韓国のチキン(フライドチキン)を食べたことがあるだろうか。
唐辛子で辛くした味付けのものやいろいろな種類があり、かなりうまい。
韓国から日本へ就職して日本で暮らしている学生の話によると、
韓国のチキンは、韓国にしかないということだ。
日本やアメリカにはないらしい。
(筆者はどこにでも同じようなものがあるものと思っていたのだが;;;)
だから韓国に一時帰国したときには、まずは必ずチキンを食べるということだ。
さしずめ、筆者が日本に一時帰国したときに、必ずラーメンを食べるような感覚かも。
さて今日はこのチキンの話だ。
配達業界でアルバイトをしながら、弟Qと祖母と3人暮らしの高校生のP君がいる。
ある日、七歳年下の弟(小学生)のQ君が、「兄ちゃん、チキンが食いたいよう」とせがんだ。
金に余裕のあるはずもない。
そのときP君のフトコロには5千ウォン(約470円)しかなかった。
兄のP君は弟といっしょに、家の近くのホンデ・アプ(若者らでにぎわう町)のチキン店を
一つ一つ訪ねて行った。
「チキンを五千ウォン分だけください」
しかし、チキンは普通は2万ウォンくらいが最小の単位だ。
どの店でも「だめ」「かえれ」という返事だけだった。
最後にチキンチェーン店の「鉄人7号」マッポ店に入った。
店長のAさんが、兄弟を見て「そこに座ってて」と言った。
すぐにチキンが出てきた。
うまそうに食べる弟Q君を見ると、P君も満足だ。
二人でばくばくと食べた。
食べ終わって五千ウォンを払おうとすると、
「それはいいよ。また食べたくなったら、いつでもおいで」
と店長のAさんは言ってくれた。
それは去年の今頃で、一年くらいが過ぎた。
それまでの間に、弟は何度か一人でチキンを食べにいき、
髪が伸びていたときには、店長のAさんがわざわざ理髪店まで連れて行って散髪までしてくれた。
最近、P君はお世話になった店長Aさんのことを手紙に書いてフランチャイズの本社に送った。
驚いたフランチャイズの代表が、本社に届いた高校生P君の手紙を、SNSを通して公開したことで明らかになった。
P君は手紙の中で「初めて会ったわたしたち兄弟に、温かいチキンと関心をよせてくださった社長Aさんに心から感謝する」とし
「僕が大人になってお金をたくさん稼げるようになったら、僕らのように貧しい人たちを助けながら生きていける社長Aさん
のような人になりたい」とつづった。
SNSにアップされるや、事情が知られ、ネットユーザーらは応援電話をかけたり、
義援金やプレゼントを送って、ホンデ・アプ「鉄人7号」マッポ店のAさんの善行を称賛している。
店の前には行列ができ、あるお客さんは、店に来て「封筒」を置いていかれる方もいるという。
封筒とは、勿論金一封の意である。
また一部の人は、「遠くに住んでいるので、注文だけいたします。
チキンは食べたものとしてお金だけ入金します」と注文だけしれくれたりという。
フランチャイズ代表は「店主の善行に感動し、営業に必要な部分を支援した」としている。
(これは1000万ウォン=約951万円ほどを店に支援したということらしい)
さらに、「情報を提供してくださった学生P君と連絡が取れたら、奨学金を渡したい」と語っている。
「鉄人7号」マッポ店。店長はAさん。今後ますます大発展してゆきそうだ。
マスコミの取材に対しても、
「わたしが特別なことや、大したことをしたとは思っていない。
わたし以外の誰でも、そんなことをしてくださるだろうと信じているので、
こんなに多くの人々の関心や愛情に、逆に恥ずかしさのほうが大きい」と話している。
どこまでカッコいいんだ。
これからの時代は、善や愛や暖か味などが幅を利かせるような時代になっていくような気がしている。
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