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初めての富士山登山その3・山小屋に宿泊して【諸人登山】を知る話

2014年07月21日 | 山登りはじめました

(前回からの続きです)



無事に本日の宿泊先である吉田ルート八合目にある山小屋「太子館」に到着。
まずは記念に太子館の焼印を金剛杖に押してもらいます。


こちらの焼印は電気ゴテでジュウーっと押してくれます。

ガチの山小屋利用は生まれて初めてで
ネットでリサーチしているときに出てきた情報ではかなり難易度が高めの事ばかり書かれていたので
下調べをしていても実際に見るまではどんなところに通されるのか不安いっぱいで心臓バクバクですよ。
(ちなみに、立山に行ったときも『山小屋』に宿泊したけど、あれは山小屋じゃなくてほぼ旅館ですw)



山小屋の人に案内されていった宿泊場所は想像してたのとは違ってキレイな感じな場所。



平日で空いていたこともあって、3人分のスペースを2人で使わせてもらえました。
なので、多少狭いとはいっても1人・1畳半程の場所があり体を休めるには十分な広さがありましたし
シュラフ(寝袋)が各人ごとに用意されてるので
ネットに書いてあった布団1枚で3人寝るとかそういう心理的ハードな状況にもならずに済みました。

あと、各パーティー単位で写真のような垂れ幕で空間を仕切ってくれるので
半個室のように使えてプライベートスペースを容易に確保できるのは非常にいい感じです。

僕は初山小屋なので他の山小屋と比べての感想は出来ないけど
山小屋慣れした同行者や他のパーティーのベテランの会話などによれば
この太子館は山小屋としては大快適とのことだそうで
今回の宿決めを任されていたので大当りが引けてラッキーでしたよ。

荷物を降ろして寝床の準備をしながら雑談をしていたら
夕食の準備が出来たとの呼び声があったので食堂に移動します。



富士山の吉田ルートの山小屋の夕食はカレー派とハンバーグ派に分かれるけど
太子館はカレー派で、そこにおかずの魚とウインナーそしてデザートってパターン。
水節約の為にお弁当トレーを使ってるから不釣合いな見た目になっちゃってるけど
カレーも魚も美味しかったし量も丁度イイ感じで全然オッケーじゃないですか。

っていうかね、ネットでカレーに具がほとんど入ってないとか文句書いてる人もいたけど
3000m越えた山の上まで来て平地の食堂レベルを要求する方が異常者だよね。
カレー食って批評家気取りしたいのならこんな山の上にわざわざやってこなくても
食べログでもみて地元の食堂に行って
「CP(コストパフォーマンス)最高!」とか書いていればイイのにね(嘲笑)



あと、食事が終わる頃に明日の朝食となる食料が渡されました。
朝食は各山小屋ごとにかなりいろいろなパターンがあるみたいですが
富士山の場合、御来光狙いで深夜に出発して山頂もしくは移動中に朝食を済ます人が多いので
ゴミが出にくくて、かさばらなくて、携行しやすいものを選ばれるようです。

さてさて、食事が済んでも時間はまだ5時と時間余りまくりだったので
ちょっとだけ周辺を散歩して富士山からの景色を満喫しながらの本日の反省会。


登山道のサブルートから太子館を望む。手前の岩に「8」と合目番号が書いてありますね。

ここまでの富士登山、5合目に到着したときは暴風&濃霧がすごすぎて登山断念も考えたものの
登り始めてみたらスタート直後にわずかに雨がパラついたものの
レインウェアを着込むほどの雨にはならなかったし
6合目に到着する頃には霧は晴れて、風は微風に変わり
暑くも寒くもなく汗もほとんどかかないくらいに超快適な気候条件で登ってこれて良かった。
また、梅雨の合間の平日だったから渋滞なんて皆無で
終始、自分達のペースで無理なくのんびり登れて大満足。
ぶっちゃけ、中学生の渋滞でイライラした筑波山より楽かもって思えるほど余裕の登山初日でした。

この後は、富士山特有な現象だと思うけど
翌日の山頂での御来光を目指す人たちが多くいるので
みんな6時頃には寝床に横になり始めて8時頃には電気も暗くなり就寝タイムです。
とはいっても、普段0時過ぎまで起きてるのに急にそんな簡単に寝れるはずもなく
無理やり目を閉じて黙って何もせずに横になり続けるという罰ゲーム状態でしたよ。

ようやく寝に入れるかなとウトウトっとしてきたら
他のパーティーの遅れていた仲間が今頃になって到着したりして騒がしくなったり
どこかの爆睡モードに突入したおっさんのいびきが大轟音で響き渡ったりして
頼むから静かにしてくれよ、ヒソヒソ声のつもりかもしれないが会話とか迷惑だからするなよ・・・
寝るだけなのに、こんなに難易度が高いと思ったのは始めてですよ。

でもまぁ、富士山の登山者達が山小屋でストレスを溜めてグッタリする姿ってのは
葛飾北斎が冨嶽三十六景の一つ「諸人登山」という作品(↓)の中で描いているくらいなので




200年以上も昔から今と変わらず続いている富士登山の伝統美なのかもしれません。
グッタリしてからが富士登山!

そんなこんなで、僕がようやく寝て休むことが出来たのは
御来光を山頂で見ようとする人達が出発してようやく静かになった日付も変わってからでした。


山小屋のトイレに貼ってあった俳句w

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登山2日目。

今回の富士登山では最初っから山頂での御来光はせずに
宿の前で御来光を見てから山頂を目指す予定なので
4時頃までゆっくり横になって体を十分に休めてから
山小屋のロビーで朝食を食べつつ御来光を待ちます。


朝ごはんを食べながらの会話は「昨日寝れた?」とかそんなどうでもいい会話です。

ちなみに、寝ている間が一番高山病になりやすいとのことでしたが
軽微な頭痛が出たものの行動が出来なくなるほどの重篤な高山病にはならなかったです。
やっぱ、高山病になるなんて人は登山の準備不足か、山を甘くみてる人がなるんだろうな。(余裕)

さて、御来光の時間が近づいてきたので山小屋の外に出てみます。
富士山の上の方では気温が0度近くまで下がると聞いていたのですが
全然寒くなかったですし天気も穏やかで用意してきたダウンを着る必要はありませんでした。


目の前に広がる雲海。もうこの時点で既にステキすぎて感動。

御来光予定時刻の4時30分を過ぎても太陽は見えません。
雲海の分だけ日の出が遅くなっているようです。

そして、4時40分


御来光キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

太陽なんてふだんゆっくり見ることなんてないけど、イイねぇ~♪
雲海から出てくる御来光を見てるだけでテンション上がってきて体全体に力がみなぎってきます。



ただただ感動して変わっていく景色にボーっと見とれているわずかなうちに
周囲はあっという間に昼間の世界へと変わります。


御来光最高でした!

御来光を見終わったら山小屋をチェックアウトするために急いで準備します。

なんせ、山小屋のチェックアウト時間が午前5時という
刑務所の受刑者ですらまだ寝ている時間に設定されているので
バタバタと慌しく荷物をまとめたら山小屋の人にお礼を言って山頂に向けて出発します。


午前5時1分、太子館(八合目)出発。

山頂方面をみてみると分厚い雲に覆われています。
山頂に着いた時にガスって景色が何も見えなかったらかなり残念すぎるなぁ~と
不安たっぷりだけど、こればかりはどうしようもない。
とにかく今は天気良くなることを信じて登るしかないです。



七合目~八合目の間は溶岩の岩場を這い上がるような場所が続いていましたが
八合目以降はまた砂と小石でできた登山道になります。

八合目を出発してから1時間ほどして到着したのが「本八合目」。
って、何なの?この『本当の八合目はこっちでした~(笑)』的なオチャメな設定は。全然笑えない。

本八合目まで来てちょっと疲れが出始めたけど立ち止まって休憩するほどでもなかったので
体を無駄に冷やさないためにもそのまま登り続けます。


日が昇りきってからの白い雲海もキレイ!

本八合目からさらに20分登りつづけて到着するのが
吉田ルート八合五勺にある最後の山小屋「御来光館」。



嬉しいことに御来光館の辺りまで登ってきた頃には
山頂を覆っていた厚い雲は跡形も無くどこかに行ってしまい富士山頂も丸見えの晴天になりました。

ゴールが見えると「ここまで登ってきたんだなぁ」っていう嬉しい気持ちと
「あとちょっとだから負けるわけにはいかないし頑張ろう!」っていう勇気が出てきます。


黙々と登りつづけて、まずは九合目にある鳥居に到着(午前7時25分)


ついに山頂に建つ小屋がはっきりと見えるところまで登って来ました。




山頂の入り口にある2つ目の鳥居に到着(午前7時58分)

あと本当にちょっとだけ、この鳥居の先にある最後の階段を少し登るだけです。


富士山山頂に到着(午前8時)

念願だった富士山山頂に到着しました。嬉しい、本当に嬉しい。嬉しすぎて俺の中の全米も泣いてます。

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しかし、僕達が到着したのはあくまでも吉田ルートの頂上であって
富士山の頂上、つまり日本の最高地点3,776mはまだ別の場所になります。
せっかく富士山に登ったのに最高地点に行かずに下山するのなんて
ちょっと高いところにいって景色眺めて帰ってきた近所のハイキングと何ら変わらないです。
間違っても日本一の山に登ってきたなんて恥ずかしくて言えませんよ。

ということで、山頂までたどり着いた感動もそこそこに
いよいよ真の日本最高標高地点『剣ヶ峰』を制覇するために出発です。


(次回に続きます)


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