マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡の龍吐水

2013年06月06日 06時48分56秒 | 民俗あれこれ(消防編)
昨年の大晦日に拝見した誓多林町民家に飾ってあった龍吐水(りゅうどすい)。

安政五年(1858)に製作された手押しポンプの消防用具であった。

その姿に惚れこんだ。

たしか山添村にもあったと思って探した大字切幡。

極楽寺の裏側に掛けてある昔の消防ポンプはまぎれもない龍吐水に「切幡村」や「龍吐水」の文字がある。

放水部は欠損しているが、四角い焼き印には「奉所 京四条濱村中□(之であろか)町西」の文字が判読できた。

ネットなどで調べてみた結果、明治11年(1878)に京都三条宝町の「賓村武虎」が製作された龍吐水の事例があるそうだ。

他所においては「京三条 室町東 濱村造」の焼き印名がある「甲賀郡鳥居野村」の事例は明治20年。

製作年代に若干の差異がみられる。

切幡の龍吐水焼き印の「四条」に違いがあるものの、同名の「賓村」は「濱村」と推定される製作者名であることからほぼ同年代の製作であったと思われる。

龍吐水は江戸時代から明治10年代ころまで使われていた。

その後の明治17年頃には「雲龍水」を経て「腕用ポンプ」、つまり大きな車輪を取り付けて台ごと引ける移動形になった。

それまでは大八車に載せて移動していたのであろうか。

(H25. 2.24 EOS40D撮影)