マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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藤井東福寺乱声

2011年02月12日 09時13分11秒 | 天理市へ
本堂に登り敬白を読みあげる住職。

隣村の笠からやってきた妙圓寺の住職だ。

藤井町の東福寺ではじめての法要をしたときはとても驚いたと集まってきた観音講の婦人たちに話される。

お経をあげていたら突然のように外の廊下からバチバチと鳴りだした音。

それに驚いたというのだ。

はじめて聞いた乱声(らんじょう)の作法は融通念仏宗には馴染みがない。

村の役員に神社の宮本衆も堂内にあがった。

住職が唱えるお念仏に観音講の人たちも口をあわせる。

およそ30分の法要は静かに終わった。

なにも起こらなかったのだ。

「廊下で音がせーへんかったで」と村人は言った。

それもそのはず叩く棒を持って来なかったのだ。

大あわてで取りに戻った宮本衆。

お経もないままあらためて乱声をやり直した。



一人はバチを持って太鼓の前に立つ。

二人は回廊の前に立った。

それぞれ2本の枝木を持つ。

それはネコヤナギの木だという。

しなりももった枝木。

太鼓を打つ人は「ランジョー ランジョー」と掛け声をかけて叩く。

ネコヤナギを持つ人は2本を両手にもって激しく回廊の縁を叩く。

ドンドン、バチバチの連打だ。

縁を叩く人数に制限はないがこの日は4本しかないことから2人となったが無事に乱声を済ませた。

オコナイと呼ばれているお寺の行事はいわゆる初祈祷。

朱印を押した牛玉宝印書をたばって帰る。

これは春の苗代作りのときに供えられる大切な御符。

オコナイが始まる前に宮本六人衆が墨書して朱印したものだ。

それを本尊前に供えて五穀豊穣を願いご加持されたのである。

正月三が日に村の人たちが供えたお餅やミカンをたばって帰る。

観音講と役員たちは当番の汁番の人が用意した料理をいただきに公民館にあがっていった。

宮本衆といえばそのうちの一人の家の座敷に集まって会食をする。

2班に分かれての食事会である。

(H23. 1. 6 EOS40D撮影)