今年の初めに富士山に登ると決意してからというもの
登山用品を思いつくままに買い揃え、Amazonでは登山関係の高評価の本を買いあさり
今までほとんど行っていなかったスポーツクラブに週4日くらい行って体力強化もしてみたり
実際の登山練習にと、高尾山や筑波山に登ってみたりして着々と富士登山の準備を整えていたのだが
富士山の山開きがYahoo!ニュースになった7月初めになっても
やはりまだ富士山に対する経験不足感が拭えなかったので
4月に立山へ一緒に行った俺の山師匠の人に
「富士山に登る前に2000m級の山に1泊する登山をしておきたい」と話をしてたら
いつの間にやら「いっそのこと富士山行っちゃう?」っていう話になり
7月13日~7月16日の3泊4日(登山自体は1泊2日)で富士山に行ってきました。
話が決まってからは日々ネットや本で富士登山の情報をリサーチしまくって
なるべく登頂成功確率を上げる方法を自分なりに検討した結果
登山ルートは吉田口ルートで登り、御殿場ルートで降りてくるのがベストと判断したのですが
僕達の登山日程中には御殿場ルートが積雪のため開通出来ないとの情報が入ってきたので
今回は吉田口ルートで登って須走ルートで下山する作戦で行くこととなりました。
そして迎えた7月13日。
この日は単なる移動日なので、羽田空港から出ている富士山五合目行きの高速バスに乗り
富士山のふもとにある河口湖町まで移動します。
(富士急バス/羽田空港~富士山五合目)
河口湖駅に到着。
東京から河口湖に来る間、ずっと空は厚い雲に覆われており
富士山を1度も見れない状況に不安を感じつつも本日の宿にチェックイン。
荷物を降ろした後はブラブラと河口湖まで散歩をして時間をつぶして適当な店で夕食を食べてから
ネットでオススメされていた河口湖駅前の店で金剛杖を買い
コンビニで2リットルの水を買ってきてプラティパスに水を入れて富士登山の装備は全て整った。
コンビニで水を買って帰る頃にようやく少しだけ雲が切れて裾野部分を見せてくれた富士山。
しかし、山の上の方は厚い雲に覆われてしまったままで
結局、この日は富士山全体を見ることは出来ませんでした。
とりあえず、明日は朝が早いのでサクッと9時頃には就寝。
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いよいよやってきた人生初の富士アタック初日となる7月14日。
まずは、河口湖駅前6:40発のバスに乗り富士山五合目まで約1時間かけて行きます。
というか、宿を出た時から空は今にも泣き出しそうな暗く厚い雲に覆われており
山師匠との会話も最悪の状況を考えてのネガティブ方向な話題ばかりしか出てこない。
バスがどんどんと標高の高いところに行くのと比例して霧まで濃くなってきて
富士山五合目に到着した頃にはバスの外世界は濃霧&強風となっており
小学生だったら『遊びに行っちゃいけません!』と親に怒られるレベルの気象状況となっていました。
ふと、バスの窓の外に目を向けると
おそらく前日に富士アタックをしたと思われる人達がザックカバーやレインウエアでフル装備して
持てる全てのパラメータを守備力側に全振りした上に
強風を避ける為に建物の隅っこに寄せ集まって、ジッと下山バスを待っている姿がみえました。
っていうか、この人達の状況ってどう見ても「遭難して救助を待っている人達」 だよね...(不安
勇気を出してバスから一歩降りると 「お前みたいな素人が のこのこ来るんじゃねぇ!」 と
霊峰・富士山が全力で怒っているような強風が吹き荒れており
筑波山(標高877m)の二度にわたる登頂成功で鍛え上げた俺のアルピニストとしての自信は
プリッツよりも簡単にへし折られてしまいました。
しかし、ここまで来たら予定を変更するわけにも行かず
当初からの予定通り、バスターミナル横の土産物屋「富士山みはらし」に避難するように飛び込み
高度順応と朝食を兼ねて名物の噴火カレーを注文。
噴火カレー 980円
まぁ、実際問題としては登山中に富士山噴火とかされても困っちゃうわけですが
今はこのカレーを食べながら窓の外の状況が少しでも好転するのを待つしかないです。
ですが、いくら待っても分厚い雲は一向に晴れる気配も無く
続々と下山してくるツアー客と思われる団体は誰一人笑顔をみせることもなく
みんな強風に吹き飛ばされないようにマイケル・ジャクソン級に必死に前のめりになりながら
ただただ生きて帰る事を目標に下山用バス停に向かって黙々と行軍していく姿をみるばかり。
あまりにも『絶望』しか感じられない惨状を目の当たりにして
「今回はこの噴火カレーを最高到達点って事にして富士急ハイランドで遊んで帰るか」などと
面白くも無いジョーク入れつつ、わりとマジで下山も考慮した話し合いをしてみるが
やはり、ずっと夢見てきた富士登山だけあって、スパッと諦めきれない部分があり
「もう少しだけ様子を見つつ管理センターで山の様子を聞いてから決めよう」と
オッサン2人が熟慮しても単なる問題の先延ばしの案しか出てこなかった。
カレーを食べ終わったら俺の登山愛読書「山登りはじめました」の作者さんの絵が出てきた♪
カレーを頼んでからダラダラと1時間半程過ごしてみたものの
多少天候がよくなった気はするが、それは単に悪天候を見慣れただけかもしれないし
富士山にかかった雲は相変わらず低くて厚くて暗いままであった。
食べ終わって皿に残ったカレーがカピカピに乾いてしまうほど店内で粘ってみたものの
一向に天候が好転する気配は感じられず、逆に店員の視線が厳しくなってきてしまったので
富士山管理センターに入山料を払うついでに山の状況を聞きに行ってみることにした。
管理センターに入り一番最初にいたおばさんに入山料を払う場所を尋ねようと声をかけると
おばさんは俺の問いに対して全く違う答えを返してきた
おばさん:「え、これから登るのかい?」
まだ焼印も押していない金剛杖を持った人が入山料を払いに来ているというのに
唐突にそんなに驚いた反応をされるとは思ってもいなかったので、逆にこっちがビックリしてしまった。
しかし、ビックリした表情を見せてしまったらこっちの負けと思い
ポーカーフェイスを装いながら担当の人のところまで案内してもらう。
そして、担当の人に山の状況を聞いてみると
「昨日富士登山をした人は天候が悪過ぎて八合目から先に進めない状況だった」
「雨が横から降ってくる状態はまだマシで、山の上の方では『みぞれ』が吹き荒れていた」
「救急車を3回も呼んで救急搬送をしてもらった」
「今朝も天候は回復せず、ほとんどの人は早々に下山してきている」
とのこと。
『何それ、ただの地獄じゃん。』
前日、河口湖町からのんきに山頂の雲が晴れたらいいなと富士山を撮っていたまさにその時
富士山に覆い被さった雲の中では
何百人もの人が自然の驚異に怯え、不安と恐怖と絶望の真っ只中にいたという事らしい。マジ怖すぎるわ!
そして担当の人は最後に一言、「少しでも不安に感じるなら今回は止めておいた方がいい」 と
柔らかな言い回しで今回の僕達の富士登山を止めるように説得してきました。
さすがにこの言葉の前ではポーカーフェイスを維持し続けることが出来ず
明らかにテンションが下がった表情で
「もう少し検討してみます」と言うのがやっとでした。
管理センターを出た後、特にやる事も無くなってしまった俺たちオッサン2人は
仕方が無いので最後は神頼みするしかないと
五合目の御土産物屋の脇にある小御嶽神社に手を合わせにいき
賽銭箱に10円を投げ入れ「無事に富士山頂まで行けますように」と必死にお願いをする。
正直、神様も10円程度で人の命に係るような事をお願いされても困るだろうが
気のせいかお参り前に比べて少しだけ天候が落ち着いてきた(気がした)。
・・・待つこと10分・・・
しばらく様子見をすると言い、ここまで決断を先延ばしにしてきたが
もう、この五合目でのやるべき事はやりつくしたし、天気も良くなってきた(気がした)ので
オッサン2人が最後のサミットを開き、ようやく出した最終的結論は
「とりあえず今日の宿がある八合目まで行ってみますか!」
であった。
まぁ、うさぎ跳びで足腰を鍛えて練習中に水を飲むのは甘えと教わってきた昭和世代にとって
天候がちょっと悪かろうが、例えキング・オブ・ポップ状態で登山することになろうが
ここまで来ておいてあっさりと予定を変更をして下山するなんて選択をするハズも無く、
正直なところ、今まで様子見といっていたのは天候のタイミングを待っていたのではなく
お互いの『腹をくくる』タイミングが会うのを待っていただけなんだよね。
富士山五合目に到着して約2時間。
いまだ富士山の上の方は雲に覆われていて天候が不安なのは変わりないけど
一般的な富士登山ガイドブックに書かれていた高度順応時間は十分に取ることができたし
お互いの気持ちも確認して『気合十分、待ったナシ!』状態になったので
改めて管理センターに行き、「入山料を払います」と力強く1000円を叩きつけて
記念の缶バッジと携帯トイレを受け取り
いよいよ念願の富士登山スタートとなりました。
(次回に続く)
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例のシーンは8分20秒頃
一応分っているとは思いますが、この記事の一部は多少誇張して書いている部分があります。
神風特攻隊的な無謀な登山は絶対やめましょう。ポゥ!
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