こんにちは。園長の田中啓昭です。
個人的にですが、私は総合遊具はあまり好きではありません。
保育園を経営する側からすれば、こんな便利なものはないでしょう。
名前の通り、総合的にいろいろな遊びができるわけですから。
しかし、子どもにとっては必ずしも良いものとは言えません。
なぜなら、よく考えられた遊具ですが、遊びが限定的で遊び方がある程度固定化されているものが多いのです。
つまり、遊び方が決まっているわけです。
そんなパーツが集められて、一つの遊具として「総合的」にまとめられている。
一見、いろいろな遊びができるようですが、所詮パッチワーク的なものが多いように感じます。
そこで、今回はそういった総合遊具には目もくれず、砂場を中心として遊びが展開していけるように、そして、植物や虫、砂や土や石、水、そういった自然と融合させ、子どもたちが社会性や協調性、創造性のもとに「きずな」を育んでいけ、なおかつ、狭いながらも運動会ができるスペースを確保している園庭にしたい。
そんな想いのもと、莫大な費用がかかりますが、自己満足などといった次元のものではなく、子どもたちの生き生きとした輝く瞳を想像して、大改造を決意したのです。
少し余談になりますが、今回の園庭改造計画を実施するきっかけとなった本が何冊かあります。
その中の1冊である建築家の仙田満さんの著書「こどものためのあそび空間」には「Six Primary Spaces」という概念が紹介されていて
子どものあそび空間には6つの原空間が必要であるというのです。
第1は自然スペース 第2はオープンスペース 第3は道 第4はアナーキースペース 第5はアジトスペース 第6は遊具スペース
この6つのスペースはその場所において重要度は変わってくるのでしょうが、これをすべて保育園で叶えることは難しいものの、このような概念を念頭に園庭づくりをするのとしないのとでは大きな違いが出てくると思うのです。
第3の道 第4のアナーキースペース 第5のアジトスペースなどは解説を読みながら幼少時代を回想し、楽しかった子どものころの遊びに想いを馳せたりもしたのです。
そんな想いをもとにようやく園庭改造計画をスタートさせたのです。
対訳 こどものためのあそび空間 | |
仙田 満 | |
市ヶ谷出版社 |
そこで、まずは業者さん選びから。
こんなわがままな想いを具現化してくださる業者さんってなかなかありません。
購入した遊具をポンと置いて終了。
そんなところがほとんどです。
そんな中、「あそび」に対する明確な視点を持ち合わせ、私の価値観と合致するメーカーさんに白羽の矢が当たりました。
当園の屋上園庭でもお世話になっているボーネルンドさんです。
こんなわがままなことをたくさんお願いしたのですが、是非ともその想いを具現化したいと快諾いただき、昨年より何度も打合せをし、ようやく工事までこぎつけました。
上記が改造前の当園の園庭です(我が園ながら残念すぎる園庭です。後ろに見える総合遊具はお隣のコミュニティセンターの遊具で、当園のものではありません)。
この園庭をみて、何とかしたい、と思わなければ保育園長失格だと言わざるを得ないものだと心底思います。
ボーネルンドさんと一緒に考えた「子どもの瞳が輝くあそび空間の創出」が今回の大きなテーマになっています。
工事の模様については「もくれん保育園」大改造プロジェクトvo.17【園庭改造vol.2】から紹介したいと思います。
次回更新を楽しみにお待ちください。