マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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岩屋権現講の籠り

2011年03月07日 08時25分41秒 | 山添村へ
山添村の岩屋に鎮座する十二社権現は紀州熊野神社の権現さんを祀っているという。

権現講の人たちは12月の籠りに続いて1月にも籠もりをする。

岩屋は100軒ほどの集落で、そのうちの11軒が権現講である。

以前は14軒だったそうだ。

集落から畑を通って急な山道を登っていくとそこに十二社権現の社がある。

森林に囲まれた鬱蒼な地。

そこは聖地なのであろう。

一人一人やってきて参拝する。

それを済ませたら籠もり所にあがる。

お神酒を置いて座に着く。

円座になって座った講の人たち。

酒を酌み交わして用意したパック詰め料理をよばれる。



籠もり所はそのためにわざわざ建てた建物だ。

25年以上も前から建っている籠もり所は先代の親父さんたちが建てたもの。

人に貸したこともあり、寝泊まりぐらいは十分にできるのだと話す。

かつては家で作った料理を持って籠もりをしていた。

それが1品多いとか少ないとかになってだんだんと派手になっていった。

それは行商人が食材を勧めた結果だという。

「上手いこと言うて売りつけられたのだ」と話す。

岩屋辺りまでは自転車の荷台に載せてやってきた行商人。

近くまでくると天秤棒を担いで品物を運んでくる。

「おばはんはコオリを風呂敷に包んで担いできたんだ」と付け加えてその様相も話す。

昔の話はそれだけでなく「もっと昔はどぶも作っていたんだ」とさらに岩屋の昔話の時代を遡った。

「どぶは作ってないが変わってないのは酒だけや」と笑って猪口に手が伸びる。

笑い声が絶えない権現講の籠もりの日。

それは300年以上も続いているのだという。

講元家にあった樹齢300年のヤマモモが物語る。

その木は熊野神社詣でに行った講中が持ち帰った苗木。

それを植えて神木になったヤマモモの木は20年ほど前に通り過ぎた台風で根こそぎ倒れてしまった。

なんとか再生しようとされたがやがて朽ちて空洞になってしまった。

やむなく切り取ったヤマモモ。

当時は文化財の指定を受けていたそうだ。

(H23. 1.23 EOS40D撮影)