22日 | 宇宙 space
小説“宇宙戦争”に登場する火星人や、映画“ET”の超能力を持つ宇宙からの訪問者…
SFの世界では、宇宙人が地球にやって来る話がたくさんあります。

でも現実の科学の世界では、地球に住む生物、具体的にはバクテリアや微生物が、
地球以外の天体に到達することのほうが、より大きな懸念になっているんですねー

NASAは火星に複数の探査機を送っているほか、
氷で覆われた木星の衛星“エウロパ”の探査も計画しています。
また、土星の衛星“エンケラドス”に海が存在する可能性についても調査を進めています。

これらの試みは、こうした惑星や衛星に生息する生命体の発見を目的にしていて、
こうした探査結果に地球由来の生命体が紛れ込む可能性もあります。

ワロップス飛行施設のクリーンルームで、
打ち上げに向けた準備作業が進む、
NASAの無人月探査機“LADEE”
これを防ぐため、NASAは探査船を宇宙に送り込む前に、徹底的なクリーニングを行っています。

地球の生態系も侵入種や感染症によって、汚染されることがあります。
NASAのクリーン作戦は、地球以外の新しい環境における、こうした事態の発生を防ぐためのものなんですねー

打ち上げ時の高熱や、宇宙空間の寒さ、さらには航行時の速度といった要因により、
探査機についたバクテリアや微生物は、ほぼ死滅してしまいます。

でも、国際宇宙ステーションの外部に生物を置く実験では、
細菌や地衣類、植物の種、さらには小動物などが、宇宙空間で数年もの間生き延びることが明らかになっています。


微生物の拡散を防ぐため、NASAおよび世界各国の宇宙機関は、
国際宇宙空間研究委員会の定めた惑星防疫手順を通じて、
すべての宇宙探査機について清掃手順を厳格化することで合意しています。
でも、徹底的な清掃をしても、宇宙探査機には多少の微生物が付着してしまうんですねー

なので、国際宇宙空間研究委員会では、
許容できる残存微生物の数について、いくつかのレベルを設定することに…
ただ、地球に住む生命体が他の天体で生き延びる可能性について、
その実態が明らかになるにつれ、これらの基準は確実に今後変わっていくことになります。


さらに火星の中には、いまでも生命が生存可能と考えられる場所があるので、
ここを地球の微生物に汚染されることがないように、特に最新の注意を払う必要があります。

これらの場所は、地球由来の生物が簡単に繁殖しうる環境にあり、
火星で生まれた生命体が存在する可能性が高い場所だと考えられています。
こうした場所には液体の水があり、
少なくとも1年のうち一定の期間は、気温が氷点下より上になるからです。
なので、火星のこのような場所は、着陸地点から外すべきなんですねー

他の天体まで生命体を探しに出かけて、
見つかった生き物が、実はフロリダ州に住んでいるものだと判明したら…
ひじょうに残念 っと言うしかないですよね。