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小説 天地明察

2010-05-27 | 



2010年本屋大賞に選ばれた「天地明察」
本屋さんの、今年一押しの小説だそうです。




この「天地明察」が選ばれたのは主人公渋川春海の描き方が多いに影響したように思います。
渋川春海はまるで現代の若者が江戸時代に行ったような感じなのです。
幕府碁打ち衆としての宙ぶらりんな自分にもんもんとしながらも、大好きな算術に安らぎを見出している。
そして何処と無くたよりなげなで、軽い感じの若者なのです。

「天地明察」は江戸時代初期に行われた改暦という、一見地味な題材を扱ったものですが、渋川春海の性格ゆえに全然地味さを感ることなく、470ページをすらすら読めてしまいました。
日本は江戸時代まで800年以上にわたって隋で作られた宣明暦を採用してきました。
しかし800年以上もたった暦は誤差も大きくなってきていました。
そこで幕府は日本独自の暦の作成を算術に長けた渋川春海に命じたのでした。
それからの主人公はまさに水を得た魚のごとく、二十数年を、暦作成にかけてゆくのでした。

主人公が実在の人物だけに関わる人物も、水戸光圀、和算家関孝和、老中酒井忠清、会津藩主保科正之、儒学者山崎闇斎、碁打ち衆本因坊道策などそうそうたる歴史上の人物が登場します。

改暦とは政治的な根回し、日本中を歩いての天体観測と、どれほど大変な大事業であったのかとても勉強になりました。


「天地明察」 冲方丁 角川書店 ¥1800






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