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太陽系最大の謎の1つ、金星の気流に新発見!

2017年09月17日 | 金星探査 あかつき
金星探査機“あかつき”の観測により、
金星にこれまで知られていなかったジェット気流が発見されました。

大きさが地球に近く、公転軌道も比較的近いことから地球の双子星と呼ばれる金星。
その謎に迫る情報が“あかつき”から得られると期待されているんですねー
“あかつき”による金星の夜面観測(イメージ図)
“あかつき”による金星の夜面観測(イメージ図)


謎の気象現象“スーパーローテーション”

金星で有名な気象現象に“スーパーローテーション”があります。

“スーパーローテーション”は金星の自転よりも速く金星を一周する風で、
太陽系惑星の気象現象の中では最大の謎とも言われています。
ただ、自転より速くと言っても、そもそも金星の自転は遅く1年は地球の224日。
でも自転周期は243日なので自転の方が遅いんですねー

さらに自転の向きが逆なので、金星上での1日の長さは地球の117日になってしまいます。
これほど遅いと金星は片面だけが太陽に加熱され、反対の面は夜になって冷えてしまうことに…

すると地球の赤道と北極・南極のように、
昼側と夜側の空気を入れ替えるような風が吹きそうに思えますよね。

でも、実際には金星を東から西へ一周する風が、
地球時間で4日前後という金星の自転よりも速い速度で吹いています。

なぜ、ほとんど止まっているような金星の自転の向きに、
自転よりはるかに速い速度で風が吹いているのか? いまも謎のままなんですねー


“スーパーローテーション”より速い気流の発見

“スーパーローテーション”のことはこれまでの金星探査で分かっていました。
でも“あかつき”は新しい現象も観測していたんですねー

それは、赤道付近の低層大気に“スーパーローテーション”とは異なる流れがあることでした。

金星は大気が濃く雲も厚く、雲の表面の高さは高度70キロもあります。
地球では、ほとんど真空になる高さです。

この高度では“スーパーローテーション”の風が吹いていて、
風速は秒速100メートル程度で時期や場所による違いはあまりありません。

今回“あかつき”は赤外線カメラ“IR2”を使って高度40キロ以下の雲の下の風を観測。
  “IR2”は下層大気の熱放射による赤外線が雲を透過する際にできる“影絵”を観測して、
  高度約45~60キロにある分厚い中・下層雲を可視化することができる。

  金星探査機“あかつき”の5つの観測機器が定常観測へ移行
    

すると2016年7月の観測データから、高度45~60キロの中・下層雲領域に、
赤道付近に軸をもつジェット状の風の流れ“赤道ジェット”が世界で始めて見つかります。

“赤道ジェット”はその後少なくとも2か月継続し、
赤道付近では80メートル以上の強風が吹き、赤道から離れると風が弱まるという現象でした。

過去にも2007年から2008年にヨーロッパ宇宙機関の金星探査機“ビーナス・エクスプレス”が、
同様の観測をしていたのですが、このような強い風は見つかっていません。
  金星探査機“ビーナスエクスプレス” 最後の軌道上昇へ
    

また、“あかつき”で観測されたのも2016年7月~8月で、それ以前には観測されず…
なので、この風は“スーパーローテーション”と違い、吹いているときと吹いていないときがあるようです。
IR2による金星夜面の雲の模様(擬似カラー)。より多くの雲粒子が大気下層から来る赤外線を遮るため、雲が厚いところほど暗い。画像左側の白いところは昼面。
IR2による金星夜面の雲の模様(擬似カラー)。
より多くの雲粒子が大気下層から来る赤外線を遮るため雲が厚いところほど暗い。
画像左側の白いところは昼面。


増えた謎と解き明かされる謎

この新しいジェット気流がなぜ起きているのかは、
まだ分かっていないません。

そもそも金星の“スーパーローテーション”自体が、
なぜ起きているのか分かっていない謎の現象です。

さらに、赤道付近にだけ強い風が吹くのは、力学の常識から考えても不思議な事になります。

フィギュアスケートのスピンで手足を縮めると回転が速くなるように、
回転する物体は半径を小さくすると回転が速まります。

地球でも、赤道上の渦が北半球や南半球に移動すると回転が強まり、台風などの現象になります。
なので、回転が赤道上で最も強いというのは逆の現象になるんですねー


金星大気の研究は地球の役に立つ?

金星の謎が明らかになったら何かの役に立つのでしょうか?

金星大気のシミュレーションプログラムは、
基本的に地球上の天気予報に使われているものと同じ原理になります。

もちろん実物の金星も物理法則は地球と同じです。
なのに、どうしてこれほどまでに違う環境になっているのか。

私たち地球人は地球の気象現象が当たり前だと思っています。
でも、宇宙には様々な星があり気象現象も異なります。

そう、地球の気象は当たり前ではなく、たまたまこうなっているだけかもしれないんですねー

なので、地球ではありえない金星の気象現象を調べることは、
今までは思いもよらなかった気象の原理発見につながるかもしれません。

そして、それは気付いていなかっただけで実は地球にもあるとすると、
今まで解明されていなかった気象現象が解明されるかもしれないということですね。


こちらの記事もどうぞ
  金星の“巨大な弓状模様”はどうやって作られたの?
    

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金星の“巨大な弓状模様”はどうやって作られたの?

2017年01月24日 | 金星探査 あかつき
金星探査機“あかつき”に搭載された中間赤外線カメラが、
2015年12月に南北方向に約10,000キロにおよぶ弓状の構造を発見しました。
2015年12月に“あかつき”が撮影した金星画像

金星には“スーパーローテーション”という、
4日で金星を一周する秒速約100キロの東風が吹いています。

でも4日間にわたる観測期間中、
この模様は“スーパーローテーション”に流されることなく、
ほぼ同じ場所にとどまっていたんですねー

数値シミュレーションを用いて調べてみると、
大気下層に乱れが生じると、そこから大気中を伝わる波が発生。

その波は、南北に広がりつつ上空に伝わって広がり、
高度65キロ付近にある雲の上端を通過する際に、
観測された弓状の温度の模様を作ることが分かりました。
2015年12月7日の中間赤外線カメラ観測画像。
画像処理を施し弓状の模様を強調し、地形上にマッピングしたもの。
(地形の等高線の間隔は1キロ)
観測された構造が高地(アフロディーテ大陸の西部)の上空に
出現していることが分かる。

それでは、なぜ金星大気下層の乱が上空へ伝わり広がるのでしょうか?

原因は、この弓状模様の中心の下にあるアフロディーテ大陸でした。

アフロディーテ大陸は標高が5キロほどあるので、
下層大気の乱れが“重力波”という波になって上空へと伝わり、
弓状の模様になっていたわけです。
  この重力波は、地球のアンデス山脈などでも観測されることがあります。
(左)2015年12月7日の中間赤外線カメラ観測画像に見られる弓状の模様の下には、
アフロディーテ大陸と呼ばれる高地が存在している。
(右)コンピュータシミュレーションによって再現された高度65キロ付近の弓状の模様。
金星大気の下層に大気の乱れが生じると、そこから発生した波が上空へ伝わって、
高度65キロでは弓なりの形に広がる。

金星雲頂の観測から下層大気の様子を推測できることが、
この研究から示されました。

今後、研究チームは弓状構造の出現条件を探っていくようなので、
弓状構造の生成メカニズムの全貌が解明されるといいですね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 大気シミュレーションの結果、金星極域の不思議な温度分布を解明できた
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金星探査機“あかつき”の5つの観測機器が定常観測へ移行

2016年05月01日 | 金星探査 あかつき
軌道変更を無事終え、金星を観測できる期間が2.5倍に増えた探査機“あかつき”。

搭載している6つの観測機器のうち、
5つについて性能が打ち上げ前の想定を満たしていることが確認され、
定常観測へと移行したんですねー
金星探査機“あかつき”


金星の最新観測データの取得へ

これまで“あかつき”では、
観測機器の動作確認や試験観測での最適化といった、
調整作業が行われてきました。

その結果、各フィルターを通した感度や画像の分解能などの観測性能が、
打ち上げ前の想定通りに満たされていることが確認されたんですねー

6つ搭載されている観測機器のうち、
1μmカメラ(IR1)、2μmカメラ(IR2)、中間赤外カメラ(LIR)、
紫外イメージャ(UVI)、超高安定発振器(USO)
の5つについて定常観測へと移行しました。
2μmカメラ(IR2)が2016年3月25日に撮影した金星の夜面。
(約10万キロ離れた距離から撮影)
金星全体を一望する夜面画像として、これまでで最も詳細な様子がとらえられている。
この波長では、地面近くの暑い大気からの熱赤外線を背景に、
雲の濃淡がシルエットとして映し出されている。

ただ、残る1つの雷・大気光カメラ(LAC)については、
“あかつき”が金星の陰に入る際に運用する機器で、
約10日に1回1時間程度の運用となっているので、
時間をかけた慎重な調整が続けられているそうです。

今後“あかつき”が目指すのは、
雷・大気光カメラ(LAC)を早期に定常観測へ移行させること、
それと金星研究のために世界最先端のデータを継続的に取得していくことになります。

こちらの記事もどうぞ ⇒ 探査機“あかつき”軌道修正に成功! 観測期間は2.5倍に増量
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探査機“あかつき”軌道修正に成功! 観測期間は2.5倍に増量

2016年04月18日 | 金星探査 あかつき
4日に実施された金星探査機“あかつき”の軌道修正が成功していたようです。

これにより“あかつき”の観測期間は2000日になり、
2倍以上に増えることになるんですねー


バッテリーの駆動時間の影響

昨年12月7日に金星周回軌道に入り、
軌道修正や試験観測を行ってきた探査機“あかつき”は、
今月中旬ごろから定常観測に移行する予定になっています。

これに先立ち、観測期間を延ばすことを目指した、
追加の軌道修正が4月の4日に行われたんですねー

この軌道修正が行われた理由は、
“あかつき”がバッテリー駆動時間よりも長く金星の陰に入ってしまうため。

これにより電力を得られなくなり、観測機器に影響が出てしまうんですねー

これまでの軌道では、
“あかつき”が陰に入るのは金星から最も離れたところでした。

遠いところでは探査機の速度が遅くなるので、
陰に入っているのが数時間にも及ぶことになります。

そこで今回の軌道修正で目指したのは、
“あかつき”が金星の陰に入るタイミングをずらすこと。
2018年夏ごろの長時間の日陰航行を回避する軌道(イメージ図)

データ解析から、軌道修正が計画通りに実行されたことが確認され、
見込まれる観測期間は、これまでの約800日から約2000日に延ばせたそうです。

ただ、機体の耐久性に問題がなければですが…
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4月中旬から本気出す! 金星探査機“あかつき”本格観測開始

2016年04月11日 | 金星探査 あかつき
昨年12月7日に金星周回軌道に入り、
軌道修正や試験観測を行ってきた探査機“あかつき”。

今月中旬からの定常観測の開始を前に、
追加の軌道修正が実施されたんですねー

これにより観測期間を2倍以上延びるようですよ。


追加の軌道修正

“あかつき”は12月20日に軌道を修正し、ほぼ予定通りの軌道に入っていました。

その後、機器を順次立ち上げて試験観測を実施。

ミッション達成における最低限の目標になる、
“ミニマムサクセス”に相当する観測が行われていました。

“あかつき”の場合の“ミニマムサクセス”は、
雲が東西方向に1周する1週間にわたって、
金星周回軌道上からいずれかのカメラによって画像を連続的に取得し、
全体的な雲の構造をとらえることになります。
4つのカメラによる金星疑似カラー画像(昨年12月撮影)。

そして今後目指すのは、
金星大気の3次元的な運動の解明や雷放電の確認、温度構造の観測といった、
打ち上げ前に予定していた“フルサクセス”。

この研究計画を進めるため、
4月中旬から定常観測へ移行することになっているんですねー

“あかつき”が定常観測前に行った追加の軌道修正により、
観測できる期間が約800日から約2000日と大幅に延びるそうです。

軌道修正の結果は後日。 成功していればいいですね。
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