つれづれなるまま(小浜正子ブログ)

カリフォルニアから東京に戻り、「カリフォルニアへたれ日記」を改称しました。

入試業務

2013-02-19 18:21:55 | 日記
1月のセンター試験で始まった入試本番が、ようやく終わりつつある(国立はこれからだが)。
私は今年、数年ぶりにセンター試験の監督を担当したのだが、しばらくの間に運営の細かいマニュアルがとても肥大化していることに驚いた。もちろん中にはこれまで気のついていなかった必要な注意もあるが、しかしそのほとんどは、受験生に適切な条件で試験を受けてもらうためと言うよりは、(運営側が)ミスともいえないミスの責任を追及されないためのものにしか思えない。
全国で数十万人の受験生が、全く同じ条件で試験を受けるなど、そもそも無理である。しかしながら昨今は、試験に運はつきものなのだから、少々の条件の違い(たとえば試験室の室温の若干の違い)などを言っても仕方ない、そんなことを気にしている暇があれば、単語の一つも覚えて学力自体を向上させろ、といった態度では、対応してはいけないらしい。
試験の運営マニュアルには、些細なことで「自分は不利な条件だった」とクレームをつけられないための、無意味としか思えないものがどんどん増えている。そのために、この時期、大学関係者が割かなくてはいけない時間と労力はたいへんなものである。このエネルギーを本来の教育や研究に使うことができれば、日本の大学の質はどれだけ向上することだろう。
多くの大学関係者がそう思っていても、完璧な公平さ(無理だ、っていうのに!)を求める世間の圧力とクレームはどんどん増え、自分のところにそれが来た場合を考えると、無意味としか思えない対策に忙殺せざるを得ないのである。
以前は「旧中国は科挙に膨大なエネルギーを費やしているうちに衰退した」という話を他人事のように思っていたが、最近は、これでは日本社会の衰退は無理もない、という気になってしまう。
本当に、どうにかならないものかしらん。