マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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遅瀬の年中行事

2018年01月29日 09時22分45秒 | 楽しみにしておこうっと
遅瀬の初祈祷である。

地蔵寺の床の間に遺してあったハゼの木に挟んだ2本のごーさん札を拝見していた。

ハゼの木をもって米寿を祝う。

早朝から作業を始める古い版木でごーさん刷り。

朱印を一枚、一枚押して作られる。

遅瀬は65戸の集落。

かつては版木刷りも多かったが、JAから稲苗を購入するようになった関係で苗代作りをすることはなくなった。

そういう関係があって、ごーさん札を立てる苗代もない、時代になってからとんと見なくなった。

刷る枚数は極端に減った。

かつては、各家が四方の木肌を削った家の男の人数分だけハゼ木に“ソミンノシソンナリ”の文字を書いて祈祷してもらっていた。

床たたきのダンジョーや額押しもしていたが・・今はしていないという。

初祈祷行事は版木刷りを終えてから住職による法会がある。

枚数は少なくしたが、それでも余るという祈祷したハゼの木のごーさんは、苗代がなくとも、無理やり渡して貰って帰ってもらうそうだ。

遅瀬の初祈祷を初めて知ったのは平成22年10月10日の村当家祭行事の取材に来たときだ。

表小屋のガラス窓に挿していたごーさん札であった。



ところで遅瀬の寺行事は季節ごとに行われている。

3月は初午の厄除け大般若祈祷会。

同月21日は彼岸会。

7月20日前後は収蔵する経典の虫干し。

8月はどの地域でもある施餓鬼行事の盆供養もある。

10月の16日に近い日には氏神さんの行事もある。

また、山添村など付近の山間地区にもあるフクマル行事がある。

氏子総代らが云うには、数軒でしているらしい。

家から出てきた家長は藁に火を点けてとんど焚きにする。

その際に唱える詞が“フクマル コッコイ”とか、“フクマル コイコイ”、或いは“フクマル コッコー”など、フクマル呼びをする。

大工棟梁家がしている時間帯は除夜の鐘撞のころのようだ。

さまざまな行事のことを教えてくださる総代ら。

「遅瀬」の村名は二つからきているという。

一つは郡山藩の「おそせ」。

もう一つは藤堂藩の「うそせ」。

「おそせ」は「遅瀬」であるが、「うそせ」を充てる漢字は動物のカワウソの「(川)獺」の漢字だと話していた。

(H22.10.10 EOS40D撮影)


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