藻blog.

水曜どうでしょうとお買い物の依存症。

一心

2010年10月03日 | ランチ


銚子の男子なら一度は行ったことがあるんじゃないかってくらい有名な店が
とんかつ・カレーの店「一心」。

開店から閉店までお客が絶えないお店で
客層の97%は作業着やスーツを着た20~40代の男性じゃないかって程の男率の高さ。
『食べログ見てやってきましたー♪』なんて女連れで観光気分のチャラい感じを出そうものなら
カウンターで週刊誌を片手に黙々とカツカレーを食べている男達の背中から
「ウゼェヨ、来るなよ!」って殺伐とした敵意むき出しのオーラがビシビシと出まくる
そんな働く男達にだけ許された聖域のような独特の空気が流れる店です。(過大表現ぎみです。)

このお店はそれなりの数のメニューがあるけど
だいたいの注文が「カツライス系」「カツカレー」「カツ丼」に絞られるんじゃないかと思う。
海老フライライスや焼肉ライスは注文してるのを聞いた覚えが無いなぁ。


上かつライス(790円)

とんかつ定食と、かつライス(並・上)があるけど
とんかつ定食は420円で、並かつライスは570円と気軽に頼める親切価格になっており
店に入るなりメニューも見ずにこれを注文しながら席に座る人がよくいる程の看板商品。

馬鹿みたいに分厚い肉を自慢するとんかつ屋もあるけど
結局は噛み切りにくかったり熱すぎて食べにくかったりする事も多いんだよね。
その点、ここはオーソドックスな厚さや大きさで、目を引く派手さは無いけど
それはお客さんが一番食べやすく美味しいと思える最良の答えを求めた結果だと思うね。

衣がサクサクのとんかつとシャキシャキの千切りキャベツを交互に食べる美味さに
口に入れた時に舌にツーンと感じる辛子と鼻の奥に香るソースの刺激が
とてもいいアクセントとなって体の芯まで伝わってきます。
定番であり王道のとんかつの美味さが欲しい時には迷わず注文ですね。



上かつカレー(710円)

このカツカレーを食べる為に一心に行く人もいる程の人気メニュー。
名前は「上かつカレー」とどの店でもあるような平凡な名前のメニューだけど
味がかなり独特で一般的なカレーの味とはかけ離れているので
初めて食べた人は「コレ、全然カレーじゃないよ!」って100%不満に思うだろうね。
それでしばらくはカツカレーを頼まない事になるだろうけど
なんとなく気になってしまい2回目に注文した時には「あぁ、そういえばこんな味だったな。」と
味を再確認しつつもイマイチ受け入れがたい気持ちになるはず。
でももう、この時点で『一心のカレーは独特の味』と脳内に刷りこまれ
カツカレーとしての先入観も無意識に排除されてしまっているため
3回目に一心のカツカレーを食べた時には「これこれ!この味だよ!」と
はじめて真正面からこのカツカレーを味わえている自分がそこにはいるはず。

1回食べただけで判断するのはもったいない個性派メニュー。
最低3回は食べてから判断してもらいたい。
3回食べて納得できない人はチェーン店のカレーでもレトルトカレーでも
平凡で万人受けのカレーで満足すれば良いと思うよ。
一心のカツカレーはありきたりなカツカレーにあらず
「一心のカツカレー」っていう独立した新ジャンルのメニューと思うのが大事。
カツカレーでありながらフォーク1本で食べるのも高ポイントです。



上かつ丼(720円)

たぶんこの店のダントツのオーダートップ3のメニューに入りながらも
なぜか3位から抜け出せない感が漂うカツ丼。個人的には一番好きなメニューなんだけどね。

王道でお手頃価格のかつライスと、この店でしか食べれない超個性派のカツカレーを前にすると
どうしても越えられない壁があるのかもしれない。
ただ、このカツ丼には絶対的な安定感があり
「今日はちょっと違うのを頼んでみようかな」っていう時に安心して選べる
控え選手ならではのどのポジションでも守れる器用さがある気がする。

グリーンピースや三つ葉といった軟弱な飾り付けは無用といわんばかりか
タマネギすらも気持ち程度に入っているだけで
カツとその味付けのみで勝負してくるのは専門店ならではの自信の表れかもしれない。
ジューシーで食べごたえがある豚カツは
甘辛の割り下をたっぷりと吸い込んだ衣と半熟のトロトロ卵が完全包囲しているけど
一口食べれば堤防が決壊したかのように肉汁や割り下が口の中にブワッとあふれだしてくる。
また、肉の脂身の甘さ・トロっとした卵の甘さ・甘辛な割り下で作られる味は
仕事でグッタリ疲れ気味の時でも優しく食べやすいので
イマイチがっつり食べる気がおきない時でもカツ丼を頼んでおけば間違い無し。
まさに試合巧者のオールラウンダーなのがこのカツ丼といったところです。



値段はごくわずかに10円くらい変動する事もあるけど
1,000円持っていけば、ほとんどのメニューが注文出来る手ごろ感と
銚子の飲食店にありがちな午後2時~午後5時までの中休みを取らないので
遅めの昼飯になった時にも「一心ならやってるな」といつでも行ける安心感も嬉しい限り。
さらに、持ち帰りの弁当もやっているので店内が混んでいても大丈夫。
働く人には便利で美味い地元民のための人気のお店です。

ゆうなぎ

2010年10月02日 | ランチ


もう1ヶ月以上前の事だけど
8月末まで無料で行われていたサイトウヒロミチ展を見に
銚子ポートタワーまでいそいそとお出かけしました。

昔の映画の手描き看板を自身の経験と集めた資料からミニチュア版として復刻されており
今の時代では見る事が出来ない構図やフォントの使い方や描かれているキャラクターのセンスなど
古いはずの絵が一周して斬新で非常に興味深いものに生まれ変わっていて
かなり強烈なインパクトをもった新しい絵になってました。これは見に行ってマジ良かった。

また、銚子ポートタワーの玄関ロビーでは
銚子大幸神祭の写真コンテストの結果発表がされてたのでそちらも興味深く拝見させてもらったけど
内心、「あれ?これなら俺も出しとけば入賞くらいはしたんじゃね?」と思ったり思わなかったり。
自分も大幸神祭の写真は撮りまくっていたものの
結局、ブログ用に使った顔が写って無いかもしくは化粧で分かりにくいやつを少し公開しただけで
ほとんどの写真はパソコンの中で電子のカオスになって眠っているだけだもんなぁー
今度からは、こういう写真展とかに出せる機会があったら
ビビらずにドンドン出して評価してもらうのも写真の練習になるかもしれないし
新しい撮りがいが見つかるかもしれないなぁと思った。

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・・・と、そんな感じで銚子ポートタワーまで出かけたついでに
前から気になってた「ゆうなぎ」というお店でランチしてきました。

銚子ポートタワーまで行ったついでとはいっても
ポートタワーのある観光エリアから少し離れた水産加工工場などが集まる工業エリアの中にあるので
もっぱら客層は地元民というか周辺の漁港関係者や周辺工場の従業員って感じのお店です。


観光客向けじゃないのがすぐ分かる外観。

このお店は、伊達巻寿司の大久保に連れて行ってくれた職場の先代が
「ゆうなぎのメシは見た目は普通だけど味がちゃんとしてて美味かった」と教えてくれたから知ったけど
この職場の先代は滅多なことでは人を誉めるって事をしない人で
その人に「美味かった」と誉める言葉を言わせる程の店とはどれほどのものかと興味津津だったんだよね。



さっそく入った店内は中小企業の社員食堂といった感じの作りで
大きめのテレビにはNHKが映っていて壁際のカラーボックスには色褪せた単行本がズラッと並んでおり
俺の大好きな「修羅の門」も全31巻が綺麗に揃っていたりする品揃えの良さ。
地元の人や周辺で働く人が来てダラダラと時間を過ごす為の雑談場的な雰囲気がプンプンします。
観光客はGet out of here!と言わんばかりに装飾的要素はナシです。

どうやら、このお店は通常メニューとは別に
その日の仕入れの状況によって1~2個の特別メニューも出すようで
この日の特別メニューがカツオ刺身定食だったので注文。
修羅の門の31巻を読みながら出てくるのを待ちました。(13年ぶりの修羅の門の連載再開ありがとう)


カツオ刺身定食(900円)

肉厚の刺身がドドンと並んでいるけど新鮮なので全然生臭い感じもなく実に美味い。
1枚というより1個って感じの刺身を口に運ぶ度に食べる事の充実感を感じます。
さすが漁港関係や加工工場の荒くれ者を相手に商売しているだけあって
ボリューム感も十分だしニンニク醤油の風味で食欲もかき立てられ
ドンブリのご飯がモリモリと進み、あっという間にお腹一杯で苦しいです。だけど幸せ。

何の気構えも無く観光客気分でふらりとこの店に入ったら
店の見た目だけで「あぁ、失敗したなぁ」って判断してしまって
この味に気付かずに店を出ていたに違いなかったです。実に危ないところでしたよ。



ちなみにこれが通常メニューだけど、どこにでもある一般的な食堂と同じラインナップです。
ただ、飲み物の所に「いわし天ぷら定食」と「いわしフライ定食」があるのが銚子流。
銚子ではいわしは飲み物です。  ごめんなさい、ウソつきました。いわしは飲み物じゃありません。

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すっかり満足したのでそれから数日後に再訪し
修羅の門の続きを読みつつ注文したメニューがこれ。


金目鯛煮付け定食(890円)

金目鯛の定食ってのは市内の観光客向けの食べ物屋でも良く見かけるんだけど
小さめの金目鯛を丸々1匹使って二千円を超える値段だったりするんだよね。
でもさぁ、正直言って丸々1匹出されても食べにくいし味に飽きるしそんなに量いらないし
何よりも1食で二千円を越える定食ってどこの高級料亭だよっていうくらい無駄に高いよね。
それなら切り身が2つ付いて890円の定食にしてあるこっちの方が全然良くなくね?
値段だけで言ったらカツオ刺身定食より安いっていうこのお値段は絶対お得でしょ。
ほら、家で食事する時ってブリでも鮭でも切り身が1人2個って事そんなにないでしょ?
その辺が良くわかってるお店です。さすが地元の人を対象にしてるだけあります。

そして、良いのは値段だけでなく味もこれまた最強に美味い。
さすが、滅多に人を誉めない先代すらも納得させた金目鯛煮付け定食。
甘めにしっかりと煮付けた金目鯛が口の中に入れた途端フワッとほぐれて
優しいうまみが一気に広がり目一杯まで幸せ気分を味わえます。
そしてそこに白いご飯を思いっきりかきこむとまた一段と美味さが増します。
なんだろう、この美味さは?
外食で食べた「どうだ美味いだろ!」的なカッコつけた美味さじゃなくて
子供の時に食卓で晩飯を食べてる時のような
「今日の煮魚は美味しい?」って聞かれてる感じの母性的な優しい美味さなんだよね。

あまりにも美味いので、普段はこんなことは絶対しないけど
金目鯛を食べ終わった後に残った煮汁も店員の目線から隠すようにして
ザッとご飯にかけて全部いただいちゃいましたよ。
煮汁すら残しておくのがもったいないくらい美味かったんです。
そして、その煮汁をぶっかけて食べたご飯がやっぱり美味かった。

最後の米の一粒、汁の一滴まで大満足のお店でしたよ。