マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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川上町蛭子神社終いエビスの蛭子祭

2015年08月22日 11時11分29秒 | 奈良市へ
奈良市川上町に鎮座する蛭子神社の燈籠に「天保十三年(1842)壬寅拾月吉日 為繁栄建之世話人 蛭子社 発起人笠置屋清三郎 河上村五郎衛門」の刻印がある。

本社が蛭子神社で事代主神・大国主神を祀る。

末社は三神。

天照大神を祀る廣田神社や伊稚神社(豊受媛神)、住吉神社(筒男神)である。

この場で待っておれば役員たちが来るからと云われて境内などを散策していた。

待つこと20数分。数人がやってきた。

この日の蛭子祭は6人の農家組合の役員さんが参られる。

前夜の宵宮には大勢の参拝者が訪れるがこの日は誰一人といない。

祭典が始まる一時間前には燃やしていたトンドにしめ縄をくべていた人もおられたが神事参拝には来られなかったようだ。

前夜の宵宮をトン汁でふるまう人たちは蛭子社の有志50人。

何人かは奈良「きたまち」を盛り上げるボランティア活動をされている「きたなら」グループだそうだ。

転害門にかける太くて大きな注連縄を作っている。

毎年ではなく4年に一度の取り組みである。

前回は平成25年だった。

次回の4年後は平成29年。

その年の9月23日の朝8時。

川上町会所の前で作られる。

かつては手向山八幡宮氏子圏の人口が多かった。

その当時は5組に分けていたことから5年に一度の架け替えだった。

いつしか人口減。

4組にしたことから4年に一度にしたという農家組合の人たち。

材料のモチワラは村が供出。

10時ごろにできあがった注連縄を担いで運ぶそうだ。



注連縄架けの話題を提供してくれた役員たちはつい先ほどできあがった「ニラミダイ」を吊るした注連縄を本社や末社に架けた。

事代主大神・大国主神を祀る本社は二対の「ニラミダイ」。



末社の廣田神社・伊稚神社・住吉神社はそれぞれ一対ずつ吊るす。

腹合わせにしているから「ニラミダイ」。

漢字で現せば睨み鯛である。

今では生鯛であるが昔は干し鯛であった可能性があると手向山八幡宮上司延禮宮司は話す。

「ニラミダイ」を吊るす注連縄は朝8時から会所で作っていたそうだ。

縄はモチワラ。

上の田んぼで栽培したモチチワラは硬いイナワラより柔らかくて結いやすい。

作り終えたら先に川上祇園社へ出かけて架けていたという。

農家組合の人たちが遅かったのはそういうことだったのだ。

エビスさんの行事に生鯛を吊るす神社は多くない。

12月23日に行われる田原本町の三夜待ちがある。

蔵堂に鎮座する村屋坐弥冨都比売神社の摂社に恵比須社がある。

ここでは宮司自ら結った縄で鯛の口からえらへ通して繋げた縄を張った。

平成25年に取材させてもらった「昔からそうしている」という三夜待ちのお供えである。

川上町の蛭子神社とほとんど変わりない祭り方であるが、平成22年1月4日に拝見した室生下笠間の民家では干した鯛だった。

正月元旦の日に吊るす干し鯛はエビスサン(恵比須さん)・ダイコクサン(大黒さん)を祀った神棚に吊るす。

奥さんはこれを「カケダイ」と呼んでいた。

吊るし鯛ではなく架けるから「カケダイ」と呼んでいるのだ。

本社、末社にローソクを灯して神事が始まった。



祓え詞、祓えの儀、祝詞奏上、玉串奉奠などだ。

昨年は雨だったそうで、木漏れ日が射す今日は良き日であった。

末社の伊稚神社社殿に描かれた文様に気がつかれた役員たち。



三つの珠はおそらく宝珠であろう。

その話題から思い出されたご神体の版木である。

エビスサン・ダイコクサンの2体を象った版木に「河上社」の文字があることから、かつては蛭子神社を河上社と呼んでいたようだ。

手向山八幡宮宮司が云うに版木は元禄八年(1695)正月に寄進されたもの。版木の角や面はやや丸みをもっていることから、お札を刷っていたのだろうと話される。

今では錠をかけた収蔵庫に納めている。

農家組合の人たちも滅多に見ない版木はご神体として大切に祀っている。

版木には2本の杓子、三つを象った牛王寶印に巾着袋や海老錠もある。

エビスサンは釣った鯛を抱えている姿。

ダイコクサンは打ち出の小槌を持っている。

大きな風呂敷を肩に担いだダイコクサンは二つの米俵の上に乗っている姿だったことを付記しておく。

(H26.11.20 EOS40D撮影)
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