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♯1095 リーダーと人間性

2018年06月18日 | 国際・政治


 人との信頼関係を作るには、(コミュニケーション云々と言う前に)まず相手に心を開くという「オープンマインド」の立ち位置を示すことが大切なのではないかと書きました。(「♯1094コミュニケーション技術以前の問題」)

 しかし、駅前のコーヒーショップにたまにいる(仏頂面の)アルバイトさんに限らず、世の中にはそのために「ちょっとしたサインを出すこと」自体が難しい人が意外にたくさんいるのもまた事実のようです。

 「何を考えているんだか、何となく表情から読み取れない」「会話は明瞭なのだけれど気持ちが通じない」「話をしても目を合わせようとしない」…そうした(いわゆる)「疎通性=rapport」に欠ける相手の姿に、人はある種の不安感を覚えるのかもしれません。

 さて、6月12日の米朝会談をテレビで見ていて改めて感じたことは、トランプ大統領も金正恩委員長も(さすがにコミュニケーション技術にかけては)ともに相当な「役者」だなということです。

 お互い両手を広げステージの両端から笑顔で歩み寄る姿は、(例え会見の内容は乏しくとも)世紀の政治ショーの演出としては大変優れたものだったと思います。

 特に、当日の金委員長の立ち振る舞いは(34歳とも言われる彼の年齢からすれば)父親よりも年上の72歳(しかも身長191cm)のトランプ米大統領をカウンターパートに、表情、しぐさとも「よくやった」と言えるレベルのものだったと言えるでしょう。

 これまで、北朝鮮発のテレビ画像で見てきた彼の表情は、権力で固められた面白味のない、人間性の感じられないものばかりでした。しかし、二度にわたる突然の訪中や南北首脳会談などを経て、対外的な関係を結ぶ一人の指導者として「一皮むけてきた」ような印象を持つのは私だけでしょうか。

 良くも悪くも人間臭く圧倒的に「強い」キャラクターのトランプ大統領を相手に、そんなに押されていないその姿には(ある種の)驚きすら覚えたところです。

 ここで、周辺国のリーダーの顔や姿を思い浮かべてみると、韓国の文在寅大統領も表情豊かななかなかの「役者」と見てとれます。

 (前の朴槿恵大統領が無表情なお嬢様然としていただけに)優しさの中にも強い意志を漂わせ、偉ぶった感じがしないその立ち振る舞いを見れば、彼が韓国で人気なのもよくわかります。

 一方、中国の習近平国家主席はどうでしょう。(メディアが伝える限り)あまり感情表現が豊かな人物には見えませんが、逆に言えば中国で尊敬される頼りがいのある鷹揚な「大人」としての姿を、余りにも見事に体現していると言えば言えるでしょう。

 トランプ大統領や日本の安倍首相、北朝鮮の金委員長などとの会談における表情を見ても、不本意な時は(これでもかというような)仏頂面をさらけ出し、意に沿う場面では優しい慈父のまなざしを施すなど、ちょっとした雰囲気で恐ろしいまでの迫力や「場の空気」を作ることのできる老練の役者と言えるかもしれません。

 そういう意味では、ロシアのプーチン大統領も決して負けてはいません。KGBからたたき上げたフィクサーとしての眼光の凄味に加え、小柄ながらボディビルで鍛えた体格には迫力がある一方で、愛犬と戯れている時の笑顔などは意外に可愛かったりもします。

 (公開されている)彼のプライベートの映像は意外に表情も豊かで、西側での恐れられているそのイメージとは裏腹に、国内で「ウラジミール」と敬愛されている一面があるのも判らないではありません

 さて、ここで翻って、我らが安倍首相はどうでしょう。相手としっかり意志疎通し、安心と信頼を与えるキャラクターを演出できているかどうか

 国際社会において、リーダーは(その国の持つ)国際的な力学だけでなく、個人がそれぞれ持つ人間性で勝負していかなければ認められるものではありません。長くやっていれば良いというものではありませんし、大国につき従ってばかりいればよいというものでもないでしょう。

 歴史と伝統のある固有の文化を持つ国民の代表として、人の心を惹きつけてやまない魅力的なキャラクターを持ち得ているかどうか。

 安倍首相にはぜひ、オープンマインドで国民から親しまれる人間的なリーダーとして、各国のリーダーからも尊敬される地位を占めていただきたいと願うのですがいかがでしょうか。


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