マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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窪之庄の苗代マツリ

2016年12月07日 08時44分27秒 | 奈良市へ
たまたまのことであるが平成24年6月5日に訪れた奈良市窪之庄のことである。

訪れた目的は「牛の角染め」をしていたと史料にあった記事をてがかりに取材したかった八坂神社で行われていた牛供養である。

神社にいてもどなたも現れずに断念した。

そこら辺りを散策していた男性が田植えをされていた。

たまたまであるが撮影しておきたいと思ってお願いしたら承諾された。

その場に奥さんもやってこられた。

作業を終えて、もしやと思って尋ねてみた苗代口のマツリの在り方。

その場所はうちの田んぼやと云う。

で、あれは・・。

そう、田植えをされていたご夫妻が立てた苗代のマツリであった。

毎年していると話していたマツリごとの用具は行事でたばったごーさん札。

挟んでいる木はイチジクの木。

細い木であることから、これをゴボウサンと呼んでいた。

県内事例の数々のごーさん札を拝見してきたがイチジクの木は初めてだ。

その後もさまざまな地域で拝見してきたが、窪之庄であるようなイチジクの木は未だに遭遇しない。

そのごーさん札には文字がある。

「牛王 八阪神社 宝印」の文字である。

お札の三か所。朱印が押してあった。

八阪神社はかつて牛頭天王社と呼ばれていた。

いわゆる「ゴズサン」である。

「ごずサン」と「ゴボウサン」は似ても非なるものであるが、おそらく神宮寺があったものと推定される朱印。

いつしかお寺が廃れて神社行事に移ったものと思われる。

田植えを終えたご夫妻。

初めてお札を目にして、苗代に立てる意味を知ったと云っていた。

それからはというものは、翌年、翌々年、そのまた翌年。

五カ谷辺りに行くときとか、帯解辺りを通るさいには苗代田に立ち寄る機会を重ねたが、たいがいがハズレである。

つまりは固定日でないのだ。

早いときには4月の末の祝日辺り。

それを過ぎても5月のGWの期間中。

そう聞いていたから合間を縫って出かけてみるがお目にかかれない。

これまで最も遅かったのは6月初旬に入った頃である。

この日は五カ谷から山添村毛原に出かける。

その道中にふと思い出して寄ってみたら、いつもと同じ場所にあった。

お花はたぶんにシランであろう。

花は落ちていたが葉っぱでわかる。

木の葉はなんであろうか。

いずれにしても立ててから数日目。

5月半ばで立てたのであろう。

ちなみに、その年に立てたものが家に残してあるからと云ってくれはった。

そのお札イチジクの木ごと後年に奈良県立民俗博物館に寄贈した。

(H28. 5.21 EOS40D撮影)


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